#19 ヒーローになる!
息子は別室登校をはじめるようになると、スマホを解禁して欲しいと何度も頼んできました。
何度も話し合い、お互いが納得できるルールを決めて、短時間だったけどスマホがまた使えるようになりました。
すると、不登校仲間とダイレクトに連絡が取れるようになってしまいました。
「俺はダメなやつだ」
「死んだ方がマシだ」
「生きてる意味がない」
などネガティブな言葉を一方的にLINEで送ってくる子がおり、息子がニコニコ楽しく過ごしていても、そのLINEが届くたびにネガティブに引っ張られてしまいました。
また、夜中に「ゲームしよう!」とか誘ってきたり、夜通し他の子たちだけで遊んでいたことがわかるLINEの内容を後から読むたびに、一人だけ仲間外れにされた気持ちになって不機嫌になりました。
どれだけ自信の水を入れても、あの子たちと少しでも接するとみるみる自信の水が減ってしまう。
すごくワガママな子たちで、ちょっと気に入らないことがあると直ぐにふて腐れたり、無視したり、ハブにしたり…。
そんな子たちの気分にイチイチ振り回されている息子にもかなりイライラしていました。
「あの子たちと付き合うのをやめなさい」
って言ったらどんなに楽かな…、でもそんなことを言うような親になんて絶対になりたくない。
どんな子と付き合うのかは息子の判断に任せたい。
イライラしても何も解決しないし、これ以上、足を引っ張られ続けるのも耐えられないので発想を変えました。
息子が将来、どんな誘惑にも勝てる力を今付けさせてもらっている。
これから先、たくさんの誘惑があるかもしれないから、学生のうちに学べることはとても良い機会だ。
今なら私が自信の水をいくらでも入れてあげられるんだから、ドンと構えて、息子の成長できる機会だと捉えよう。
そして、息子にだけ自信の水を入れてるようではダメだ。
息子は生まれながらのヒーローなんだから、たくさんの人に自信の水を与える存在になるんだ。
息子が周りの人たちにも自信の水を与えられるように、息子にたくさん自信の水を入れてあげられるように努力しよう。
それから、息子はヒーローを作るという内容の小説が大好きだったので、「このお話みたいにヒーローを作ろう!」と息子に提案しました。
自分のためには出せない力でも、人のためなら出せる。
お友達が教室登校できるように、まずはあなたが教室登校して2人に勇気を与えてあげよう。
「教室に入っても怖くないよ、大丈夫だよ」
ってあなたが教室に入ることで、2人に伝えてあげよう。
2人もすごく安心出来ると思うよ。
あの子たちが自然と教室に入れたらスゴいと思わない?裏でヒーローを作ってる人がいるなんて誰にもわからないけど、あの子たちをヒーローにするために行動している人がいるってカッコイイよね。
あなたは生まれながらのヒーローだから、あの子たちを救ってあげられるよ。
あの子たちに振り回されるのではなくて、あなたがあの子たちを支えてあげよう。
私はそんなあなたをしっかり支えるからね。
こんな言葉がけを息子にしていきました。
コンプリメントの先生には、中学1年生の3学期に別室登校から教室登校できる子は今まで見たことないって言われたけど、
「なら第1号になります。私たちが伝説作ります。」
と宣言をしました。
息子は絶対に教室登校できるって確信していたからです。
そして、息子は教室登校すると決めた日に、午後から教室登校することができました。
息子は朝から何度も何度も玄関でうずくまり、最初の一歩を踏み出せずに挫けそうにもなったけど、何度も何度も気持ちを立て直して登校していきました。
息子の歩く姿はとても不安げで心細くみえたけど、歩みをとめることはありませんでした。
一歩一歩、しっかりと前に進んでいきました。
大遅刻で教室登校したけど、教室に入る姿は堂々としていたらしく、息子が今まで教室に入れなかったとは思えないくらい貫禄があり、生徒たちから歓声が起きたと先生から連絡がありました。
息子は心の優しいヒーロー。
お友達に勇気を与えるというミッションのため、教室登校という大きな試練も乗り越えることができました。
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