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搭載指示書を「作る側」から「使う側」へ!関空から羽田への転勤で新しい仲間と仕事/株式会社Kグランドサービス ランプ業務部 西さんインタビュー

空港での仕事は、専門性が高いため1つの空港で1職種の経験を長く積む人が多い傾向がありますが、職種や勤務地が変更になったりする場合もあります。

今回、お話を伺う株式会社Kグランドサービスの西さんは、会社が羽田空港で新事業を展開し、その拡充のために関空からの転勤。しかも、経験したことのない部署への転属という珍しいケースでした。

西さんにその転機をどのように受け止め、キャリアに生かしているのか、早速聞いてみました。

■ 離陸直前の限られた時間で、飛行機の重心位置を決める責任ある仕事

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--- 関西国際空港で担当されていたのはどんなお仕事でしたか?

入社後は、すぐにロードコントロールの部署に配属になりました。ロードコントロールは、乗客数や座席位置、手荷物や貨物、乗務員の配置、機内食などの搭載物を考慮したうえで飛行機の重心位置を計算し、搭載指示書を作成します。

貨物の搭載は、その搭載指示書に基づき行われます。そして、出発前に乗客数や座席が確定すると、重心位置の最終データを算出し、コックピットのパイロットに伝える仕事です。

飛行機にお客様が座る席や、お預かりした荷物や貨物をどのように配置するかで、飛行機の重心位置が変わってきます。適正な重心位置になるよう、出発直前に貨物の配置などを考えるのですが、機体の種類で調整方法が違うんですよ。

私は20社ほどの航空会社を担当しましたが、各社・各機体のマニュアルに沿ってやり方を覚え、それぞれ複数の資格も取りました。

--- 30cm定規とボールペン握りしめ、自分の計算数値をパイロットに

専門学校では深く学ばなかった分野でしたので、最初はどんな業務内容なのか全くイメージがつきませんでした(笑)。なので、まずは先輩の横で、必死に見よう見真似で仕事を覚えました。

最初に仕事用に「30cm定規」と「ボールペン」を購入したのを覚えています。数ある航空会社のなかには、専用のシステムがなく、手書きで重心位置を計算する会社もあったので非常に大変でしたが、それがこの仕事の醍醐味でしたね。

計算し終わった数値を自分でコックピットに持っていき、パイロットに直接報告することも。サインをもらって飛行機が無事に飛び立っていくと、やはり達成感がありました。

--- 出発直前、刻々と変わる「重さ」にも動じません

一つのフライトにかけられる時間はせいぜい2〜3時間程度。

なので、これまでの傾向から予測をして事前に把握できる貨物の配置を予め考えておくのですが、別のフライトがキャンセルになり急にお客様や貨物が流れてくることや、国内線では直前に予約するお客様もいらっしゃいました。

すると、計算や配置もやり直し。

手荷物窓口からあがってくる重量データが刻々と変わるのを見ながら、瞬時で状況を判断して対応するので、かなり肝が据わるようになりました(笑)。

でも、日本で中国人の爆買いがブームになった頃は、傾向が掴めるまでの間、私たちも毎日大騒ぎでした。一人のお客様が3つも4つも大きな荷物を預けるわけですから(笑)。

そんな状況でもミスを出さないために、自分なりに工夫をしていました。例えば、余裕をできるだけ持つこと。事前にある程度まで準備しておくことで、「ここまでやっておけば、突然の変更があっても大丈夫」と思える時間と気持ちの余裕を持つようにしていました。

■ 羽田にある「未知の世界」、不安より好奇心のほうが強かった

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--- 12年勤務の関空から羽田へ異動の打診。不安より好奇心が勝った

「東京なんですか!」と驚きましたね。さらに貨物の搭降載業務という、全く経験のない仕事ですから。

それまでは搭降載するための指示書を作っていた側で、羽田では指示書を見ながら積む側の仕事。屋内で一人黙々とする仕事から、搭降載業務は屋外でチームワークが大事な仕事へと、全てが真逆。

