プリンセス・クルセイド 第3部「ロイヤル・プリンセス」#2 【叡智の姫君】 2
インカローズにとってウィガーリーの城の図書室といえば、ほとんど自分の別荘といっても差し支えなかった。収められている蔵書のラインナップに関しては、生半可な関係者よりも詳しい自信がある。あるいは城主のアキレア自身よりもーーそれは少し大袈裟か。
ともあれ、そのようなインカローズであったが、今回ばかりは読書が目的ではない。扉を開けて図書館へと入室した彼女は、まず静かに周囲を見渡し、目当てのものを探した。すると、円上に並べられた本棚の中心にある机を利用してで調べものをしている薄紫色