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訪問看護でおうち言語療育!

今回は「訪問リハビリでのお子さんとの関わり」を
お話してみたいと思います。
訪問看護ステーションからの訪問言語療法は、
大人の方がほとんどなんですけれども、
全体の件数の1割、数人はお子さんに訪問しているという状況です。

未就学から小学生のご自宅に訪問するのですが、
「おうちで療育する」ってどんなことをするのかな?と
なかなかイメージが湧かない方も多いかと思います。

みんなの療育事情


多くの方々は、療育センター・児童発達支援事業所・放課後等デイサービスとか
中には自費の療育指導などに通っていらっしゃるという方がほとんどだと思います。
療育で訪問してくださるっていう場合には、例えば重症心身障害児や医療的ケアを受けているお子さんというのも多いでしょう。医療処置が優先になりますが、訪問で提供される療育も、今後は充実が求められますね。
私も、ゆくゆくは医療的ケアが必要なお子さんや脳性麻痺のお子さんたちのご自宅に訪問したい!という夢があります。まだまだ修行が必要ですね。

私が、現在対象としているのは
発達障害とことばの遅れ、あとは発音の指導(構音障害)ですね。
訪問頻度は、大体月に2回というのが多いですかね。

おもちゃ出しっぱなし「触るな」の家庭で

とあるお子さんの訪問でのエピソードなのですが
3歳児検診で、ことばの遅れを検診で指摘され
療育センターで経過観察をしていたお子さんでしたが
主治医の指示もあって、ことばの療育を勧められ
訪問開始となりました。

裕福なご家庭で、おもちゃが大量に置いてあり部屋は雑然としていました。
親御さんも片付けが苦手な様子で
幼稚園のプリントや、仕事の書類を失くしてしまうことも多いようでした。

また、お子さんにはこだわりがあり
おもちゃを、他者に触られたり動かされたりすることを嫌がり
癇癪を起こしてしまうので、両親もそのままにしていた状況でした。
おもちゃを「出したら出しっぱなし」「ここから動かすな」
という状況は、リビングもダイニングも全て占領されていて
遊びたいおもちゃを探せずに起こり泣き出すことも日常のようでした。

就学を控えていた年齢でしたので、身辺自立が課題になりますし
過ごしやすく、分かりやすくシンプルな環境を作ること
いわゆる構造化が、このお子さんには必要だなと感じました。
就学後は持ち物も増えますし、物の管理を
お子さん本人ができることが求められていきます。

※構造化は、生活や学習のさまざまな場面で
 その意味を理解し、自分に何が期待されているのかを
 わかりやすく伝えたり設定したりするための方法です。

環境調整もコミュニケーションの繰り返し

訪問開始となり、最初は「おもちゃ動かすな」というこだわりが
やはり、強かったのですが
だんだん仲良くなってきて、お子さんが好きなものの話をしたり
様々な遊びや課題を提案して、場面を共有し関わり遊びを重ねました。
そのうちにだんだん、こだわりがちょっと柔らかくなってきて
コミュニケーションと関わり遊びの中で
他者がおもちゃを触ったり動かしたりすることの
こだわりが緩和され、成長が感じられるようになってきました。

そこで
「車のおもちゃを、このカゴにお片付けしてみようか」
「ここが広くなったら、ここでゲームできるもんね」
「どっちがいっぱい車を集めて、カゴに入れられるかな?よーいスタート!」
という感じで、お片付けの練習をしてみたんですね。
そしたら、割とノリノリでやってくれました。
「次は、恐竜のおもちゃをここに入れるよ!」とゲーム感覚で促して
できたらそのつど、しっかり褒める!というのを家庭でも試していただきました。

片付けをお願いしても嫌がらない、という状況になるまで
3〜4ヶ月ぐらいはかかったでしょうかね。
その後、引き出しがいっぱいある棚を親御さんが買ってくれたので
「ここに何を片付けます」っていうことを目に見える形にしておく。
1つの構造化ですが、それをやってみようと思い立ちました。

なかなかアナログですが、ポラロイドカメラを使いました。
おもちゃを持ってきて、ポラロイドカメラで撮影します。
引き出しにその写真を入って
「ここポケモンのおうちね」「ポケモンここに入れてみよう」って
引き出しに一緒におもちゃを入れる。
その繰り返しで、所定の場所に物を収納するという習慣をつけていきました。

訪問ならではの「言語療育」


こういった状況は、実際におうちに行ってみないとわからない困り事ですし
親に言われると“泣いてわめいて、癇癪“と甘えが出てしまう場合でも
第三者が関わって、成功体験を積み重ねて、できたら褒めるを繰り返して。
親御さんにも、適宜少しずつヒントや介入を減らしながら
片付けをを促し、実際褒めてもらう。
そして、自分でできることを増やしていく。
このような具体的な関わりや助言は
通いの場ではなかなか難しいのが現状です。

中にはおうちに私が教材を持参し、実際遊んでいるところを見てもらって
「こんなふうにすると、本人の言葉を引き出すことができますよ」とか
「こういうふうに関わると、こういう力が育つので
  ぜひこんなこんな一工夫やってみてください」っていうようなことを
親御さんに、その場でアドバイスするということもあります。

実際にはそれ以外にも
おうちの中での困りごと
それが片付けだったり、物や他人を叩いちゃうとか
椅子や机に登っちゃうとか、トイレの悩みとか
朝のお支度が難しいとか
クールダウンのスペースを家のどこに作ろうか、など。
それって、実際の環境を見ないと対応が難しいので
困りごとがあるご家庭に、訪問支援するということは
意味があることだなと思っています。

私が今まで対応した方というのは、まだ数例なので
まだこれから経験を積み、そして
努力や工夫を重ねないといけないなと思っています。

なので、
こんなふうに働いている言語聴覚士もいますよ、ということを
見知っていただけるとありがたいなと思います。
では今日はここまでといたします。
では、また次回お会いしましょう。ありがとうございました。

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