グルメエッセイを実食〜向田邦子の「冬瓜の砂糖漬け」〜
こんにちは。
読書と食べ歩きが好きなので食に関するエッセイをよく読みます。本に登場するグルメの中で取り寄せ、購入できるものは実際に食することも。
今回は向田邦子著『海苔と卵と朝めし』に出てくる銘菓「冬瓜漬」を食べてみました。
「沖縄胃袋旅行」の章で沖縄料理について触れています。
本ではここだけしか出てこない…謎のお菓子。沖縄の珍しいお菓子としか書いてない…
正式名称は「冬瓜漬け」
冬瓜を砂糖だけでじっくり時間をかけて煮詰めた琥珀色のお菓子。中国から沖縄地方に伝わり、以来代々受け継がれ作られてきたようです。甘い瓜って全く想像がつきませんが…。そこで沖縄旅行時に那覇市に居を構える「謝花きっぱん店」で購入してきました。
棒状、直方体の形のお菓子。これを薄くスライスして食べます。
ココナッツが外側にまぶされたものも買ってみました。こちらは1個の大きさが親指の第一関節くらい。薄くスライスしたものが右。
お店の方の話だと色々な食べ方が楽しめるとのことでしたが、最初はプレーンで。
キャラメルを焦がしたような、燻製香のような香り。林檎の蜜を強くしたような濃厚で独特な甘味。砂糖漬けなのでジャリジャリしゃりしゃりした食感。なぜかドイツ人にうけるんじゃないか、と頭によぎりました。ヨーロピアンな雰囲気も漂う。
かなり個性的なお菓子なので少しずつ食べた方がベスト。写真のスライスした一切れも何回かに分けて食べても良いくらい。
次はアレンジメニュー
しょっぱいチーズを冬瓜漬の甘みがふわっと包み込んで違う次元に連れて行ってくれる高級感ある味。紅茶やコーヒー、ワインに合いそう。
生ハムメロン方式。甘みと塩気の組み合わせが良し。個性的な甘みのお菓子なので、強い塩気の生ハムと戦ってる感じあり。でもそれは対立し合うんじゃなくお互いの良さを引き出しあってる印象。
これは…赤ワインに合いそう。ライ麦パンのかみごたえある食感としょりしょりした冬瓜漬のコントラストが面白い。重いライ麦パンの発酵感と瑞々しい甘みの組み合わせはアルコールにも負けない存在感溢れる味になってます。
この泡盛コーヒーが特に生ハム巻きと合う。このお酒つまみ何にすれば良いかな?難しいな、と思ってたけど…これだ!このつまみのために開発されたんじゃないのかってくらい。尖った甘みが際立つつまみと甘くない泡盛、珈琲の香りが合う。
冬瓜漬、美味しかったです。
でも、感想にも書いたように、本当にお酒が欲しくなるお菓子なので子供向きじゃないですね。向田氏はこれを幼少期に食べていたというので驚きです。このような個性的なものを味わっていたからこそ、グルメエッセイが書けるような非凡な感性を持てたのかもしれません。冬瓜漬けによって作家:向田邦子が生まれた、というのは言い過ぎでしょうか?
こっちの記事も良かったらどうぞ!