視点

視点を変えてみるといいかも?

小杉俊哉氏の心に響く言葉より…

『起業家のように企業で働く』を出版してから5年半が経過した。

この5年半を振り返ると、当時とは大きく環境が変化している。

見えやすい点としては、超人手不足で、求人倍率が高く圧倒的な売り手市場となり、新卒の学生たちは多くの内定を得て、その中でもっともよい会社を選んでいる。

特に意欲が高く優秀な人材の行動も大きく変化している。

5年半前は、就職人気ランキング上位を占める、金融・保険を中心とするいわゆる日本の一流企業に就職する、というのがまだ王道だった。

しかし、かつては思うように人材を集められたメガバンクも今や優秀な人材を惹きつけるのに苦労している。

彼らの志望は戦略コンサルティング会社や、外資系企業だったりするからだ。

この5年半で、AI、ロボットの導入の必要性は常識となり、業種を問わずAIを専攻したエンジニアやデータサイエンティストが求められるようになった。

このような変化の中で、企業で働くメリットを改めて考え、
企業において「起業家のように」働くことは、ごく一握りの人たちではなく、誰にでも必要なことになってきたのではないだろうか。

企業で働く人にとって「起業家」とは、縁の遠い存在かもしれない。

何か特別な能力を持ち、成功する保証もない事業にリスクをとって望むエネルギーに恵まれ、なるべくしてなる別世界の人、というイメージだと思う

企業に勤める人たちとスタートアップ経営者。

彼らと間近で接してきてつくづく思うこと。

それは「起業家」マインドが必要なのは、スタートアップ経営者だけではない。

企業で働くにしても「起業家」のように考え、働くことが必要だ、ということだ。

企業において、どんどん出世していく人、あるいは、やらされ感なく楽しそうに仕事をしている人は、例外なく「起業家」マインドを持って自律的に働いている。

しかし、「具体的にはどうすればいいの?」ということに対する答えは掲示されてこなかったように感じる。

本書の中では、

『企業研修で多くの人たちに接してきて感じるのは、ほとんどの人が組織に依存していて、自ら主体的に動けるということを忘れてしまっている』

ということだ。

企業で働く自律した人は、50人に1人、100人に2人くらいしかいない、
という実感がある。

企業で働くにしても、自ら仕事を作り出し、自らの責任において行う、すなわち「自律」が必要になった。

結局は、いざとなったら誰も助けてくれないし、責任をとってくれない。

日々ニュースとして取り上げられている企業のM&Aや部門売却・買収の対象となった人たちのことを考えればわかるはずだ。

かつては、上司の指示を受け、言われたことをきちんとそつなくこなす部下が優秀な部下であると評価された。

今でも、もちろん言われたことはちゃんとやらなければ評価されることはないだろう。

だが、それだけでは十分ではないんだ。

企業の経営者や管理者は、業績を上げて人材が魅力を感じる場や機会を与え続けないと、人材を惹きつけ、働き続けてもらうことは出来ない。

人材も、自身の能力やエンプロイアビリティ(雇用されうる能力)を高めるために自己投資をし続けないと、環境が変わったときに要らない人材になってしまうリスクが高い、ということだ。

人材から『人財』を目指してみるのはいかがだろうか。

フィンランドでは、小学校から起業家精神の教育をしている。

起業家精神(アントレプレナーシップ)とは、

創造性、自己効力感(自己に対する信頼感や有能感のこと)、柔軟性、活動、勇気、イニシアティブとリスク管理、方向性、協調性とネットワーク能力、ものごとを達成するモチベーション、常に学び続ける態度、空想性、豊かな発想、我慢強さなどを意味します。

フィンランド教育省は、起業家精神は「アイデアを行動に翻訳する個人の能力」と定義しています。

これは創造性を発揮してユニークなアイデアを生み出し、さらに単なるアイデアで終わらせずに行動に移す、という二面の能力を要求しているのです(みんなの教育 スウェーデンの「人を育てる」国家戦略)より

起業家のように企業で働く人には限りない魅力がある。

仕事などに不満がある方は一度、自分の視点を変えて物事を見てみるのも面白い気づ気があるものだ。

知らない世界を知ることこそ、可能性を広げ、行動に繋がる。

1つの参考になれば幸いです。


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