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【読書noteNo.29 嫉妬は人を成長させる原動力だ 漫画 『プライド』】

私には、嫉妬という感情が昔からない。

元々、他人に興味・関心がないという性格が原因だと思う。「嫉妬なんて持つなんて、みっともない」とさえ思っていた。

しかし、今日紹介する漫画を読み終えて、嫉妬についての捉え方が大きく変わった。

嫉妬って人を成長させる原動力だよな

負の感情の一つといわれる嫉妬

この感情を、自分の成長のために使えば、こんなに素晴らしいものはないじゃないか、とさえ思うようになった。

他人によく嫉妬ばかりしていると悩んでいる人に、ぜひオススメしたい漫画だ。この漫画を読めば、嫉妬って悪くない感情なんだなと思えるはず。


嫉妬の塊のような存在である緑川萌に惹かれ、嫉妬ってここまで人を成長させるのかを知る

この漫画のあらすじを簡単に紹介する。

オペラ歌手を目指す音大生で何不自由なく暮らしてきた裕福な家庭で育った麻見史緒(あさみしお)。そんな彼女のもとに、ハウスクリーニングのアルバイトで緑川萌(みどりかわもえ)という音大生がやってくる。史緒とは対照的で、男ぐせにだらしなく、飲んだくれの母親を持ち、アルバイトを掛け持ちして音大の学費を工面している苦学生。そんな二人が、ある発表会で出会い、二人のバトルが始まる……。

この漫画は、二人のヒロインを軸に物語が進んでいく。萌は、史緒に嫉妬の感情を常に抱いている。

なんで、あの人は私が持っていないものは持っているの?私は、あんなに苦労して手に入れたものをどうして軽々しく手に入れるの?

こんな感じで、漫画の前半~中盤にかけて、萌の史緒に対する嫉妬は凄まじい。少しドン引きするぐらいドロドロとした感情を萌は持っている。それゆえ、彼女が歌う歌には殺気があり、とてつもないエネルギーがある。ただ、作者の一条ゆかり先生が書くタッチがとても綺麗で、ついこんな風に思ってしまった。

嫉妬って恐ろしいけれど、美しい感情だ。
この嫉妬こそ、人間本来の感情だ。この感情があるから、人って成長しようとするんだよな。自分も嫉妬を飼い慣らせる大人になりたい

その後、萌は、その嫉妬をバネにして、チャンスを掴んでいく。(どんなチャンスを掴むかは、ネタバレになるので、書きません。)

おそらく、萌が自分の境遇のせいで諦めていたら、ただ可哀想な女の子である。しかし、彼女は、嫉妬というドロドロとした感情を武器にして、チャンスを掴もうともがいている。そんな姿の萌に、惹かれた。だからこそ、あのラストはとても切なかった…。あれで、彼女は幸せだったのだろうかと…。※萌に感情移入をしてしまっていたので、最後の終わりかたは納得がいきませんでした。

話を元に戻そう。


あの人は嫉妬深くてイヤね~といったように、嫉妬と聞くとマイナスなイメージを抱きがちだ。しかし、嫉妬、つまりあの人は私には持っていないものを持っていてズルい!という感情があるからこそ、人はその人に近づけるように努力して成長するんだな、と思えてきた。


負の感情を味わえる芸術ほど素晴らしいものはない。

私が好きな歌手の一人に藤圭子(ふじけいこ)という歌手がいる。宇多田ヒカルのお母さんだ。彼女が歌う『圭子の夢は夜ひらく』という曲にこんな歌詞がある。

十五、十六、十七と私の人生暗かった
過去はどんなに暗くとも
夢は夜ひらく

『圭子の夢は夜ひらく』より一部引用

先ほど、紹介した緑川萌も、歌詞に書かれてある十代の時期(漫画では書かれていなかったと思うが)暗かったとも思う。

それでも嫉妬を武器にのしあがり、才能が開花した。

この曲は、嫉妬ではないけど、嫉妬とはまた違った怨念のような負の感情を聴いてて感じる。今回取り上げた漫画もそうだが、負の感情を味わえる作品には、どこかエネルギーを感じる。負の感情を排除した衛生無害な作品には、どこか物足りなさを感じる。

嫉妬や負の感情を抱くこと=悪いことという固定観念を捨て、むしろ、それを飼い慣らすぐらいの余裕を持つことで、成長を楽しむことができるんだな~。

次回、取り上げるのは『新しい文学のために』の予定です。











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