#32 それでも、さらに前へ
先日、ふと息子が教室登校をした頃のことを思い出しました。
踏切の前でずっと固まって動けずに、何本も電車が通過しても、一歩を踏み出すことができず、何十分もその場でジッとしている息子の姿です。
私は、息子にバレないように隠れて、祈るような気持ちで息子をずっと見守っていました。
息子はどうやっても登校する勇気が出ないと家に戻ってきて、トイレに何十分も籠もりながら腹痛に苦しみ続けていました。
そして、トイレから出ると、真っ青な顔でベッドに倒れ込み、少し眠りました。
それから、もう一度気持ちを立て直してから登校していました。
何度チャレンジをしても、踏切を渡れずに欠席をすることもあったし、踏切を渡れずに逃走することもありました。
それでも、毎日、チャレンジを諦めることはありませんでした。
息子が再登校をして、教室登校を始めるようになると、
「不登校のくせに何で学校きてんの?」
とクラスメイトに心ない言葉をよく投げかけられていました。
2年生になってクラス替えをしても、息子が自己紹介をする前に「こいつ、不登校だったんだぜ」ってクラス中にばらす生徒がいたり、「不登校のくせに」「ずる休み」などの言葉もたくさん言われていました。
息子は、お守りのように本を胸ポケットにしまい登校し、すべての声をシャットダウンするかのように集中して本を読み続けてその場を耐えていました。
「僕には本しか友達がいないんだ」ってその頃はよく言っていました。
しばらくして、息子に興味を持つ子が現れてお友達ができたり、執拗にイジメを繰り返してきた子から息子を守ってくれる子が現れて、次第に学校の中で居場所ができました。
それでも、なかなか体調は改善せずに、鉛のような身体を引きずって登校し、毎日のように保健室で1時間だけ寝かせてもらっていました。
過眠の症状がなかなか改善されず、帰宅すると倒れ込むように朝まで眠り続けることもよくありました。
息子の場合、常にどこかしら体調が悪く痛みを感じない日はなかったそうです。
毎日登校するだけで精一杯の息子をみていて、私は私の感情の責任を息子に背負わせたくないなって思いました。
既に鉛のような重たい荷物をたくさん持っているのに、親の荷物まで息子に持たせるわけにはいかないなって…。
もう、そんな親には絶対にならないって前進しようともがき苦しむ息子を見て、心に強く誓いました。
私の感情は私のもの。
私が私の感情をコントロールする。
息子の一進一退にいちいち悲しんだり、落ちこんだり、望ましくない息子の言動や目の前のことにいちいち反応しないって決めました。
私は息子に 「感情も思考も自分でコントロールができるし、人は変われるんだ!」って伝えられるように、私が率先して苦手なことにもチャレンジするし、「出来ない」って言わないで、どうやったら出来るのか方法を考えるようにしたり、いつもニコニコ笑顔で楽しく生活することを心がけています。
「行動することで思考は変わる」
私は息子に背中で伝えていきたい。 行動することで伝えたい。
まずは、私から変わる!
踏切の前でじっと動けずにいた息子はどんな思いだったんだろう…。
どれほどの力を振り絞って、その場に立っていたんだろう。
問題を乗り越える力を親子でつけていく。
不登校を乗り越えていく過程で、私たち親子はともに強くたくましくなれました。
踏切の前で動けない息子を思い出した時、今の私達の姿をその頃の自分や息子に見せたらどう思うかな?ってイメージしてみました。
今の息子はきっと、過去の踏切を渡れない息子に笑顔で「大丈夫だよ」って声をかけて手を引いて踏切を渡ってあげるだろうなって思いました。
私も過去の私に「大丈夫だよ。上手くいくよ」って声をかけて抱きしめてあげると思います。
今がどんなに辛くても、すべてのことがリソースに変わるよ。
数年後には笑い話になっているからね。
そんな風に、イメージの中で過去に頑張った自分と息子を褒めて認めて労って、たくさん抱きしめてあげました。
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