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初めての成瀬巳喜男を、スクリーンで
ネタバレあり。
「乱れる」
監督:成瀬巳喜男
製作:成瀬巳喜男、藤本真澄
脚本:松山善三
撮影:安本淳
美術:中古智
録音:藤好昌生
照明:石井長四郎
音楽:斎藤一郎
出演
酒屋「森田屋」の次男・森田幸司:加山雄三
長男の嫁・森田礼子:高峰秀子
母親・森田しず:三益愛子
長女・森田久子:草笛光子
次女・森田孝子:白川由美
新文芸坐の生誕100年記念特集「高峰秀子と名作たち」で、「乱れる」を見てきた。
私の目当ては高峰秀子よりも成瀬巳喜男。
日本映画の4大巨匠といえば黒澤明、溝口健二、小津安二郎、そして成瀬巳喜男だと認識しているが、成瀬巳喜男だけ見たことがなかった(もっとも黒澤だけ10数本見ているが、溝口や小津は2本ずつくらいしか見ていない)。
以前から気になっていた成瀬映画の初鑑賞をスクリーンでできるなんて、何とも贅沢。
40歳超えてもこういうドキドキの初体験は大事にしたいもの。
最近はまとめサイトであらすじを調べて(人によってはオチまで知って)から見る人も増えたそうだが、鑑賞の衝撃を何より重視する私は無論そんなことはしない。
ほとんど情報を入れずに見た。そのため草笛光子が出てるのすっかり忘れてて、後半になってやっと気づく始末。白川由美なんて最後まで本人とわからなかった。
北村和夫が髪の毛黒々してて若い! それにてっきり母親役が浦辺粂子だと思ってた(温泉場のおかみが出てきて、あ!こっちか?と思った)。メチャクチャだ😅
浦辺粂子のモノマネやってたのって関根勤だっけ? 小堺一機?
私にはモノマネでしか見たことがない人だった。
さて、映画の感想だが、かなり退屈してしまった。100点満点なら14点くらい。
疲れていて前半の途中で10〜15分くらいはうとうとしながらの鑑賞だったが、後半はしっかり見た。
長く感じてしまった。98分とはとても思えない。しかし、マーラーの交響曲第3番の長さと思えばそれなりに長いのだろう。
この話って、未亡人の義姉を好きになった男が告白したら断られたので自殺するだけの話だよね?😅
どこがロマンティックなのかさっぱりわからない。
礼子が悲惨すぎる。前世で悪いことやりまくったのかと思うくらい受難の人生。
高峰秀子をこんなにいじめてどーする。
よかった点。
○セリフがやけに現代的。
1964年の製作だが、いま聞いてもまったく違和感のない言葉遣い。草笛光子みたいな口ぶりの人、そこらにいるでしょ。
「101回目のプロポーズ」の方が時代を感じそう笑
○母親の「どうしたもんかねぇ」がウケた。
正確なセリフは忘れたが、礼子が突然親戚会議を開き「家を出たい」と言い出し、面食らった母親が「どうしたもんかねぇ」と。
私も同じ心境でしたよ😂
いまいちだった点。
△加山雄三の酔った演技(特に1回目)が下手。
普通のシーンの芝居はよかったけど。一本気で融通が利かない性格をよく表せていた。
△子供がいる前でえげつない話をする。
再婚の話、金の話、身内の悪口……そんな話ばかり聞かせてるせいでそうなってしまったのか?と思ってしまうくらい、女の子がお世辞にもかわいいとは言えない容姿だった。
いまのドラマの子役は男女問わず美形ばかりだからねぇ……。
△音楽が異様に安っぽい。メロドラマ風。
特に幸司が礼子に告白した瞬間、一気に激しい音楽が流れたときは噴き出しそうになった😂
△後半になって話が急展開。付いていけない。
このつまらない話の着地点は何なのか?とある種の好奇心を持ちながら後半鑑賞してたが、まさか幸司の自殺とはねぇ。
好きな女にフラれたのはつらかっただろうけど、わたしゃこの後の礼子の人生の方に興味あるよ。
△話のスケールが小さい。
いかにも日本的なこじんまりさ。ライバルのスーパーがどうのとかまったく興味が持てない。
1時間半かけて描くお話かしら😅
△礼子の言動が思わせぶり。
なぜわざわざお寺に呼ぶ?
「幸司さんに好きだって言われたとき、本当は嬉しかったの。私だって女ですもの」ってのも何かしっくりこないセリフ。
映画は幸司の自殺で唐突に幕引きとなる。エンドロールもないからほんとにあっけない終幕だった。すぐに客電がついたから何かのコントかと思っちゃったよ😅
感情移入できない理由として、幸司が全然いい男に見えんのよ。
片想いの義姉に振り向いてもらえないからといって女遊びして大して働きもせずにパチンコしてる奴ですよ?
後半気持ちを入れ直して仕事に精を出すけど遅いっつーの。
幸司が魅力的に感じないから、礼子に相手されなくても「仕方ないよねぇ」って感じ。天国の兄には勝てんのよ。
礼子に拒絶されたあと旅館を飛び出して、無人のバーから電話をかけ「バーにたくさんいる女の子と遊んで帰るよ」と精一杯の見栄を張った幸司だったが、そのすぐあとに自殺するとは……。
展開が平凡すぎて、何の驚きもない。いや、急に終わっちゃったっていう驚きはあったけどね😅
「浮雲」とか「女が階段を上る時」も気になってたけど、カメラワークや音楽の使い方があまりセンスがよいとは感じなかった。
成瀬巳喜男のおすすめ作品をご存知でしたら教えてください😀
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