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米栗カレンダ

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米栗久三郎による、1日1絵の、日めくりエッセイ。 3歳の「彼」の今日を綴ります。 こどものありようって、哲学だなあ…と思うのです。
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#親子

🍙4歳になりました🍙米栗カレンダ■06/28

おひさしぶりの更新です。 うちの息子は4歳になりました。お弁当のおにぎりは3個になり、身長はまもなく1メートルになります。ますます『俺の世界』が確立されてきて、好き嫌いがはっきりとしてきました。子の魂って、親と似てるところなんてないですね。 4歳の彼は幼稚園の年少組に通い、なぜが11人中9人が男子という男子高のような環境で、たくましく、時に翻弄されつつ毎日を過ごしています。 これからこの4歳日記を書いていきます。 少年時代を目撃するって、魂に喝が入ります。 ■6月某

骨にひび、熱と鼻水【weekly 米栗カレンダ 20201103】

■あれよあれよ幼稚園で「緊急時ひきわたし訓練」が行われた。 大地震が起きた時、確実に「保護者と証明できるひと」に子供を引き渡す訓練だ。 まず「大地震が発生したので迎えに来てください」の連絡がオヤに来る。それから幼稚園に迎えに行く。 幼稚園に到着した保護者は、先生たちに保護者証明を提示して、子供を引き取る……で行ったら、うちの3歳の彼は半泣きで待っていた。何やら機嫌が悪い。駐車場の車までも歩きたくないと駄々をこねる。 夜ふかしのせいで眠いのか?……と思っていたら、あれよ

2階からポップコーン【weekly 米栗カレンダ 20201027】

■早すぎる、がちょうどいい砂場にて。せっせとトラックに砂を積んで遊んでいたかと思ったら、ふいにごろんとうつ伏せになって「ねてるの〜」と宣言した3歳の彼。 思い立ったらすぐに走るし、思い立ったらすぐに寝てみる。 これほどに感情と行動が連携できていたらきっと、病まずに生きていけるだろう。 周りを見すぎて身動きが取れなくなっている自分を思う時、いつも思い出すのは、京都・東山の永観堂のみかえり阿弥陀様だ。 この阿弥陀様は、後ろを振り返るという珍しいお姿をしているのだが、それに

日暮れ時の幻のようなできごとたち【weekly 米栗カレンダ 20201020】

■馬頭琴「これはモンゴルの楽器だよ」 公園に向かう途中にある、細いトンネル。その出口で、珍しい楽器を奏でていたおじさん。その様子をじっとみつめた彼、三歳。 「馬頭琴(ばとうきん)って言うんだよ。」 おじさんにそう教えてもらって、父親と一緒にしばし演奏に見入った彼でした。 ■手つなぎ騎士この日、ばあば宅から、自宅に戻る道はすっかり日が暮れていた。 「暗くて怖くない?」とオヤが尋ねると、「怖くないよ」という彼、三歳。 そしてオヤと手をつないだまま、 「まもってあげる

ああ、いい一日だった【weekly 米栗カレンダ 20201013】

■シュレッダーばあばが、溜めに溜め込んだ書類を、一気にシュレッダーにかけた。 それはそれは大量の「シュレッダー済の紙ふぶき」ができた。 ばあばがゴミ袋にまとめたそれを、ざーーーーーっと床にぶちまけた3歳の彼は、それを雪に見立てて傍若無人の遊びっぷり。 片付けが…と白目になっているオヤ。部屋中が…いや、家中が紙ゴミの館と化したのでした。彼が寝たあとの片付けは、果てしなく大変だったのでした。 ■風船近所のおじさんが「薬屋からもらってさ」と、風船(まだふくらませていないゴム

いつも歓迎されているとは限らない【weekly 米栗カレンダ 20201006】

■家族会議久しぶりに行った、府中の祖父宅。 大人6人に子供一人の親戚が集まった。 3歳の彼は、久しぶりに会う(一年以上のブランク)祖父母と叔父叔母に内心とまどいつつも、彼らをよく観察していた。 そう、子どもは意外なほどに周りをよく観察している。 だから、大人同士の関係や(夫婦仲とか、親子間の感情とか)、彼らが自分をどう思っているのかも、かなり敏感に察知している。 だから和気あいあいとした食事も、そのあとの家族会議も(ちょっと子どもはお呼びじゃないな)と感じ取ると、ベ

【米栗カレンダ 20200828】子どもの長さ、大人の短さ

(最近、時間の進み方が変わった。 もちろん体感として。 楽しいことをしているのに時間の進み方がゆっくりに感じることがある。 逆に、ちょっとしんどい事をしているのに、思いがけず時間が過ぎていたり。 これまでは、楽しい時間は矢の如く過ぎ、辛い時間はだらだら長びくものだった。 楽しい…が、子どもの楽しいと直結しているからか。 子どもの1日は長いから、その体感とシンクロしている気がする。 対して辛い時間は、たいがい自分問題だから、大人にとって1週間があっという間に感じるよ