でも、不安はありましたが、新しい環境で新しい仲間、未知の仕事を学べることへの好奇心が勝りました。若い社員が多いと聞いたことも魅力でしたね(笑)。

--- 後輩に教わる未経験の仕事、雨の中思ったのは・・・

貨物の量が増え、一年で最も繁忙期にあたる年末の転勤で、大変でしたね。それに自分以外、一緒に東京に転勤した30名は搭降載業務の経験者がほとんどで、自分より若い子たちに教えて貰いながら仕事を必死に覚えていきました。

まだ機側での車両運転免許を取る前だったので、コンテナから取り出した貨物を手で荷積みする作業からスタートし、毎日背中や腕が筋肉痛に。大雨でカッパの下にも雨が染みてきた時に「なんでこんなところに来ちゃったのかな」と思ったことも正直ありました(笑)。

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--- 逆境を乗り越えられたのは、同僚の存在あってこそ

慣れない仕事の大変さも、「自分だけじゃないんだ」、「みんなも同じ条件で頑張っている」と思えば、乗り越えることができました。チームで動くので、同僚の存在も心強かったですね。先輩はもちろん、後輩も頼りになりましたね。

社歴や年齢は自分のほうが上でも、仕事の経験年数は後輩のほうがありましたから。

--- 新しい仕事で、これまでと一番の違いを感じたのは?

コミュニケーションの取り方が新鮮でした。それまでは電話や無線が主でしたが、搭降載業務は屋外、しかも機体のそばでの作業もあります。騒音が大きいので、ジェスチャーが多くなるんです。

ヘルメットを触ったら、「その貨物は前に積んでほしい」というサイン、お尻を触るジェスチャーは、「後ろに貨物を持ってきてほしい」というサインです。周りの人の動きをよく見るようにして、覚えていきました。

■ 空港での仕事は繋がっている、経験が活かせるはず

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--- 転勤して「食べ歩き」が趣味に

転勤して、新しい趣味ができました。「食べ歩き」です(笑) 。グルメサイトで評価の高い店やテレビで紹介された店に行ったりしています。

こちらでは川崎での寮生活なので、寮の仲間たちと出かけることも多いです。ご飯を一緒に食べに行ったり、飲みに行ったりと親密に付き合える寮仲間がいるので、東京に単身で来ていても孤独感はありませんね。

--- 空港の仕事は繋がっているから、極めた後はチャレンジも

今は、搭降載業務を極めたいですね。空港での仕事は繋がっている部分が多く、以前携わっていたロードコントロールでの経験が、今の搭降載業務に役立っています。

前職の知識や経験が現場に還元できるのを実感できるのも、今回の転勤をして良かった点の一つですね。

以前は数と重さでしか把握していなかったコンテナに搭載する貨物ですが、今は実際にコンテナに入れられるのがどんな形状や中身なのか、扱いはどうデリケートなのかなど、その実物を知ることができるのもよい経験ですね。

羽田空港には全国各地から色々な貨物が集まってきます。北海道の路線だったら海鮮系の貨物が多かったり。貨物の中身によっても扱い方が違ってきます。

前職で貨物の中身がわかっていれば、現場で作業する人がやりやすいように配置することができたなと感じることもあります。もしロードコントロールの仕事に戻ることがあったなら、すごく今の経験が生きるでしょうね。

新しい分野へのチャレンジは厭わないタイプなので、新しいことを覚えて資格を取るのは大変ですが、それ以上に色々な現場を見てみたいという気持ちの方が強いですね。

(文・写真:三本夕子)

★ 今回のインタビュー記事は、いかがでしたか?
グラハン(グランドハンドリング)には、他にも様々な業務があります。

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空港を支えるプロ裏方の情報が盛りだくさんのサイト「空港の裏方お仕事図鑑」では、他にもたくさんのインタビューを掲載しています。ぜひご覧ください!
空港の裏方お仕事図鑑 URL: http://hataraku.jfaiu.gr.jp/

ライター:三本夕子
フリーランスで企業の広告制作、広報などを手がける。中でも働く人の取材はライフワーク。13年間で取材をした人の数は1000人以上にも上るが、空港の裏方の仕事を取材するのはお初。貴重な機会に、取材前日はワクワクして眠れなかったほど。

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