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2018年3月の記事一覧
プリンセス・クルセイド #8 【決着の刻】 3
夜遅く、エアリッタの郊外にある屋敷の前に、3人の女性が集まっていた。
「あいにくの月夜ですわね」
茶髪の女性、イキシアが空を見上げて恨めしそうに呟いた。彼女は普段の煌びやかなドレスではなく、黒を基調とした体にフィットするタイトな服に身を包んでいる。
「でも、綺麗な月ですよ。満月が近いようですね」
薄紫の髪の女性、タンザナが月を眺めながら答えた。彼女の服は普段と変わらない。ゆったりとし
プリンセス・クルセイド #8 【決着の刻】 2
意識を取り戻したアンバーは、自分が石造りの地下牢の中に立っていることに気が付いた。不自然な形で挙げられている両腕を下げようとするも、何かに邪魔されて全く動かすことができない。見上げると、両手を拘束されたまま、腕が天井から下がった鎖に繋がれていた。視線を下げると、石の床に備えられた金具に両足が固定されている。
「捕まったんだ……私」
腰に差してあるはずの聖剣は見当たらない。おそらくは囚われた
プリンセス・クルセイド #8 【決着の刻】 1
気がつくとメノウは走り出していた。胸にわだかまる感情の重さに耐え切れなくなっていた。それは、彼女がアレクサンドラの剣に屈したからではない。もちろん、その件も彼女の枷となってはいたが、それ以上に彼女を苦しめていた事実が他にある。
「アンバー……私のせいだ」
街の通りを駆け回りながら、自責の念が口をついた時、彼女は探していた人物を見つけた。
「イキシア王女……」
「メノウ……」
イキシ
プリンセス・クルセイド #7 【ココロの試練】 4
絶え間なく降り注ぐ雪が降り積もった大地を蹴り、アンバーは高く跳躍した。
「ハァーッ!」
そのままの勢いで、建物の上からこちらを見下ろすジェダイトへと襲い掛かる。
「おっと!」
ジェダイトはバックステップで攻撃を躱すと、即座に反撃のレイピアを振るった。
「くらいなっ!」
「せいっ!」
飛び出した斬撃波が、別の斬撃波とぶつかって相殺される。アンバーが着地際に放っていたものだ。