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【超短編戯曲】少年と海(300字)

少年は海を見たことがなかった
少年は母に尋ねた

少年「ねぇ、母さん海ってどんなもの?」

母「すごく大きいものだよ。」

少年「終わりはないの?」

母「どんなものにも終わりはあるさ。」

少年「他には?」

母「そうだね。しょっぱいものだね。」

少年「おっきいけど終わりがあって、しょっぱいものが海なの?」

母「そうだね。」

少年「なんだ、人生とおんなじだね。」

母「そうかもしれないね。」

母は苦笑した

少年「だったら、見る必要ないや。僕は今、その人生を泳いでいるんだから。」

母「そうかい。でも泳いでいるうちは、その大きさはわからないだろうね。」

少年の目からしょっぱいものが流れた

少年「母さん、海に連れてってくれよ。」

母「あいよ。」

【超短編戯曲】少年と海(300字)

これは以前連載していた300字戯曲のリメイクです。

井の中の蛙(かわず)大海を知らず

とはよく言いますが

胃の中のおかず大腸を知らず

とはあまり聞きません。

大体同じ意味です。

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小川 功治朗
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