「読書感想文」ではなく「POP作り」はいかがでしょう?
読書感想文じゃなくてもいいかも?
2024年現在、どのくらいの学校が夏休みに読書感想文を採用しているのでしょうか?
AIとかchat GPTを悪用してしまうのではないか?と、廃止した学校もあるのかな、と思います。
とはいえ、本屋さんに行くと「今年の課題図書コーナー」を見かけます。完全に0になったわけではなさそうです。
私は教員時代、毎年読書感想文を課す学校に勤めていました。
夏休みの課題をアナウンスするたびに、多くの子どもたちから「うわぁ、感想文…」と素直な落ち込みの反応が返ってきていました。
でもですね。
課題を出す側の教員も、読書感想文って、まぁまぁ大変といえば大変だったんです、よ。
パクリ疑惑のチェックとか、コンクールの審査とか、未提出の指導とか…。
じゃあ、辞めたらいいじゃない?って思うじゃないですか。
…私の力では、どうにもならなかったんですよ…
まぁ、詳しいことは置いておいて、いろいろと大変な読書感想文のかわりに「POP作り」をやってみてはどうだろう?と思ったので、ちょっと書いてみようと思います。
POP作りとは
POPというのは、本屋さんでよく見るアレです。
本の紹介です。
短い文面とかイラストが書いてあるアレです。
あらすじや、読んだ人が「読んでみたい」と思えるような惹きつけるメッセージで販売促進の一助になっている、アレです。
本屋さんが身近じゃない、って子は、ヴィレッジヴァンガードとか、ドン・キホーテとか、スーパーの値札とかイメージしてもらうといいかもしれません。
本を一冊読んで、感想文を書くのではなく、POP作りをする、っていうのはどうかなと。
POPのよさ
長い文章を書かなくていい。
POP作りのよさは、これに尽きるかなと思います。
読書感想文の1番のハードルは、文字数じゃないですか?
POP作りの場合、必要な文字数は圧倒的に少ないです。
どんな力が身につくか?
1、まとめる力
POPを作るには、本を読んで理解して、どこがポイントかピックアップする必要があります。
主人公はこんな感じの人で、こういうできごとが起こって。と、まずは内容理解。
そこから、情報を取捨選択。
何を書いて、何を書かないか。見る人に伝わるように考える力がつきます。
2、表現力
ピックアップした情報をどう伝えるか、効果的に伝えるにはどうしたらいいかを考えて実行する表現力が身につきます。
ちなみに、POP作りは手書きでもいいですが、私がやるとしたらデジタルでやりたいなと思います。
絵が苦手な子もいるかなぁと思って。(私がそうなんですけど。笑)「canva」が使えたら、字体やグラフィック、写真も充実していて楽しそうだなと思います。
3、鑑賞力
これは、完成品をクラスメイトなどに見てもらう場合のお話ですが…。
他の人がどんな風に作ったのか見ることで、いいところを見つけたり、他の人の視点も学べるかなと思います。
全員で同じ本(お題)で作ったPOPだと、鑑賞するのおもしろいかなぁと思います。
どんな活動にする?
で、実際にどんな活動にするの?ってお話なんですが…。
POP作りは、長期休みではなくて通常授業で取り扱いたいです。
夏休みに作ってきてね、だと「これはどうすればいいの?」と疑問が出たときに解決できないからです。
組むとしたら、こんなスケジュールですかね。
いきなり、じゃなくてチュートリアル
いきなり「POPを作ってみましょう!」と言われても難しいかなと思うので、本番に取り掛かる前にチュートリアル的な活動があるといいかもしれません。
私だったら、全員共通のお題でPOP作ってみるかな、と思います。
共通のお題っていうのは、桃太郎、浦島太郎、鶴の恩返しなどの昔話とか、授業で扱った小説とか。
で、使う素材を限定します。
違う絵、文字などの素材をあらかじめこちらで用意しておいて、その中から選んで作ってもらいます。
いきなり自由にするよりは、ある程度制限をかけた方が、最初はやりやすいかなと思うので。
で、とりあえず「POPってこういうものなのか」とつかんでもらう。
夏休みに本を選んでもらう
夏休みの宿題は「POP作りのための本を選んで読んでおく」こと。
夏休み明けにPOP作り開始
通常授業内で、制作していきます。
必要時間数は3〜5時間くらいかなぁ、と思います。
評価はどうする?
