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詩「シュトーレンと光」
まんなかにナイフを入れて
五ミリずつ 七ミリずつ
ドライフルーツがよく馴染んで
今日より明日 もっとおいしくなる
粉砂糖をまぶしたそれは
おくるみにくるまれたキリストの姿
まんなかにナイフを入れて
五ミリずつ 七ミリずつ
分断した傷口は開いたまま乾いて
今日より明日 もっと凄惨になる
硝煙や砂、血にまみれて
父が子の内蔵をこぼさぬように抱く
寿ぐ言葉よ
夜のあとには朝を与えよ
2023.12
詩「ある老いた清貧の願い」
老人が友人を富ませ
父は祖父に忖度する
老獪な視界の先で
母は娘は頬をひきつらせる
失われた世代は分断を強いられ
若者が絶望を見て権威の広告塔を撃てば
富める老人が群がり最上級の葬式を出すという
子のポケットは裏返され続け
なけなしの一割をむしりとられる
坂を転げ落ちながら願うのは
バスの後ろまでの点検
子どもが死なず若者の苦しまない日常
傾きの増す船を
もうすぐ降りるその前に
2022.09