こちらの課題図書を選んだ理由
毎年、読書感想文講座で使う課題図書選びに悩むわけですが、今回はネットでサンプルが読めるようになっていて少し助かりました。
低学年用「タヌキのきょうしつ」
絵の担当は、長谷川義史さん。
毎日放送「ちちんぷいぷい」の人気コーナー「とびだせ!えほん」でおなじみのイラストレーターです。
前から長谷川義史さんの絵本を読んでみたいと思っていたので、お名前を見つけた時から候補にあげていました。
サンプルを読み、子どもと距離の近い動物を扱っているのもありこの作品を選びました。
実際、手にとって読んだところ、前半は期待どおり、後半はやや意外な展開に驚くこととなりました。
後半は、とても大切で重要な内容になっています。
ただ、伝えたい事が後半にあるならば、前半の内容はこれでなければならなかったのだろうかと肩透かしをくらったような気がしました。
また、年々課題図書の内容がその学年に対して難しくなってきており、今回は特に「えらいジャンプアップしたな」という印象を抱かざるをえません。
早生まれの子もいるということを考えて選んでいるのでしょうか。
後半まで理解させよう、感想を書かせようと思うならば、家庭や幼稚園、保育園でそれなりの読書体験や書く練習を重ねておかなければなりません。
その仕事を1年生の1学期中に学校の先生がしてくれているのならいいのですが。
中学年用「ねこと王さま」
外国児童文学です。
見ての通り、装丁が可愛い!
サンプルの内容も可愛い!ということで即決でした。
手に取り開いて可愛い!読んで可愛い!
ツッコミどころ、ブラックジョークすら可愛い!
日本の児童文学にありがちな社会的メッセージが全くない楽しいお話!
君と出会えて良かった!
ただ、そんな何の問題もない作品だけに、ワークシート作りに苦労しました。
やはり、文章を書くには「問題提起」があるほうが楽なんですよね。
ここ数年、課題図書作品に「発達障害」だとか「学習障害」の子どもが出てくるものが目立ったのですが、問題提起するだけではなく、書きやすくするためにもその作品が選出されていたのかもしれないな…なんて邪推してしまいます。
知らんけど。
高学年用「月と珊瑚」
これで「るなとさんご」って読むんです。
珊瑚はそのままですが、課題図書の登場人物もついにキラキラネームですよ。
この本を選んだ理由は、「しょうがなく」および「消去法」です。
他の課題図書はノンフィクション系でした、たぶん。
ノンフィクション系は、文章よりも映像のほうが伝わりやすいという持論が私のなかにあり、残ったこちらになったのです。
毎年高学年の課題図書には「都会から地方へ転校生がやってきて空気を乱し」たり、「変わり者の女の子に男の子がふりまわされ」たりという王道「ガールミーツガール」、「ボーイミーツガール」な作品が1つは放り込まれており、この本も言わずもがな…という感じでして。
同じような雰囲気の作品を私もいくつか書いているので、良かったら来年使いませんか?と売り込みたくなるほど(ほんま売り込んだろかいな)。
出だしはまるでライトノベルもしくは昔懐かしティーンズハートのようなノリなのですが、途中からかなりハードで性犯罪や子供の人身売買についても語られます。
大人の逮捕者も二人出ます。
問題提起できるものがどんどん出てくるので、感想文の書きやすい作品だと言えるでしょう。
作品中に宝塚歌劇団の人気作品「ベルサイユのばら」のDVDが出てきます。
ヅカヲタの私がこの本を選んだのは何かのお導きかもしれません。♪フォーエバー宝塚フォーエバー♪
3冊ともとても読みやすかったです。
夏休みの宿題から読書感想文が省かれた学校もあるようですが、今年ほど攻めた作品(この3冊に限りですが)はなかなか無いので、ぜひ多くの人に読んでいただきたいなと思いました。
また、今年の読書感想文ワークシートは、リライト力をつける練習に適した作りになっております。
文章力向上の足がかりとして活用していたたければ幸いです。