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Sheep Magazine
2018年8月19日 19:44
その日、家庭教師との授業をつつがなく終えたインカローズは王室の大図書館にやってきた。目的は本日の学習内容の復習――というのも確かにあるが、真の狙いは別にあった。彼女は吹き抜けになった円筒状の部屋の中央へと歩み出ると、昼下がりの日光が差し込む天窓を眺めた。もうすぐだ。いつもこの時間、ここからあれがやってくる。「――来た!」 インカローズは手を伸ばし、それを受け取った。天窓から啓示じみて舞い