No.4 ノンフィクション小説「ブロークンライフ!!」
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事務所を出て、外で待っていると、数分で本橋先輩が出てきた。
「お待たせ!さて、どこ行こうか?」
「そうですね。『かど松』とかどうでしょう?」
「いいね!そうしよう!」
僕らは、関内駅と反対側に歩き始めた。『かど松』は、蕎麦屋だが、ランチはリーズナブルで豊富な品揃えで、しかもボリュームもあり美味い。また、夜も遅くまでやっているので、1軒目の遅いSOCIAL横浜支社の社員御用達の店だ。
お店に着いてすぐ、愛想の良い少しハスキーがかった声の女将さんが、おしぼりを用意してくれる。
「本橋さん、こんばんは!いつもありがとうございます!」
「いやいや、女将さんの顔見に来ただけだから!顔見たから帰りますよ!」
「ちょっと!そんな事言わずに、2〜3杯やっていって下さい!始めは、瓶ビールで良いですか?」
「はい!グラス2つね!」
本橋さんとそんなやり取りを終えた女将さんが、勢いよく奥に引っ込んでいく。周りを見渡すと、今夜もなかなか繁盛しているようだ。もう夜も9時を回る頃だから、既に顔の赤いサラリーマンもいる。
「さてと、お前、海外勤務決まったんだってな?」
「はい。決まりました。」
「どこ行くんだ?」
「ベトナムです。」
「ベトナム!?お前、インドネシア希望とか行ってなかったっけ?」
「はい。そうなんですけど、行けるならどこへでも!って感じなので。」
「そうか。おめでとう!寂しくはなるけどな。頑張れよ!」
「はい!ありがとうございます!」
「お前、現地の人と結婚したりするんじゃね〜の?付き合うとすぐ、『結婚する!』って言い出すからな!ハハハ!」
女将さんが、瓶ビールを持ってやって来た。
「はい。お待たせしました〜。お注ぎしますね。」
「あ、ありがとうございます。女将さん、こいつね、今度異動する事になって、ベトナム行くんだよ!」
「え!ベトナム!良いところじゃないですか!食べ物美味しいって聞くし!」
ビールを注ぎながら、テンポ良く応答する女将さん。本橋先輩のノリも慣れたものだ。
「へ〜女将さん、ベトナム知ってるんだ!」
「知ってるって言っても、友達が旅行で行った感想を聞いた位ですけどね。フォーとか、生春巻きとかが美味しいらしいですね!女性もキレイだし!アオザイって検索すると、写真が出て来ますよ!」
「へ〜!これで決まったな!お前、ベトナム人の女性と結婚して、永住だ!ハハハ!」
「良いんじゃないですか?本当に美人みたいですよ〜!親日の国だって聞くし。」
「いや!行く前から勘弁して下さいよ!僕もベトナム行った事なくって、全然現地の事分かってないんですから。」
「あ〜、お前もベトナムは行った事ないんだ!東南アジアに結構行ってるって聞いたから、行った事あるのかと思ってたよ。」
「ベトナムは、ないんですよね。東南アジアで行った事あるのは、マレーシア、インドネシア、シンガポール、カンボジアですね。」
「とりあえず、今日はお祝いですね。おめでとうございます!」
女将さんは、他のテーブルから注文が入り、ササッといなくなった。
「じゃあ、とりあえず、おめでとう!向こうでも頑張れよ!」
「ありがとうございます!頑張ります!」
僕は、先ほど言われた、聞き慣れない『アオザイ』という言葉をググってみた。
「お!本橋先輩!本当にベトナムの女性凄いキレイです!」
「う〜ん、キレイだけど、俺は正直あんまりタイプじゃないかな〜」
「そうですか?僕、凄いタイプだな〜」
「お前、やっぱりDNAで東南アジアに行く事に決まってたんだな。」
「それは確かにあるかも知れませんね。ウチの父親、昔ダイバーとして海外あちこち転々としてたらしいんで」
「そうなんだ!やっぱり、血は争えないってのは本当なんだな〜。お前が現地で結婚しても、結婚式は行かないからな!ハハハ!」
「何でですか!来てくださいよ!初ベトナム良いですよきっと!」
「まあな〜。まあ、その時は呼んでくれよ!」
「とゆうか、まだ結婚すると決まった訳じゃないですから!」
そんな他愛のないやり取りをしながら、夜は更けて行った。この時は、夢だったベトナム駐在に浮き足立ち、期待に胸が膨らむばかりだった。
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