農家が直売所でリピーターを増やすための工夫とポイント
直売所を始めることになったきっかけ
私たちの直売所は、もともと「ロイヤルクイーン」といういちご品種の栽培を始めたときに、農協からの出荷を1年間停止させられたことがきっかけでスタートしました。本来、栃木県産以外のいちごを作ることは、所属していたいちご部会の規約に反していたのです。規約は独占禁止法に違反していましたが、当時は農協もいちご部会もそれを知らず…あちこちに相談した結果、現在は農協に出荷しながら直売所も運営できるようになりました。
せっかく直売所を始めたからには、お客さんに「ファン」になってもらいたい。どうすればうちのいちごに惚れ込んでリピーターになってもらえるか、あれこれと考えました。
実際にお客さんに理由を聞いてみると…
生産者の顔を見て買いたい
Instagramの投稿を見て美味しそうだと思ったから
栃木に旅行に来て、お土産を買いたかった
新鮮ないちごが買えると思ったから
たまたま検索して見つけたから
他の直売所が閉まっていて、遅くまで開いているここに来た
など、様々な理由がありました。
リピーターを増やすための工夫
一度きりの来店が多く、なかなかリピーターになってもらえないことが悩みでした。そこで、お客さんに「ここで買う価値」を感じてもらい、「ここでしか味わえない体験」をしてもらうことが大切だと考え、次のような工夫を始めました。
1. 生産者から積極的に話しかける
直売所では、両親が生産者として積極的にお客さんに話しかけています。元々話し好きな2人だったので、お客さんとの会話を楽しむことでお互いにメリットが生まれました。
「生産者と直接話せるのはスーパーや道の駅にはない直売所ならではの魅力」だと思っています。
2. いちごの試食
いちごは追熟しないので、取れたての一番美味しい状態で食べてもらうために、試食もお出ししています。特に初めて来たお客さんには品種の違いを知ってもらうためにお渡ししています。ただし、2回目以降の方は「どの品種が好きか」が決まっている事が多いので、毎回お渡しすることはしないようにしています。何度も試食だけを目的に来店する方への対策でもあります。
3. お子さん連れペット連れでも安心できる工夫
いちごを選んだり発送伝票を書いたりしている間、お子さんが暇を持て余してしまうことがありました。そこで、直売所の外にブランコや子供用の椅子、ペットのリードフックなどを設置。直売所が混雑しているときでも、外でお待ちいただけるように長椅子も用意しました。さらに、自動販売機も設置し、ちょっと喉が渇いたときに便利なように工夫。
自販機は場所の目印にもなり、電気代を差し引いても数千円の利益が出ています。
4. オリジナルのメッセージカード
贈り物でいちごを購入される方のために、オリジナルのメッセージカードも作成しました。デザインはパソコン教室で作った簡単なものでした。
ちょっとした工夫ですが、コロナ禍で帰省できないお客さんの為に用意したものです。
お客さんが贈り物をする際に「気が利く」と喜んでもらえるポイントになっています。
5. 遅くまでの営業時間
お客さんが仕事終わりや観光帰りに立ち寄れるよう、営業時間を夜の19時までに設定。元々、直売所の運営と並行してパック詰め作業もしていたため、営業時間外でも対応が可能でした。おかげで遅い時間でも買いに来てくれるお客さんが増えました。
6. いちごの品種とパックのバリエーション
プレゼント用と自宅用、それぞれのお客さんに合ったいちごのパックを用意しています。プレゼント用には一粒ずつ入れる「ソフトパック」、自宅用にはいちごが2段になったパックや大粒が入る「平パック」など、お客さんの要望に合わせてその場で詰めることも可能です。タバコを吸う方のために喫煙所も設置し、お客さんが気持ちよく過ごせる空間づくりに心がけています。
お客さんの喜びを第一に
リピーターを増やすための工夫はたくさんありますが、何よりも大切なのは「お客さんが喜んでくれることを第一に考える」こと。大きなコストをかけなくても、メッセージカードや椅子、自動販売機など、少しの工夫でお客さんの満足度を高めることができると思います。
またこちらから依頼した事はなかったですが、
Googleに嬉しい口コミを書いてくれる事など
こうした取り組みを通して、2〜3割のお客さんがリピーターとして再び訪れてくださるようになりました。
「いちごが美味しかったからまた来たよ」「丁寧に発送してくれるから」「子供がいちごのおじさんに会いたいって」など、
様々な口コミから新しいお客さんとの嬉しい出会いが生まれています。
続く
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