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茶の湯で飲むお茶の入れ物には、陶器でできた茶入と呼ばれるものと、木でできた薄茶器と呼ばれるものがあります。

植物のナツメの実に形が似ている薄茶器を「棗(なつめ)」と呼ばれており、現在は薄茶器の総称として棗と呼ばれます。棗形の薄茶器は何通りもの形がありますが、単純に「棗」と呼ばれた場合は、利休形の棗を指して大きさにより「大棗」「中棗」「小棗」の3つに分けられます。

ナツメ Wikipediaより@Tintazul

大棗は約8cm、中棗は約6.6cm、小棗は約5cmほどの大きさになります。
大棗と中棗は、大きさが厳密に決まっていますが、小棗は厳密な大きさの決まりはなくひとつひとつ大きさが違います。

棗 Wikipedia@Magnus Manske

大棗は薄茶専用ですが、中棗は濃茶にも使われ、小棗は濃茶専用として使われます。

濃茶と薄茶を別の容器に入れるという習慣は、江戸時代に始まったものでもともとは薄茶器も陶器の茶入も同じように使われていました。薄茶器という言葉は薄茶用の器というより、薄く造られた茶器と解釈した方が、分かりやすいかもしれません。

濃茶用の小棗は黒無地が基本とされていますが、大棗や中棗は黒無地以外に朱色の下地に半透明の漆を塗って仕上げた溜塗(ためぬり)や、木型に和紙を張り合わせた一閑張(いっかんばり)、漆で絵付けや色付けをした後に金属の粉を蒔いていく装飾した蒔絵(まきえ)などで装飾された絢爛豪華な棗もあります。

棗以外の薄茶器としては雪吹(ふぶき)や中次(なかつぎ)、金輪寺(きんりんじ)と呼ばれるものなどがあります。

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