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映画「極道の妻たち 赫い絆」感想文

岩下志麻主演「極道の妻たち」シリーズのなかでも最強にして最恐の姐さん「きわ」。
なぜなら、きわは父親も夫も極道。
生まれながらの極道の女なのです。
よって、どんな危ない目に遭っても「躱す」事が出来るのです。

父親の極道引退後、夫である久村(宅麻伸)が堂本組組長2代目を襲名。
夜桜の下、赤と黒の妖艶な着物姿のきわは晴れ晴れとした顔を見せます。
そんな中、敵対する三東会の組員の男(古田新太)が薬物を摂取した勢いできわを襲撃。
割れた鏡の破片で男の目を傷つけるきわ。
そこに舎弟の村上(渡辺裕之)が現れ、男を銃撃します。
開始から10分も経たないのに、主人公きわは懲役5年でいったん娑婆からまさかの退場。

その後、きわは責任を感じて夫と獄中離婚。
夫は寂しさと性欲から、5年の間にクラブのヘルプで体が抜群に綺麗な女(鈴木砂羽)を妻に迎えます。
出所後、きわは若き日に阪大生と駆け落ちして暮らした街、新宿で堅気として再スタートを切ります。そんなきわのもとに堂本組の下っ端である宜生(赤坂晃)が現れ、極道に戻そうとするのですが、なかなか一筋縄ではいきません。
少しずつ日ごとの交流で宜生と打ち解けるきわ。
スーパーの店員として働くきわのもとに、あの三東会の男(古田新太)が現れます。
激しい攻撃から身を躱し、新宿を離れ旅の道中で父親である元・堂本組組長が亡くなった事を知ったきわは大阪へ帰ります。
見た目は姐さんに戻ったものの、自分は堅気であると名乗るきわですが、元夫の妻の暴走が悪循環を招き、その渦へと巻き込まれていきます。

公開時は1995年。バブル終焉の頃です。
極道の娘と結婚し、苦労の末に二代目組長になった久村もバブル経済への色気を出します。
自分が創業者ではないという負い目から大きな話に乗っかり、いつの間にか事業の成功よりも自己顕示に力を入れてしまう久村。
このような二代目の生き方というのは今も昔もよくある話。
久村の希望の眼差しはやがてただの焦りへと変わっていきます。
そんななか、いつも落ち着いているきわを囲む組員の妻たちのバブルファッションとヘアメイクが画面を華やかに彩ります。
彼女たちを威嚇する久村の新妻を演じる鈴木砂羽の官能的な体よ。
クライマックスで鏡に映った自分の体を「綺麗ね」と言いますが、ほんまに仰る通りでした。
赤坂晃の演技はお世辞にもうまいとは言えませんが、その年ごろにしかできない無鉄砲で無邪気な青年の演技が何とも切なかったです。

また、忘れてならないのが堂本組と敵対する三東会の組長を演じる萩原流行さんですよ。狂気!こんなに狂気が自然な役者さんているのかと思うくらい。早逝されたのが本当に残念な役者さんです。

今回の「極妻」には、「家族」という絆に心血をしっかりと注ぎ続ける姐さんの姿がありました。










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