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過不足のない金川真弓の稀有な「セレナード」 都響B定期

都響サントリー定期を聴いてきました。

シンディ・マクティー:タイムピース
バーンスタイン:セレナード
コープランド:交響曲第3番

ヴァイオリン:金川真弓
指揮:アンドリュー・リットン

念願のコープランド

コープランドの交響曲第3番は、モーツァルト、ブラームス、シューマン、ブルックナーの交響曲より好きなくらいお気に入りです(さすがに言いすぎか?😅)

念願の初生❗️(ビールみたいですね🍺)

谷口昭弘さんの解説によると、都響では初演で、今回はバーンスタインがカットした版ではなくオリジナルの版を使ったそうです。

この曲はいろんなCD(コープランドの自作自演、スラットキン(セントルイスとデトロイト)、大植、バーンスタイン、ティルソン・トーマス)で聴いてきましたが、ライナーノートをあまり読まないのでバーンスタインがラストをカットしていたのは初めて知りました😅

コープランドの自作自演はオリジナル版なんですよね?
それも聴いてたのに、今日のラストは初めて聴く印象でした。
壮大なフィナーレだぞ!ってダメ押し感が強い感じでしたね😅

アンドリュー・リットンはニューヨーク・シティー・バレーの音楽監督ゆえか、めちゃくちゃわかりやすい拍の振り方でした(バレエやオペラは合わせてなんぼでしょうから)

まさに職人指揮者といった風情。
棒はわかりやすいですが、場数を踏んでる厚みが音楽に現れてます。

オーケストラは少し前のめりに聞こえました。足元が安定しないというのか。

勝手なイメージですが、コープランドの交響曲第3番って壮大な人生の栄枯盛衰を描いてるように感じます。

それでいうと、栄光の象徴はトランペットです。
なのでたまにひっくり返ったりすると、輝かしい栄光が冴えない感じに聴こえてしまいます。

金管はフォルテの場面が多いのでプレッシャーの連続だと思います。
金管奏者にとってはマーラーやブルックナーに匹敵するくらいの難曲なのかもしれません。

初めて生で聴いて、この曲のスケールの大きさを改めて実感しました。

映画音楽のような親しみやすさがありながら、人生や歴史を内包した壮大な絵巻物だとしみじみ感動しました😊

シンディ・マクティー:タイムピース

タイムピースを書いたマクティーさんはスラットキンの奥さんなのだそうです!

プログラムは読んでおくものですね😅

2000年に作曲されたわりには聴きやすく、しゃもじ型のカスタネットや100均の調理器具のような変わった打楽器がたくさん活躍するユニークな曲でした。

あのしゃもじ型のカスタネット発売してほしいです😁
会議とかで話が長い人を黙らせるのに使えそうです🤣

圧巻の「セレナード」

「セレナード」が圧巻でした。

ヴァイオリンの音色に終始惹きつけられました。オーケストラと独奏のバランスが素晴らしかった。

コープランド目当てに行ったコンサートでしたが、金川真弓という稀有な才能に出会えた思い出深い一日になりました。

過不足のない表現でした。これが結構難しい。

曲を自家薬籠中の物にしている、ということもあるのでしょう。
強烈な個性はそれはそれで魅力的なのですが、ときとして音楽の邪魔になります。
聴き慣れてない曲でしたが、金川さんのヴァイオリンで聴くと凄くわかりやすい音楽に聴こえました。
曲の魅力がありありとわかるようでした。

曲が終わった瞬間、金川さんがリットンさんにパッと手を伸ばしてがっしり握手されてました(コンミスの四方さんとも)。
グータッチではなくそうしたくなった気持ちがよくわかる、完成度の高い演奏でした。

素晴らしいコンサートは演劇のように感動的な場面を目撃することがあります。
あの握手の一瞬はクラシックコンサートの名カメラマンだった木之下晃さんに撮ってほしいくらいでしたね。

金川さんはテレマンやバッハの無伴奏、ベートーヴェンやエルガーの協奏曲などでまた聴いてみたいと思いました。

アンコールはバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番の終楽章アレグロ・アッサイ。

金川さんが弾き始めた瞬間、楽想に翼が生えて飛んでいくような自由自在さに魅了されました。
脱力した自然体の演奏でした。最後は思いきりテンポを落とし、歌い上げるようなフレージング。

音が消えると同時に、客席から「うーん!」とマダムの小さな唸り声がしました!🤣

レストランで趣向を凝らしたオードブルが出てきて「うーん!」と唸っちゃう感じのやつです笑

気持ちはわかりました!🤣

ホールスタッフにも感謝を!

残念なことが終演後に。

指揮者のソロカーテンコールもありましたが、分散退場のアナウンス前に9割の客が帰ってました。

ミューザとオペラシティで東響聴いたときはもっと残ってましたよ!😓

最近「同調圧力に屈しない!」とか言ってるノーマスク軍団がいますが、分散退場を守るって私はホールスタッフへの礼儀だと思うんです。

今はノーマスク入場不可ですけど、もしホールがマスク不問にして大勢のノーマスク軍団が大声で会話してたらスタッフに文句言う人出てきますよね?

だったら、ホールの感染対策に協力するのは、その場を借りて楽しい思いをさせてもらった人間の務めではありませんか?

コンサートを最初から最後まで安心して楽しめるのはホールスタッフのおかげです。

飲食店で店員さんに偉そうな態度をとる人が嫌いな人は多いと思います。

分散退場守らないのも同じでしょ?(スタッフへの気遣いのなさにおいて)

長時間足止めされるわけではありません。
感動的なコンサートを楽しめたのは出演者だけのせいではないはずです。
コンサートの余韻を打ち消すような光景にはがっかりさせられました。

分散退場を律儀に守っていた人たちはおそらくホールスタッフにも感謝の意を表したかったのではないでしょうか。

指揮者のソロカーテンコールまでしておいて、団員が入場してくるときもずっと拍手して出迎えておきながら、ホールスタッフのお願いは平気で無視する。

分散退場のパネルを持って動き回っている係員さんたちにあまりにも失礼な仕打ちです。

コロナ禍にかぎらず、異常事態って人間の本質が露呈しますね。

むかし新婚旅行で海外行って、旅先でお互いの嫌なところを目にして帰国後に別れる「成田離婚」ってのがありました。

非日常の世界ほど、素の自分が出ます。

私も気をつけて生きていきたいです😅

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