39. 心をひとつに響かせる!
こんにちは。コウです。
今回は石田修一先生の「心をひとつに響かせる!」を紹介します。
石田先生といえば、長年にわたって市立柏高校吹奏楽部の総監督として活躍されました。市立柏高校吹奏楽部といえば、全国大会常連の強豪校として知られています。
そんな石田先生の吹奏楽部創設当時からの様々な体験をもとに、どのようにして「イチカシ吹奏楽」が作られ活動してきたのか、石田先生の考える教育論などが語られています。
最初は吹奏楽部がなかった
1978年に市立柏高校の開校と同時に、新卒で赴任した石田先生は、吹奏楽部の部員を集めることから始めました。
当然2・3年生はいませんから、1年生だけで30名ほどの部員を何とか集めて活動を開始したそうです。
当然楽器もありませんから、最初は3つの楽器を順番に使うなどしていました。
そんな中で、沢山の試練を乗り越えて、最終的には14名で「千葉県吹奏楽コンクール」に出ようと決めました。
それからというもの、土日も祝日も猛練習、他の部にも声をかけ、新設イチカシ吹奏楽部は1年生だけで準優勝をしました。
その快挙は新聞にも取り上げられたそうです。
先輩の先生の元へ行き勉強
当時、自身の指導に限界を感じていた石田先生は、実際に金賞を取っている先生の指導法を学びに、いろんなところに赴きました。
そこで共通していた指導は「人間教育」をされていた点でした。
当時は「金賞をとる」ことに必死だった石田先生にとっては、大きなきっかけになったそうです。一見音楽とは無縁に見える、清掃活動や礼儀、素直さ、感謝の心などを指導に取り入れました。
教育の目的
石田先生の語る教育の目的は
①人々の幸せを願うような人間になってもらうこと
②生徒自身も幸せな人生を送れること
です。
一流企業に入れば必ず幸せになるわけでは無い。
ではどうすれば生徒が幸せになれるかを考えるのが教師の仕事だといいます。
人類がインターネットや交通機関を通じてつながりを持っている今、自分一人だけが幸せになるのは不可能です。
つまり、人の幸せを願い、自分自身も幸せになる。そんな価値観を身につけることを吹奏楽を通じて伝えたい。そういった思いで一生懸命指導されています。
幸せになるために大切なこと
幸せになるために大切なことは感謝をすることだと石田先生はいいます。
金賞を取れなかったときは、
「何で他よりこんなに努力しているのに金賞を取れないんだ」
と不平不満が出ました。
しかし、それでは何のために吹奏楽をやっているのかがわからなくなったそうです。
他人と比べたり、不満を持ってやっているうちはうまくいかない。
大切なのは、今大好きな吹奏楽ができていることに感謝を持つことだと気づいたそうです。
それからは、
「感謝の気持ちを積極的に持とうとする努力が、実は幸せになる近道だ」
ということを、生徒に教えるようになったそうです。
幸せになるためには、人に感謝されるよりも感謝する生き方が重要です。
常に感謝する生き方ができれば、他人や結果に見返りを求めない、自分自身の努力と結果に向き合うことができるからです。
全員が主役
イチカシ吹奏楽部は全員が必ず主役になるという方針で活動しています。
全国高等学校吹奏楽コンクールに出れるメンバーは55名。
通常は、それ以外のメンバーは補欠ということになります。
実際にどうするかというと、紅組、白組、青組とチームを分け、マーチングや管楽コンテストなどにそれぞれ出場をします。
これによって、部員は紅・白・青のどこかに所属することになり、それぞれ決まった道を全力で極めていくこととなります。
ここには石田先生のある思いが込められています。
この社会にどうでもいい人はいない
例えばマーチングでは、たった一人の欠員により隊形に穴が空きます。
それぞれの役割がどのような意味を果たしているかは、実際に演奏している部員にはわかりずらいですが、その歯車の一部を一人一人が確実に担っています。
生徒にそれぞれの役割と責任を与え、自分の活動が誰かの支えになっているということを、部活を通して学んでもらいます。
全員が主役を経験することで、主役の大変さがわかり、それを支えてくださる方の大変さもわかることで、感謝を学ぶことができます。
このように部活という組織の中で、主役や支え役、リーダーやフォロワーを経験する事で、自分が輝ける場所を見出し、どうでもいい人なんていないんだということを生徒が学ぶことができます。
最後に
最後までご覧いただきありがとうございました。
この本を読んで、子育てとは何なのか、教育とは何なのかを改めて考えることができました。
石田先生のエネルギーと行動力と熱い思いが伝わる一冊です。
「代わりのないウエディングドレス」の話も素敵です。
あえてここでは書きませんが、是非読んでみてください!
ではまたヽ(^^)