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時計台なんていらない。 散文詩。

時計台なんていらない。

そう言った。



もう

言いきった。


言葉の上下斜め右左

どこにも

好きが入らないくらい


言った


ものすごく

柔らかい口調で

それでいて

強い口調で


なんも

変わらないかもしれないけれども


なにかに

期待して


そう言った


回りは何も

言わなかった

反応しなかった


でも

できなかったのか


できなかった

ふりをしたのか


ただ


いつもと同じ

空気の波がある


いつも

いつもと


同じ風景

同じ町並み

同じ顔ぶれ

同じ匂い

同じ雰囲気

同じ

同じ



時計台なんていらない。


もう一度言いたかった


口に出して


言いたかった


でも


もう


言わなかった


言えなかった


それは


ぼくは

特別では


ないからだろう


あきらめてしまった


あきらめることを


覚えたのか


普通に生きたかったからか


なんだろう


なんだろうな


どうなんだろう


わからなくなる



でも現に


何も言わなかった


そう


口を挟むべきでは


なかったのかもしれない


時計台なんていらない。


そんなことは


なかったのかもしれない。


それは


ぼくが


いらないと思うだけで


みんなには


大切だったのかも


しれない。


けれども


たしかに


街中や


顔見知りは


言ってたように


感じる


時計台なんていらない。


そう


言ってたように


思う。




けれども


たしかに


直接


言われた


訳ではない


時計台なんていらない。


たしかに


たしかに。


なら


なぜ


ぼくは


言った


わがものがおで


正義のHEROみたいな顔で


言ってやったと


そんな


顔で



時計台なんていらない。


わからなくなる。


だれのための言葉


なんのためのことば



代弁者は




時計台なんていらない。


それはなに。



あれ。


最初


どんな感じで


どう


思って


言ったんだろ


何か拳を握ってる


拳の中は


汗だらけだ。


なんか


体も熱い


体も汗でぐっしょりだ



そうか


家に


帰ろう


みんな


聞いてなかっただろう

聞こえてなかったんだろう



そうだ


そうだ


いつもと


同じ


日常だ


早く


家に


帰り


お風呂に


入って


美味しいご飯を


作って


食べて


寝て


また


明日


仕事に行こう





時計台なんていらない。




のに。




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