No.1 ノンフィクション小説「ブロークンライフ!!」
「え!?本当ですか!?はい!ぜひお願いします!」
2016年2月末日、まだまだ寒い日が続く最中、外回り中にその電話をもらった時、飛び上がらんばかりに喜んだ。
横浜市鶴見区にある、企業に訪問する前だった。
それは、2012年に新卒で入社してから、約4年間、
ずっと希望していた海外現地法人での駐在員の内辞だったからだ。
「よし!ようやく夢が叶った!海外で働ける!」
興奮が冷めやらない中、それを何とか押し殺しながら、
目の前の自分の業務に戻って行く。
「田中くん、今日は何か嬉しそうだね?何かあったの?」
「いえ、特にないですよ!強いて言えば、〇〇さんにお会いするのを楽しみにしていたので!」
「上手いこと言うね!田中くん」
気分が高揚しているからか、そんな軽口が自然と出て来る。
お客様先を後にし、会社に戻った。
「聞いて下さい!俺、ずっと念願だった海外駐在員として、
働ける事になったんです!」
と、すぐにでも言いふらしたかったのだが、
まだ内辞の段階であったため、
黙々と仕事をこなし、会社を後にした。
会社の最寄駅までの足取りは、軽くスキップ気味だった。不思議と寒さも感じない。
一人暮らしをする日吉駅近くのアパートに帰り、まずは実家横須賀に住む両親に報告。
「あ、お母さん?俺、4月からベトナムに駐在する事になった!」
「え!?ベトナムって、、また急に。そんな発展途上の国に行って大丈夫なの孝一?」
「大丈夫大丈夫!とにかく、これから様々準備しなきゃいけなくて忙しくなると思うから。また連絡するね!」
母がまだ何か言っていたようだが、一方的に切った。
まだこちらも夢見心地なんだから、少し余韻に浸らせてくれ。
そんな気持ちだった。
思えば、「海外で勤務する!」と夢見て入社をして、早4年が経とうとしていた。
これまで海外に駐在している会社の人々を見ても、皆、部長クラスだったため、
「いい加減、10年間は日本での勤務を覚悟した方が良いのかもな」
そんな風に思い始めた矢先の出来事だった。
僕が勤務するのは、一部上場のIT企業株式会社SOCIALだ。OA機器を扱う商社だったが、近年では、国内外のコンサルティングに力を入れている。僕が入社当時から夢見ていたのは、その海外部門だ。
夢見ていたと言うのは、本当に文字通りで、社内で担当していた業務と言えば、OA機器・WEBなどをご導入頂いたお客様へのコンサルティング営業であった。
海外と全く無関係の仕事で、始めは全く興味も湧かなかったのだが、年に2回行われる、顧客の事業支援の成功例を競い合う「社内プレゼンテーション大会」で活躍する先輩社員の姿に憧れてからは、それに夢中になった。
出世やボーナスなどを目指す他の社員とは全く違うモチベーションで働いていたが、その大会への熱意は異常なものがあった。
とにかく、海外を志したものの、海外の「か」の字もない仕事をしていたので、海外部門から辞令があった事は、正に青天の霹靂だったのだ。
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