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接客の鏡に出会った。

今年の冬にあった出来事を今日は話そう。

私は本が好きだ。だけど家の中だと他の欲求が邪魔をするから、外で本を読む。なのでよく利用するところは喫茶店だったりするし、たまには森の中で本を読んだりもする。

その時はスターバックスを利用した。あまり行かない店舗に足を伸ばして、その時にあったホットホワイトチョコレートを注文した。甘いのが好きで身体の芯まで温まるかなと思い整理券?レシート?を持って待っていた。自分の番が来るまで、店員さんが毎回お客さんに話しかけているのに気づいた。

今日は寒いですね、とかそれは新作なのでまたぜひ、とか軽い会話をしていて、会話に熱心な人だなと私は思った。私も接客を仕事にしていて彼女の接客に魅入られた。

そして自分の番。なにを話すのかなと思ったその中一つ質問をされた。

「甘いものが好きですか?これ結構甘いんですよね。」

自分はこう返した。

『甘いものは好きです。温まりながら本を読みたいなって思ってます。』

「キャラメルはお好きですか?」

キャラメル。

あまり食べ慣れていないが、味と香りは好きだ。何より、昔、彼女がしんどい時、辛い時にはキャラメルを欲しくなるって話を聞いて、よくキャラメル味のものを渡していた事を思い出した。

『好きですよ。疲れた時とかに飲むとすごく落ち着くんですよね。』

そして彼女は笑顔でこう言った。

「キャラメルソースを無料で付けれるんですけど付けますか?私これにキャラメルつけるのが好きなんですよ。」

自分は即答した。

『それならお願いします。』

そして商品を手に取り、それを勧めてくれた彼女に会釈をして席についた。

本を読んでそして一口飲んでみた。

まず、すごく甘かった。多分甘党でないと甘すぎるくらいに甘い。でも自分には本当にちょうどいい甘さだった。

そして勧めてくれたキャラメルソースは、すごく味がマッチしていて、本当に美味しく感じた。
同じ甘いという味覚なのに、甘さの引き立て方が全然違う。
口に入った時はキャラメルが勝って、その後にホワイトチョコが追いついてきた。
追い越す事なく二つの甘いは並走し、そして体を芯まで温めた。
気づけば本を読むことより、一口ずつ味わって飲んでいた。そして帰る時、もう彼女はいなかったが、いつもよりも笑顔でごちそうさまを言って店を後にした。

そのあとその商品を私は4度、5度飲んだ。期間が終わった今も飲みたくなる日がくる。

私は彼女が、接客の鏡だなと思った。
多分キャラメルソースの良さを知らなければ私はリピーターとはならなかったし、今ここにnoteとして記していない。
無料のものを勧めて何か変わるのか、なにが意味あるのか、それは、その次の機会でまた行きたくなる気持ちにさせるのがその一言なんだろうと思った。
そして自分も接客の時、無料なことでもお客様に勧めるようになった。
その人がその一言でまた来てくれるように、思い出の一つになるように。

たった三回の質問で私は5回分スターバックスに行く時間と利益を彼女は生み出したと思うと、自分もそういう接客をしたいと思う。

たまにそこスターバックスに行く。あれから見てないけどまた自分の知らない味を、世界を教えて欲しいなと思いながら

今日もキャラメルソースを付けてもらう。

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