マガジンのカバー画像

本と食と私

20
ライターの田中佳祐さんと双子のライオン堂書店の店主・竹田信弥さん2人による連載「本と食と私」。毎回テーマを決め、そのテーマに沿ったエッセイを、それぞれに書いていただきます。
運営しているクリエイター

記事一覧

「本と食と私」連載1回目のテーマ:宝物どこにしまったか忘れた

宝物どこにしまったか忘れた   忘れられない味がある。    小学生の頃、私は比較的行儀の…

駒草出版
2年前
46

「本と食と私」連載2回目のテーマ:人をカボチャだと思えば、緊張しない

人をカボチャだと思えば、緊張しない 文:田中佳祐  謙虚な心と引き換えに、緊張する心をど…

駒草出版
2年前
14

「本と食と私」連載3回目のテーマ:刃物より危険な

刃物より危険な 文:田中佳祐  君は本物の納豆カレーを食べたことがあるか?  店で出され…

駒草出版
1年前
12

「本と食と私」今月のテーマ:行き止まりなんてなかった―アップルパイという逃避

アップルパイという逃避 文:竹田 信弥  カウンターに積んである林檎を2つ手にとって、流…

駒草出版
1年前
7

「本と食と私」今月のテーマ:行き止まりなんてなかった―完成しないオムライス

完成しないオムライス 文:田中 佳祐  私は煮込み料理が好きで、その中でも特に気に入って…

駒草出版
1年前
10

「本と食と私」今月のテーマ:異国の料理―代わりのきかないもの

代わりのきかないもの 文:竹田 信弥  異国の料理を食べることと海外文学を読むことは、ど…

駒草出版
1年前
13

「本と食と私」今月のテーマ:異国の料理―人生に残された料理の刻印

人生に残された料理の刻印 文:田中 佳祐  リチャード・ローティという哲学者の本『偶然性・アイロニー・連帯』を読んでいて、旅について思ったことがある。  この本は個人の生と他者との関係性について書いた一冊だ。ローティは「自己の偶然性」という章で、フィリップ・ラーキンの詩の一部を引用している。  私はこの本を読み、難しくて天井を見上げた時にイタリア旅行のことを思い出した。  旅の目的は美術を見ることで、ヴェネチアで芸術祭の会場に行き、その後ローマに移動して教会を巡った。美

「本と食と私」今月のテーマ:別れたくないもの

別れたくないもの 文:田中 佳祐  死ぬほど美味いものと聞いて、何を思い浮かべるだろうか…

駒草出版
1年前
4

「本と食と私」今月のテーマ:運動―野菜炒めの味は完成したけれど

野菜炒めの味は完成したけれど 文:田中 佳祐  大学生の頃、運動場で太極拳を習っていた。 …

駒草出版
1年前
11

「本と食と私」今月のテーマ:運動―僕が野球漫画で紛らわしているもの

僕が野球漫画で紛らわしているもの 文:竹田 信弥  この半年間、スポーツ漫画や小説に手が…

駒草出版
1年前
8

「本と食と私」今月のテーマ:動物―返ってきた空想

返ってきた空想 文:田中 佳祐  『ノーダリニッチ島 K・スギャーマ博士の動物図鑑』は、著…

駒草出版
1年前
8

「本と食と私」今月のテーマ:動物―ドジョウと幻の柳川鍋

ドジョウと幻の柳川鍋 文:竹田 信弥  野尻抱影の「悲しい山椒ノ魚」(『ちくま文学の森 12…

駒草出版
1年前
13

「本と食と私」今月のテーマ:未来―たとえこの世界が滅んでも…

たとえこの世界が滅んでも… 文:竹田 信弥  「未来の食」と言われて、何を思い浮かべるだ…

駒草出版
1年前
8

「本と食と私」今月のテーマ:未来―未来人へお願い!

未来人へお願い! 文:田中 佳祐  小松左京は日本を代表するSF作家だ。彼の一番有名な作品に『日本沈没』(光文社カッパ・ノベルス 1973年)という小説があって、映画やドラマなどで何度もリメイクされている。  小松左京は生涯で多くの小説や評論を書いており、現代に生きる私たちでも読みたくなるような名作がいくつもあるので複数の出版社から傑作選が出ている。  その中で私が好きなものは、河出文庫から出ている『小松左京セレクション2:未来』(2012年)だ。編者は批評家・作家の東浩