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第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会

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SCCが開校する「コピーの学校」。その教頭として「第10回SCCしずおかコピー大賞」のファイナリスト作品で反省会をしています。 全60作品を教頭はどう考えるのか!? 独断と偏見、…
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《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 プロローグ〜「メンバーズ大賞、逃しました。」

11月30日に「第10回SCCしずおかコピー大賞」の表彰式があり、その懇親会でメンバーズ大賞の発表がありました。 メンバーズ大賞は、静岡コピーライターズクラブの会員のみで行っている「しずおかコピー大賞」の乗っかりコンペ。要は審査するだけでなくコピーを書いて楽しみたい! というコピーを愛する会員たちの思いから始まりました。半分遊びであっても、書くことに情熱を注いでいるメンバーですから、ライバルに負けたり評価をもらえなかったりすると死ぬほど(泣くほど)悔しい‼︎ 私も含めほとん

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.1

課題1 「静岡企業の東京進出を後押しするコピー」 ・東京を「しずお化」へ 「静岡化」というキーワードにある「おかか」という美味しそうな読み方がわずらわしくて、「しずお化」と短縮したことで掛詞がより掛かった。 単純なダジャレのようでいて、言っていることは大胆不敵。どちらかというと、静岡は東京化している。文化も経済も、人口も足元に及ばない。徳川家康が駿府城と城下町を整備することで、江戸(のちに家康自身が手がける)や海外で言えばスペイン バルセロナの都市計画にまで影響を与えたと

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.2

課題1 「静岡企業の東京進出を後押しするコピー」 ・山道の険しさは知っている。   でも、頂からの景色も知っている。 コピーらしく見える構文を使っている。 A(山道の険しさ)はB(知っている)。 C(でも、頂からの景色)もB(知っている)。 これをレトリックという人もいるが、現在では巧さというほどでもない。 ビジネスを富士登山に例えての比喩である。静岡県=富士山という発想は、あまりに平凡ではあるが、その平凡さは県民感情や発想の恒久さでもある。これを味方に付けることがで

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.3

課題1 「静岡企業の東京進出を後押しするコピー」 ・社長、ぼくらは、闘いたい。 課題1の審査員となり、他の審査員たちと一次審査を行っていたときのこと。一人の審査員が、誰も票を入れていなかったこのコピーに光をあてた。 社員の情緒に働きかける作品が応募コピーのほとんどだったのに対して、この作品は社長の情緒に働きかける構成になっていた。この点が他にはないアイデアだ、ということでその審査員は推したのだった。 この課題の審査中、私は「社長への応援」という視点を持っていなかった。

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.4

課題1 「静岡企業の東京進出を後押しするコピー」 ・ふるさとのある企業は、強い。 「ふるさと」は、「故郷」や「古里」などの漢字でも表される。「誰にでもありそうで、実はない人がいる」というインサイトを日本人は持っている。 では、ふるさとがない人は誰? まず思いつくのは、東京の人だ。この東京の人、東京生まれ東京育ちの方だけでなく、東京以外で生まれて乳幼児のうちに東京暮らしとなった人も含まれると思う。つまり、東京以外での生活実績と記憶を持っていない人を指している。 東京生まれ東

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.5

課題1 「静岡企業の東京進出を後押しするコピー」 ・「挑戦を笑うヤツ」と「笑って挑戦するヤツ」  どちらがカッコイイだろう?ニヒルだ。男のダンディズムだ。そうなのだ、これは女性に向けて語られていない。 課題を読み、このコピーを読んだときに思うのは、昭和の頃、そして結果的に平成も、大きな顔をして企業戦士とか、ビジネスマンとか、スペシャリストとか、キャリアとか、自尊心を保ち鼓舞できる呼び方に喜び陶酔し、邁進してきた仕事が好きな人たちを彷彿させるホメコトバだ。 この意味において

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.6

課題1 「静岡企業の東京進出を後押しするコピー」 ・僕らは、高層ビルなんかより   ずっと大きなものを見て育った。このコピー、「静岡県=富士山」の公式を持ってきたものであることは、これまでの解説でもご理解いただけると思う。(または南アルプス、駿河湾や遠州灘等の地形・風景なども、ニッチですがありえます。) その上で、何に魅かれたのだろうかを考えてみる。 大都会と地方都市とのスケール感。これはまるで、企業のスケール感に共通するように感じられる。特に日本の首都「東京」と静岡県内の

