建築さがし-森舞台-
こんにちは、高橋向生です。
前回、かきました「建築さがし-サイエンスヒルズこまつ」が意外に好評で、(というか、あのnoteだけで今までの閲覧数がダントツになりました)もう少し続けてみようかと思い、投稿しました。
今回は今をトキメク隈研吾さん設計の森舞台です。
場所と位置
こちらは宮城県登米市の山にある建築です。
近くに駅はないため、車かバスで行く方がよさそうです。
話によると、森舞台ができたために、森舞台のためにバス停ができたとか。
設計者は先ほどお話した隈研吾さんです
この森舞台はM2のあと、東京で仕事がほぼ頼まれなくなったとき、地方で仕事を探し、そのときに地方の地元材で建築をつくることをやり始めたきっかけらしいです。
建築写真
外観はこんな感じ
正面の右側が入口です
森舞台とかかれた入口。
右側のガラス部屋がチケット売り場です。
建築全体に簾(すだれ)みたいなルーバーがかかって、したの地面は砂利がならされて不可侵の場になっていました。
階段上にテラスがあるようです
階段を上ったっさきに……
能の舞台と客席が見えます。
こちらが能の舞台です。
話を聞くと、したの砂利は本当は白くしたかったけど、予算の都合で黒い庭石を使ったようです。
しかし、逆に黒い石のほうがむしろ栄えたというそうです。
ちなみに水を表現しています。
客席のほうは手前に広縁
奥に客席があります。大体20畳はある部屋だとか。
夏場はガラス戸を全てあけて、縁側と一体化をし、冬場は閉じて室内からみれます。
部屋の奥には床の間と、ガラスの先に山の林がみえます。
ここに全てのガラス戸が収まります。
反対側からみると、こんな感じ。
黒石の庭が段々になって、水が流れているように見えます。
客席から見える舞台。
後ろの絵は松です。
舞台の背景が松である理由は諸説あり、昔、神さまへ捧げる田楽や猿楽がおこなったのが松の木のだったらしく、神さまが訪れる依り代として松が描かれるようになったとか。神さまが待つ(松)場所として考えられたそうです。
なかなかロマンがあって好きです。
庭の方を抜けて
テラスの方へいっていみます
周辺は普通の量産住宅がちらほら立ち並んでいます
テラス側からの視点
テラスから見える舞台
先ほど言った不可侵の石庭です
あとは階段をおりて
能のお土産を買って帰ります。
感想
この建築は、最初の予算がかなり少なく、規模もかなり小さいです。
派手な空間があるわけでも、強い象徴性があるわけでもありません。
ですが、少ない予算だからこそできる可能性をつきつめ、よりよい能の見せ方、また客席からの見え方、能を行う舞台と全体の雰囲気が考えられられた建築だと思いました。
あえて塀を使わずに山を借景としている点や、能の音を響かせているために床下にツボが使われている点など、創意工夫の塊でした。
かなり山のところにある場所ですが、宮城にきたときに立ち寄るのも良いかと思います。
ありがとうございました!