小豆を煮る話
梅仕事だとか、小豆を煮るだとか、そういったことの雰囲気が好きだ。
雰囲気なので、料理が好きなわけではない。
なんて言うのか
ていねいなくらし?
それだ。
全然そんな暮らしぶりではないけれど、切り取ってしまえばこちらのものだ。
今年も、小豆を煮て善哉をつくる。
小豆の袋に説明書が入っていて大変有難い。
まず小豆は2時間水に浸す。
そしてその水は捨てずに、そのまま火にかける。
小豆の色落ちを防ぐためだ。
沸騰したらやや弱火にして、灰汁を取り除く。
灰汁・・・
とめどなく永遠に出てくるような気がするんだが、これは一体どこまで取れば正解なんだ?
たぶん、YouTubeとかで調べてみれば一発だ。
きっとプロの和菓子職人とかが御指導くださることだろう。
でも見ない。
灰汁の取りすぎか、煮汁が少なくなったので差し水をする。
本来の用途は違う。温度を下げるためだ。
結果同じだから良しとする。
ここから豆が柔らかくなるまで約40分ほどコトコト煮る。
その擬音もなんだか好きだ。温かみがある。
鍋に付属した擬音なのだから、当然と言えば当然か。
豆が柔らかくなったら、砂糖を少しずつ、好みの味になるまで足す。
味見をする。
苦い。
なんでだ。
流石に調べてみる。
タンニンだかサポニンだかの苦味成分があるので?
渋切りのために一回煮こぼすのが正解?
そんな話は聞いてない。
小豆の色落ち云々はどうなるんだ。
そもそも家庭用なので色など気にする必要もなかったか。
苦い汁は砂糖を足した所で苦かったので入れ替えることにした。
若干、風味も損なわれた気もするが、苦いよりはマシだ。
ただ水を入れて火にかける、それだけの工程なのに、なんて奥が深いんだ。
よくわからない火加減だとか水加減が、老舗のお高い美味しい餡子と明暗を分けるのだろう。
シンプルゆえに難しい。
反省を踏まえてまた作ろう、と思うが、鍋一杯の小豆を食べ終える頃には、もう一年は作らなくて良いな、と思うのでアップデートは牛歩だ。
数十年後には風味豊かで色合いも良い善哉を作れていたら素敵だと思おう。
ご馳走様でした。
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