冬は次の季節に向けて“備える”時期(国際薬膳師・CHIYUKI ARITA)
──今月のテーマは「英気を養う」。寒い日が続き何かと忙しい年末年始は、休まる暇もなく疲れがち。今回はそんな時期の過ごし方について、国際薬膳師やライターとして幅広く活動されている有田千幸さんにお話を伺います。
有田:はじめまして、有田千幸です。外資系航空会社のCA、女性ファッション誌・WEBの編集などを経て、現在は料理をつくる仕事と文章を書く仕事をしています。料理の方は、自身で主催する料理教室で中医薬膳学の考え方をベースとしたワークショップを開催したり、週に一度カフェで養生台湾朝ごはんと植物性の薬膳ケーキのポップアップを行ったり、また企業のレシピ開発や監修にも携わっています。文章を書く方は、環境・サステナビリティ・エシカルなどをキーワードとした媒体で執筆しています。
──有田さんが薬膳に興味を持ったきっかけはなんだったんでしょうか?
有田:現在4歳になる娘がいるのですが、子育てを通して、自分の体や、子供にとって最善の食事を心がけたいとより強く思うようになりました。その時に、私のルーツのひとつである台湾文化の影響で中医薬膳に興味を持ったのがきっかけです。そこから国際薬膳師の資格を勉強する中で、学びを深めていきました。
冬は次の季節に向けて備える時期
──何かと忙しい年末年始は、からだの不調を感じることが多いです。こんな時期はどのように過ごすのがよいのでしょうか?
有田:冬は次の1年に向けて体にエネルギーを貯蔵する時期と言われています。この時期に「養生」してちゃんとエネルギーを補うことができないと、春になってから体調を崩したり、いつまでも調子戻らない。ということが起こってしまいます。
──冬に意識するべきことはありますか?
有田:当たり前のことですが、冬は体を温めることが大切です。衣食住で言うと、「衣」はゆるいものではなく、ぴったりめのものを着て体温を逃さないようにすること、「食」は季節の食材で体の陽気を補い、エネルギーを保つためにたとえば、鶏肉、エビ、くるみ、ニラなどを食べるのも良いと思います。「住」は暮らしの中でミニマルに動く、早寝遅起きが基本的なポイントになるかもしれません。
ゆっくり過ごしましょ。それでいいんです。
──そうなんですね!最近は寒くてなかなか起きられないので、早寝遅起きでいい、と言っていただけるなんて、ちょっとうれしいです。
有田:冬はエネルギーを消耗し過ぎないようにするため、できるだけゆっくりと過ごすことがいいと言われています。冬だから、それでいいんです。それが養生なんですよ。ただ、人によってはゆっくりしすぎると、逆に調子が狂ってしまう人もいるかもしれません。体質や年齢も千差万別なので。ぜひ自分に合ったリラックス法を見つけてみてください。
──有田さんが寒い季節に行っている暮らしの中でのコツなどありますか?
有田:朝起きて一番にすることは、ポットで15分くらいお湯を弱火で沸かし、それを飲むことです。そうすると、湯気が室内を潤してくれるし、白湯で体を内側から温めることができて一石二鳥なんです。電気ケトルは便利だけど、あえて鍋でふつふつことことと沸かすのはこだわりかもしれません。
自分や相手に向き合う真心があれば、それは薬膳料理なんです。
──有田さんが考える「薬膳」とはなんでしょうか?
有田:「薬膳」と聞くと難しい印象を持たれる方が多いと思います。でも私は「真心」があればそれは「薬膳料理」だと思うんです。薬膳料理の根本的な考え方は、身体の状態に合わせた食材を摂り体調を整えること。個々の身体の変化に耳を傾け、必要とする食べ物を食卓に取り入れる事です。自分の体調や家族の体調を考える「真心」を持って、食材を選び、調理法を選び作る。そうやって自分や相手を理解して向き合うことが大切かなと思います。
──とても素敵なお話をありがとうございました。
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