【米栗カレンダ 20200825】オヤは関係ない

「こういうすべりかた、してみただけ!」 (ソファに駆け上がろうとして、床に置いてあった(自分で投げ捨てた)タオルに足を取られ、盛大に滑って転んだ彼。 泣くか…と思いきや泣かず、キリッとオヤを振り返るなり、 「こういう滑り方をしてみただけ!」 と、言い放った3歳児。 滑ってもわざと滑ったのだと主張する意地っ張り。(転んじゃった、テヘっ)と可愛い笑いに転がさない、ストレートな表現を選ばないところに遺伝子を感じる。 『親譲りの無鉄砲で…』というのは、夏目漱石の【坊っちゃ

【米栗カレンダ 20200820】正しさは自分で選べる

めいろがすきなのよ。 (何しろ酷暑なんである。 自ずと室内での遊びのバリエーションを増やさないといけない。 レゴブロック、お絵かき、ゴムボールでのサッカー、野球、かくれんぼ、動画鑑賞(トレーラーが延々と走っていくだけの)、ゼリー作り、歌……しかし飽きるので、書き物系を手に入れた。 『2歳からの迷路』『2歳からのひらがな』……3歳の彼は、いわゆる夏休みの計算ドリルに立ち向かう小学生のように、果敢に椅子に座り、ペンを握った。 しかしドリルっぽいものや、知育教材なんてうち

【米栗カレンダ 20200815】殺し文句

さみしくて、もう、あるけないの。 (女子の一定数は、甘え下手だ。 が、そんな甘え下手な女子たちに「使える殺し文句」を伝授したい。 「寂しくてもう、歩けないの」 これがうら若き女性の台詞で、爽やか青年に向けて投げかけられたものだったら、何かしらのドラマが生まれるだろう。甘えるにもほどがある言い草ではあるが、言うタイミングによっては「つかえる」。 まあ、現実世界でこれを言ったのは3歳の男児でして。 言われたのは彼のオヤでして。 オヤが家事で忙しくていたら、「こっちを

【米栗カレンダ 20200809】腫れている

こっちは、はれてるのよ。 (オヤを患者役にして、お医者さんごっこをはじめた彼。 オヤは、ボールをTシャツの下に入れて(彼の指示で)、 「こんにちは。お腹が痛いんです。」と診療所に行く。 すると医者(3歳)は、 「どうしたんですか。腫れちゃったんですか。治しますよ〜。(ボールを取り出して)こんなのが入ってましたよ。」 と、ボールの摘出手術をしてくれた。 患者役は、「お腹痛くなくなりました。ありがとうございます。」と立ち上がろうとした。 すると医師(3歳)は、ふっ

【米栗カレンダ 20200802】好きなものを着て生きるのだ!

なんで、ぴんくきてるの? (とても、はっきりとした大声だったらしい。 3歳の彼は今日、オヤ(私じゃない方の)と一緒に公園にいく途中、ピンクのシャツを着た初老のおじ様とすれ違ったらしい。 すると彼は、いつものきっぱりとした声で、 「なんで、ピンク着てるの?」 彼の地声は最近、腹式呼吸のせいか、かなり大きい。 もちろん、ピンクシャツのおじ様に聞こえている。 ジェントルマンは、笑いながら手を振ってくれた…らしい。 オヤは急いで「ピンクのシャツ、似合ってるね」とフォロ

【米栗カレンダ 20200729】孝行息子?

こんなおかおなのよ! (椅子の背もたれに両手をかけて、こちらに背を向けている彼。 「『お顔見せて』って、言って!」と彼が言うので、 「お顔見せてくださいな。」とオヤが頼むと、彼はくるりと振り返った。 「こんなお顔なのよ!」 と言ったその顔。 三白眼でにやりと笑っている…「わるい男とはこういうことさ!」とでも言いたげな顔! が、3歳児がやると迫力のかけらもなく、ただただ面白いお顔なので、つい笑ってしまったら、嬉しそうに、 「も一度やるからね!」と繰り返す。 も

【米栗カレンダ 20200726】恐怖のサマーカット

かみ、きるのよ…ぱぱの! (彼の髪がのびてきたので、「切ろう!」と言ったら、 「いいよ!」と威勢のいい返事があった。 これまで彼のヘアカットといえば、暴れまくる猫をお風呂に入れるくらい大変な作業だったのに、いったいどうした?と思っていたら、ハサミを手に取り、 「おいらが切るのよ、パパの!」と言う。 そうじゃない、君の髪だ!と言いたかったが、まあ仕方がない。パパの髪を切り、それから子の髪を切ろう。 彼ははりきって、パパの頭にハサミを振るう。じょき、じょきといい音がす