こはく

料理人。 レシピをはじめ、料理で役に立つプロならではの知識を公開します。純粋に料理を楽…

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料理人。 レシピをはじめ、料理で役に立つプロならではの知識を公開します。純粋に料理を楽しみたい方からプロの現場で働く若手の方に向けて、少しでもお役に立てれば嬉しいです。

最近の記事

レストランを転職した理由[最終回]-料理が美味しいことよりも大事なこと-

初めての転職先である高級フレンチレストランを1ヶ月で辞めた。 各個人のくだらないプライドが、料理の妥協を生んでしまったり、そのお皿がお客さんに悪い影響を及ぼしてしまうような、料理人としてあってはならない行為が横行していた。 それにこの店にいても、これから先あらゆる方面の自分自身の成長につながらないと本能的に思ってしまった。 店のスタッフを大事にできない人は、お客さんを大事にできない。 お客さんを大事にできない人は、いいお店なんて作れない。 個人経営で1人で切り盛りしている

    • レストランを転職した理由⑥-転職失敗-

      人生初めての転職を決めた。 長年料理ばかりしてきたし、知識も技術も身に付いている。 県下No.1と言われているイタリアンレストランで部門シェフまで務めた。 キャリアは十分だろう。どこに行っても通用する。 そう思っていた。 私の性格上、新しい環境に身を置いたら、自分のキャリアをぶら下げるつもりはない。 郷に入っては郷に従え。 その店のやり方を徹底的に覚え、自分の知識に上書きしていく。 転職後の最初の難関は、その環境に馴染まなければいけないこと。 自分のやり方を強要し、波風を立

      • レストランを転職した理由⑤-決断-

        世界最高峰のレストランを体験した。 東京駅までの道のり、新幹線の中、そして家に帰ってからもずっと、面接の話を進めようか考えた。 あの厨房に入れば料理の知見が広がることは確実。 しかし東京に単身赴任となるため、生活はギリギリになる。 自分の料理のために、家族との時間を犠牲にしてもいいのだろうか。 料理が上手になることと、生活を充実させることは別軸で考えたほうがいいのではないだろうか。 料理人に限らず、料理を追及している人は、「更なる美味しい」を求めて国中、または世界中を回る

        • レストランを転職した理由④-三ツ星の料理-

          研修スタート。 まずは店の料理を食べることから始まった。 毎日満席なのにも関わらず、1人分の席を空けてくれた。 初めて食べる三ツ星の料理。 味はもちろん美味しかった。 しかし自分が感動したのは味ではない。 皿から伝わってくる技術、付加価値、食材への愛。 食材が1㎜単位で綺麗に切り揃えられている。 一皿の価値を上げるために莫大な時間をかけているとすぐに分かる。 一切の妥協が感じられない。 自分の料理でも似たようなことを意識し実行してはいたが、 意識レベルの差が大きすぎる

        レストランを転職した理由[最終回]-料理が美味しいことよりも大事なこと-

          レストランを転職した理由③-食の最高峰へ-

          美食が集まる街、東京。 その中でも世界から認められる店、ミシュラン星付き。 今まで何度も食べに行ったことはある。 数ある星付きレストランの中で2回だけ出会った感動する料理、ずっと印象に残り続けている料理がある。 (その料理については別で記事にします。) 世の中には一口食べるだけで思考が停止するほど美味しいものってあるんだ、初めてそう思った。 星付き店で働ければ、そういう料理にまた出会えるかもしれない。 感動できる料理を作れるようになるかもしれない。 何を食べても「普通」

          レストランを転職した理由③-食の最高峰へ-

          レストランを転職した理由②-美味しいがわからない-

          部門シェフになってからしばらくした頃、 有名なレストランに行っても、 自分の作ったものを食べても、 味が自分の想像を越えなくなった。 美味しいは美味しいし、不味くはない。 でも腰を抜かすほどの感動はない。 四六時中料理のことを考えた。 こうしてみたらどうだろう、ああしてみたらどうだろう。 何度も何度も試作した。 美味しいけど…知ってる味。 美味しいけど…何か足りない。 美味しい…のか…? なんか…普通…じゃね…? これが悪循環の始まり。 何を食べても普通。普通。普通!

          レストランを転職した理由②-美味しいがわからない-

          レストランを転職した理由①-仕事と家族-

          職業 料理人というと、周りは悪くない反応をする。 レストラン料理と言うともっといい反応をする。 肩書き「料理人」 なんかかっこよくない? 美味しいものを作って食べた人を喜ばせて うめーだろーって。 喜ばせるために自分の時間を犠牲にして 頑張ってるだろーって。 洒落た料理作って すげーだろーって。 それらを誇りに思ってた。 周りの料理人たちはみんな 時間がない、給料が低いと愚痴ばかり。 自分はそれでもいいと思ってた。 美味しいものを追及して、自分の料理を食べた人

          レストランを転職した理由①-仕事と家族-

          自己紹介 | はじめてのnote

          はじめまして。こはくと申します。 念願のノートパソコンを購入したので、前から気になっていたnoteを始めました。 拙い文章かもしれませんが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 自己紹介 17歳から料理を始め、とある県の高級イタリアンレストランにて部門シェフを務めていました。 生活のほとんどを料理のことに費やしていた料理バカですが、過酷な飲食業の行く末に危機感を覚え、料理だけでなく、人材や経営に注力を始めました。 現在はレストランではない飲食店で厨房を統括しながら、

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