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.7

課題1 「静岡企業の東京進出を後押しするコピー」 ・静岡で働きたくなる理由になってください。 東京進出を問うために、あえて静岡で働きたくなるかどうかを問う。いささか遠回りなコピーである。それでも、背中を押された審査員がいた、ということも考えてみたい。でも、前述しておきたいのは、私はこのコピーで背中を押されない、ということ。 ターゲットを就活生に代表される学生や専門学校生、高校生といった若者に定めている。まあ、中高年の背中を押すのも気を使う。中高年の背中には、というより両肩に

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.8

課題1 「静岡企業の東京進出を後押しするコピー」 ・東京は「静岡」を知らない。 都市を擬人化した。人は、人の話に興味がある。芸能ネタからご近所の夫婦仲まで、にんげんの話が大好きだ。巨額を投じて、ハリウッドでは映画まで作られる。そして、世界中の人がその映画を観る。それくらい、にんげんの習性なのか指向性・嗜好性・志向性・思考性なのか(「しこうせい」と平仮名で書けば、ウルトラミーニングだということに今気づいた!)、大好きなのだ。 このコピーは、そこから生まれた。 都市はにんげん

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.9

課題1 「静岡企業の東京進出を後押しするコピー」 ・社史にもう一行。売上げにもう一桁。 このアイデアは課題を読んだ時に頭に浮かびました。東京進出の目的は、事業の拡大に他ならない。事業拡大という課題を持ったとき、静岡企業が東京を目指すモチベーションの根っこは、いったい何になるのか。 (ビジュアルが斜めってしまい、大変申し訳ないです。。汗) 「売上げにもう一桁。」は、惜しい。頭の「社史」は、漢字2文字。「売上げ」は3文字。1文字多いから、見た目のバランスが悪い。故意に1文字多

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.10

課題1 「静岡企業の東京進出を後押しするコピー」 ・「本物」は場所を選ばない。 ちょっとした、名言のような佇まいを感じさせる。堂々としたコピーに思わず頷きたくなる。コピーは、コトバ。コトバである限り、伝達のため文字に起こされたときの雰囲気(=佇まい)も大切だと思う。 これまでの記事において何度も書いてきたように、そうなのだ、静岡県には「本物」と言える商品や製品(工業や農業を問わず)が多い。 裏付けとして、静岡県の統計を出典参照してみる。 よくもまあ(汗)、県の職員はこれ

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.11

課題2:人と人との絆を伝えるコピー ・人が多いだけでは、ひとりのままだ。 今回から、人と人の絆について考える、課題2に入っていきます。そこで、課題2の募集意図が公開されているので、改めて確認してみましょう。 最近、まわりとの人間関係が希薄になっていませんか。「あいさつを交わす」「感謝する」ちょっとしたコミュニケーションが足りていないようです。私たちの未来に欠かせない、人と人との「絆」の大切さを伝えるコピーを募集します。 ※出典:第10回SCCしずおかコピー大賞HP 「第10

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.12

課題2:人と人との絆を伝えるコピー  ・「はじめまして」って冒険だ。こういうコピーに出会ったとき、じぶんが歳を重ねたことを実感する。 これを書いたのは、専門学校生。成人しているのか、していないのか? ご本人に確認しなかったのでわからないが、年齢からくる瑞々しさと清々しさをコトバから感じてしまう。 キャリアとしても、年齢としても、じぶんから先に「はじめまして」と言う回数は減ってきている。(逆に先に言われたりして…。苦笑)でも、過去のじぶんを思い出してみると、一体どれほどの「は

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.13

課題2:人と人との絆を伝えるコピー ・あなたは出会った人からできている 人と人。一人のひとが、一生で出会える人数はそれぞれ。私は一体、何人のひとと会話し、食事し、喜びを分かち合えるのだろうか。 人は生まれることで親に出会う。お腹の中にいる間は、栄養を母親からもらうことはできても、生きるための知識をえることは無いと言っていい。この親との出会いが、最初の社会性だ。生きるための知識や対処法を、じぶんのことのように無償で教えてくれる。そして、家族という最も小さな社会での過ごし方を出