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オレは女が嫌いだが

12
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オレは女が嫌いだが 12

オレは女が嫌いだが 12

青年、京平はひょんなことからアロハシャツの探偵の朱里の助手になる。神戸で仕事と連れられた先で朱里とは別行動。なぜか神戸美人妻と合流してラブホテルへ。何かの工作のために神戸美人妻がダシにされているのではないかと勘ぐった京平は神戸美人妻に気持ちを開こうとするが……。

「お話、聞かせてもらえませんか?」

「え?」

 神戸美人妻、いや、香奈枝さんの目が潤んで見えた。

 一人の女性だと思わないように

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オレは女が嫌いだが 9

オレは女が嫌いだが 9

 二日酔いの朝、そしてなぜか朱里が我が家にいる朝。

 コイツ、無防備すぎる。

 例によって、オレの方が早く酔い潰れたのだろう。朱里に運び込まれて、寝ていたらしい。朱里はオレの部屋着を勝手に着ている。もう慣れたものだ。

 ゴールデンウィークが明けて、平凡な日々を過ごしていた。

 オレはちょくちょく、ゴールデンウィークの間も天に顔を出していたが、朱里は大阪に帰っているとかなんとかで一切現れなか

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オレは女が嫌いだが 7

オレは女が嫌いだが 7

 朱里に促されて店内に入ったのはよかったが、席についておしぼりをもらうと自分の情けなさがぶり返してきた。

 うつむいて、おしぼりを握りしめることしか出来ずにいると、朱里の顔が耳元に近づいた。そして吐息が耳にかかった。

 オレは瞬時に朱里から距離をとった。そうか、コイツとサシで飲むってことは隣り合って飲むってことか。

「林田有希、26歳。彼氏は大手飲料メーカー勤務。結婚の話は出ているものの、彼

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