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畜産は環境に悪いから肉を食べないと大真面目に言う人たち
一見論理的なようでいて、何か大切なことに目が向いていないことに全く気づいていない矛盾を感じるのが、この”環境のために肉食をやめる”という考えです。
ヨーロッパに住んでいてここ2,3年急激に正当化されようとしている”畜産は二酸化炭素を大量に排出するので環境に悪い”論法。
言うことによると、牛がげっぷをするときに出る二酸化炭素、餌を工面するための植物の刈り取り、飲み水などなどが環境を破壊すると、さも堂々とのたまうのです。
少し前まではベジタリアンだから、ビーガンだから、その信仰に基づいて肉を食べないという一派だけだったのが、ここ最近はそれに加えて環境のために自分の食習慣を見直す人が出てきているのです。
もともと、ドイツやオーストリアでは平日は簡素な食事をし、週末に焼いた肉など豪華な物を食べる、要は今でいうところのフレキシタリアンスタイルが多い気がします。
現代は夕飯に温かいものを作る家も多いかもしれませんが、平日の昼は職場の食堂で食べたり、サラダや前日調理した麺類などを持参して食べて、
夜は買ってあるパンとハムとチーズを切って食べる、そうでないにしてもあまりガッツリ食べない、夕食に重きを置かない人も多い印象です。
もちろん、平日でも仕事で会食があったりすると肉をガッツリ食べるとか、外食すると好きなものを食べる、ということもあるので、
それはケースバイケースですが、家での食事は週末は特別だけど平日は簡素というのが一般的なヨーロッパの家庭の了解だと思います。
そのためそもそもの塊肉の消費は多くない、というか日本みたいにいろんな料理にとにかく薄切り肉が入っている、みたいなのはあんまりなくて、
肉は一切入っていなくて野菜やきのこだけによって成り立っている料理が多いので、肉を食べるか食べないかをはっきりと分けやすい部分もあると思います。
そこへきて、加工肉も食べない、卵も牛乳もとらないというほぼビーガンである自称フレキシタリアンは、それらのものは健康に悪い、環境にも悪いと信仰しているので全てのものを植物性で補おうとします。
イタリアでは、子供にビーガンを強要するのは罪になる法律ができましたが、問題は子供が自らビーガンになりたいと言ってきた場合。
学校に通って物心ついてくると、食肉の扱いについてひどい条件で動物が虐げられているような極端な動画などを見る機会が増えたりして、
それが引き金になって肉を食べないという考えになる子もいます。
ビーガンは、大人でこそなんとかできる食習慣かもしれないけど、子供にとっては発育に必要な栄養素が取れないので良いことにはならないと警鐘を鳴らされています。
私は基本的に食べたいものを食べるようにしていて、何かの思想に基づいて極端な食習慣にしたくないのですが
過去に何度か、体調を崩したなどの理由から数カ月以上に渡って肉を受け付けなかったことがあります。
数カ月ぶりに肉を食べた直後に、みなぎる生命力というかパワーがあふれる感覚があり驚きました。
体を楽器にしている歌手としては、やはり本番前に牛肉を食べると声の艶やもちも違うし、
体調を崩しそうな予兆があったら骨付きの鶏肉で汁を作ったり肉を調理して食べることで滋養が整うことも。
野菜だけ、魚介類だけでは追いつかないパワーと栄養素が肉にはあると思います。
自分で買うときは地産地消、少し良いものを選ぶなどしています。
私が言いたいのは、畜産が環境に悪いと言うのなら、世界の人口が多すぎることのほうがもっと環境に悪いとなぜ誰も言わないのでしょうか。
確か誰かが、環境のために子供は2人までにすると言っていたと思うけど、それもまた正直アホみたいな言い分だなと思いましたが。
アクセサリーかよって。
人口減少を防ぐ、少子化を防ぐというのは政治的、経済的な理由であって、
結局気候変動というのはガスを電気に変えたら良くなるとかそんな単純なことではないと思います。
トレンドによって炭水化物が邪険にされたり、肉が邪険にされたり、
”ヘルシー”というイメージもただの幻想であることが多いと私は思っています。
誰かにとっては体に合う食べ物や食事法も、他の大多数に合うわけではないし
野菜が健康だ!と言っても私みたいに過剰な食物繊維の摂取でお腹を壊して半日以上何も食べられなくなる人もいます。
オートミールが健康だ!玄米が健康だ!と言っても穀物などが消化しにくい私のような人にとってはそれらを食べると1日以上苦痛を感じます。
個人がどんな食習慣を実践するかは自由ですが、一面性の議論を声高に正当化して提唱するのはやめてほしいと心から思います。
そういう議論ほど新聞や雑誌で多くの人が信用する媒体でなされるので、どうしようもないんです。
とにかく、肉食は環境に悪い、地球を破壊している、みたいな風潮に巻き込むのはやめてほしいです。
ヨーロッパの人って、くそ真面目に、は?と思うことを信じる人が多いから厄介です。