【視野を広げる読書本3】連戦連敗
こんにちは、高橋向生です。
今日、紹介するのは安藤忠雄さんの本「連戦連敗」です。
新国立競技場の審査員長をされていた方で、よいイメージを持っていない人もいるかと思います。
ですが、建築業界でかなりの情熱を持っている方です。
建築を知らないかたにも説明すると、この方……
分かりやすくいうなら独学でノーベル賞を取った方です!
ちゃんと言うなら、大学に行かずに独学で建築を学んで、建築界で一番名誉なプリツカ―賞を獲得した方です!
そんな方が「連戦連敗」という本を出しました。
いや、安藤さん……たくさん建築建てて、コンペに買って、連戦連勝じゃないですか。
と思ったのが、僕の最初の印象でした。
そんな先入観を簡単に殴り飛ばしてくる一冊です。
内容としては以下の3つで構成します。
・大まかな内容
・よんだ感想
・なにを学んだか
※一般向けの本よりかは建築向けの本です。
大まかな内容
この本は、安藤さんがコンペティションといわれる設計競技にて、なにを考えてきたのか、どういった提案をしたのか、ほかの建築家はどんな提案をしていたのか書いてあります。
当時の数多くのコンペが行われている中、どうやれば1位になるかというと、全てのコンペに出して、その全てを100%の情熱とエネルギーをかけて出す。そして勝つ。
そんな印象をうけました。当然、エネルギーをかけても1位をとれず、埃をかぶった図面や模型が沢山あります。なかには情熱をもって1位をとったのに計画がなくなることもあったそうです。
(現代でもプロジェクトが途中で潰れることもザラにあるらしいですが……)
現在ドン・キホーテになっている、複合商業施設を設計したときの提案などもかいてあります。
内容をまとめると
・当時の時代背景とコンペ時の提案
・他の建築家の提案や巨匠の考え
・当時、実務設計した提案
・そのときに何を考えていたか
・これから何を考えていくか
になります。
よんだ感想
この本も、やはり読んでいて熱くなります。
ただ、全体としてコンペをどう提案したかが書いてあるのですが、僕はどちらかというと、どういう心情でコンペに挑んでいたかに注目しました。
その内容もやはり熱いというか。
ギリギリの緊張状態を常に求め、コストや条件に苦しい建築こそ創造性が発揮されると述べています。
また、国際子ども図書館の改修設計で、明治から続くこの建築をどうするかという話で、今でなら付加価値やリノベーションとして理解されることが多いと思います。
ですが、当時はあまり改修を主体的には行っておらず、建築は解体か保存の二択しかありませんでした。
そのため、安藤さんの提案には批判の声が多かったそうです。建物をそのまま保存した方がよかったなどです。
ですが安藤さんは、建物を凍結させるように保存するより、現代に適応して生き生きと生命力を持つべきだと考えました。
過去を現代に活かしてこそ、残す行為が意味を持つ。
たとえ周囲の反対に潰されそうでも、新旧の衝突を起こし、社会に事件を起こすと語っています。
安藤さんが挑戦した意味が、最近になってやっと表れている感じがします。
一度、新旧の衝突を起こしたゆえに、それに後続する人たちが現れ始めているのではないでしょうか。僕はそう信じています。
批判を受けながら、新しい挑戦を行う。
それによって社会を次のステップに引っ張る。
本当にカッコいい方だと心の底から尊敬します。
なにを学んだか
僕は安藤忠雄さんにはなれません。打ち放しコンクリートを使いこなすことも、強くぶつかることもできません。
ですが、僕は安藤さんのように挑戦的で、社会に投げかけ、共感やシンクロを連鎖させることはできます。
安藤さんと全く同じ存在にはなれないけど、安藤さんのような情熱と建築愛の一部を受け取ることができます。
そうやって、安藤さんが考えていた建築の心意気や意識を引き継いでこれからも頑張っていきます。
ありがとうございました!