授業でPOP作りをする場合、どうしても問題になるのが「どう評価するか」ですよね。
漢字とか文章題ならテストで点数をつけられるのですが、POP作りはそうはいきません。
完成品のコンテストをするのもアリ、かもしれませんが、私はコンテストは点数化したくない派です。
すごいなと思った作品に投票する、といっても、個人の好みが大きく関係しますし、クラス内の人間関係がでできちゃう場合もあるので、やるとしても評価には含めないです。
完成度や作業の早さも、評価には入れないです。
完成度を評価しない、というと「手抜きでいいの?」と思われてしまいそうですが、そうではなくて。
手の込んだものが必ずしもいいかと言われるとそうでもないよなってことです。あえてモノクロのシンプルに仕上げることで、込められる意味もあるかなと思うからです。
あと、作業の早さも。早くできればできるほどいい、わけでもないよなぁと。
考えやアイデアがまとまらなくてなかなか進まなかったけど、最後の最後でなんとか仕上げることができた、ってこともあるからです。提出期限に間に合えばいいんです。
くどくど書きましたが、私だったらこんなふうに評価します。
1、指示を守れているか
POP作りの際に「これを入れてね」と指示したものが守れているかどうか、です。
たとえば、あらすじを書くこと、自分が思うポイントを言葉にして表現すること、写真または絵を2つ以上入れること、など。
2、提出点(途中点も)
提出期限を守れているか。
これは、最終締切だけでなく、途中経過報告もさせたいところ。
途中の工程でそこまででできているものを提出させて、進捗報告をしてもらうんです。
全然進んでいなくても「ここまでできていて、ここは迷っている」と報告させることでこちら側もアドバイスできることがあるかもしれませんし、こうすると提出点ゼロ、ってことにはならないのではないか、という微かな希望も込めて。
3、説明点
POPに加えて、その作品に込めた意図もコメントにして提出してもらいます。
その、説明点です。
この色合いにはこういう意味があって、とか、この文言を採用したのはこれを伝えたいと思ったからで、とか。
作品にかける思いが熱ければ熱いほど、語れるところなのではないかと思います。
POP作りのデメリット
ここまで書きながら、盲点に気づいてしまいました…。
模倣作品が出てくる可能性が、あります…。
パクリ、ですね。
本屋さんのPOP、本の帯、ネットの紹介文など見てそのままそっくり全く同じものを作る、または繋ぎ合わせて自作っぽくすることもできてしまう…。
そうなると、チェックする側も大変です。というか、チェックしきれないような。
それなら、読書感想文の方が、パクリチェックはもしかして簡単…?
POP作り、と書き進めてきたのに。この活動、もしかして難しいかも…?
著作権や肖像権、ネットリテラシーなどの指導に加えて、「自分でもやれそう!」と子どもたちのモチベーションをアップさせておくことも、事前学習で必要かもしれません。
懸念点は他にも。
長期休みに本を選べなかった子の対応。
→選べなかった子はこれ、とこちらで課題図書を設定しておく?読む時間はある?
なかなか制作が進まない子の対応。
→放課後等の時間が使えるか?
POP作り、いいなぁと思うのですが、いざやってみるともっと課題は見えてきそうです。
まだ改良の余地あり
本を読んでPOPを作る活動。
上記のまま進めるのは難しそうな気がします。
一応記事としてはアップしつつ、追加があれば書いていこうかなと思います。(せっかくここまで書いたので、アップさせてください…!)
今の時点で思ったこと↓
•本を選んでもらうのではなく、こちらで短編を準備しておく(本を読む、という大前提が崩れてしまうけど…)
•現代文ではなく古典文学で作ってみる(古典だったら丸パクリの心配度が下がる?)