見出し画像

生きていくということ

「あなたは幸せな家庭で育っているんだろうね」


子供の頃、
学校の先生に言われたことがある。


「はい。ありがとうございます」

ニッコリ笑顔で答えて
心の中では何もわかってないなぁ~と、
さびしく思った。


私は両親が嫌いではなくて
イイ子でいようと努力して生きてきた。


親からされたことを
つらつらと書く、ことが
今も上手にできない。



父から私の結婚式の日
親戚や夫の家族のいる前で
私を見て
「俺はあーゆー女は大嫌いだ」と
大声で言われたことや
母からは
小さな頃からずっと
「あんたは苦労して苦しめばいい」と
呪いの言葉のように何度も言われたことは
今も心に残っている。

身体の暴力より
言葉の暴力の方が私にはキツかった。
腫れた顔やあざは時間がたてば消えるけど
心に残された傷はぐずぐずと
痛いまま放置されっぱなし。


でも私は
笑って楽しい幸せなフリをした。


親が喧嘩をしていたら
おちゃらけて笑いをとろうと
一生懸命お笑い芸人を演じた。
それによって怒りの矛先が私になることが
多々あったけど。

でも私は笑っていた。


いつも薄ら笑いをしていた。
大人になってからも。


知人の占い師に

「怒ってるよね。ずっと怒っていて悲しいのを隠しているよね」

ストレートに言われ
あ、私怒ってるんだ。と気がついた。


頼れるお父さん
優しいお母さんがいる家庭に
めいっぱい憧れていた。
そんな思いは心の奥底に埋め沈めた。



結婚してからも
実家の買い物や掃除をして
夜中に呼び出されたり
なかなかお疲れモードで生きており
これでいいのかな?と思って何年も過ごしていた。


何て言うか、
書ききれないほど
両親との間には
驚くような出来事が沢山ある。

心の中に整理されずゴチャゴチャと
今も放置されたまま。



大切にわかりやすい愛情をもらって
育っていないので
他人から粗末に雑に扱われても
気にしない、というか
気がつかないというか、
実家にいたときよりマシだし!
後ろ向きな
前向きマインドで生きてきた。


母が精神を病んで
鍵付き小部屋病棟へ
入った時
私は妊婦でヘトヘトになりながら
母に付き添った。

入院するまで
エクソシスト(悪魔払い)を
呼んだ方がよくない?と思うくらい
母の暴れっぷりは
悪魔がとりついたそれだった。

私はそんな母を
何度も何度も
抱き締めたけど
母の目が私を見ることはなかった。



私が病気になりはじめたとき
父が自殺した。
この日を境にTVドラマでも
首吊りをしている人を見ると
苦しくなったし、
命について軽々しく話すことは
できなくなったし
聞くことがさらにつらくなった。

今も答えがでないまま
父のことを思う。

病気のしんどさに
父のように死にたいと思い
行動したこともある。
寂しがり屋の父が寂しくないか心配だった。



私は父や母が笑って幸せで
いてくれたらいいな、と思っていた。
仕事としていたボディケアを
父や母にも心を込めて施術していたし
元気で過ごしてくれたらそれでいい。と
本当に心から思っていた。



でもそれは叶わなくて
両親の問題は二人のことで
私は何も役に立つことはなかった。


こんな私だから
この程度の私だから別にいいんだよ
そんな風にこっそり思っていた。



ところが

「母ちゃん朝ドラの主人公だったらずっと大変な状態だよねー!ずっと人生下がっていたけど、こっから上がるよ!!」
と、娘が私の人生を聞くと笑いながら言った。

さらに

「ひどい目にあったり、つらい言葉ばかりの中よくがんばったねーー!これからはあたたかい言葉や優しい気持ちいっぱいになるよ。こんな自分じゃないよ!母ちゃん素敵なんだから!」

自信満々に私に言う娘。


私の人生って笑えるんだ。
やっぱり笑える人生なんだ!と
話しながら
娘と大笑いした。


両親に笑顔になってほしい!と言う気持ちが
強すぎて
私はいつもいつでもお笑い芸人のように
面白いことばかり探している人生に
なっていた。


私は自分の人生なかなか面白いなぁと思いたい。



夫はいつでも優しくて
母や父のゴタゴタがあっても
しっかり対応してくれた。
夫がいなかったら、今、笑えていなかったと思う。

今もまだ夫や娘に優しくされると申し訳なくなる。
優しさに慣れる、のはハードルが高い。


今は心から笑顔の日々を送っている。
私はやっぱり面白いことが大好きで
笑ってくれるとすごく嬉しい。


いつか両親のことを書きたいと思う。
不器用でつらいことが沢山あった二人の
話を書きたい。


「人には幸せになる権利もあるの!だから
母ちゃんはたくさん愛されますます幸せになるのよ!」

13歳の娘に鼻息荒く力説された。



私の周りには優しい人がたくさんいて
人生折り返し地点で
ご褒美をいただいている気分になっている。


ただあまりにも
両親が濃いキャラだったため
ひどい扱いには慣れているのに
優しくされると
あわわ!あわわ!と、どうしていいのか
わからなくなる。

心がぽかぽかで幸せで
涙がでてきてしまう。

「幸せな家庭なんだね~」
と聞かれたら
「はい。ありがとうございます」
今は本心で答えることができる。

出逢ってくださった方々のおかげで
生きていくということが
幸せで有り難い。



いつも優しさを届けてくださる
まつおさん。

嬉しくて、気持ちがあたたかくて。
優しさに慣れていないので思いを上手に言葉にできなくて、
申し訳ないです。
本当にありがとうございます。

病気であちこち痛みがありますが
それ以上に嬉しかったり幸せな気持ちが
今はたくさんです。

今日笑って過ごせているのは
いろんな方のおかげだと、心から思います。
本当に、ありがとうございます。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集