緊張して早口になる人の切り札、息苦しいルーティンの話!!早口3
Bonjour!早口問題について書き始めてもう3回目。今回は、緊張から早口になってしまう人のための、秘密のルーティンのお話。
前回までのまとめ
前回、大きなプレゼンのときとか、愛の告白をするときに緊張すると、そのときだけ早口になってしまう人の対策として、スポーツ選手がやっているようなルーティンを使うといいですよってお話をしました。それで今回は、じゃあしゃべる前にどんなルーティンをすると早口になりにくいのかを、声とことばの専門家として真剣に提案します。
あなたが、しゃべる前のルーティンを作る。
ルーティンと言っても愛の告白の前に、ラグビーの五郎丸選手のマネをすると、告白の前に振られてしまいそうですから、人に知られずにすることができる、僕のおすすめルーティンをお伝えします。
まず、あなたが緊張して早口になってしまうシチュエーションをイメージしてください。
プレゼンの練習がしたいなら、大きなプレゼンの前をイメージします。
大勢の人があなたを見つめています。偉い人も客席の前に陣どってあなたを見つめているような状況です。
知らない人に挨拶をするなら、挨拶のときをイメージします。
大切なお客様に気に入っていただかなくてはいけません。相手はちょっと不愛想な人です。
愛の告白なら、告白のときをイメージしてください。
大好きなみっちゃんは、あなたにまったく興味がなさそうです。
では、皆さんイメージできましたか?
すでに緊張していますね。それで大丈夫です。静かに、そのまま、あなたの呼吸を意識してください。
どんな呼吸をしていますか?
少しだけ、息苦しいかもしれません。
注意:もし、このイメージしただけで呼吸困難になっているようなら、僕の手には負えないので精神科に行く事をお勧めします。真面目に言ってますm(__)m。
もし、あなたが少しだけ息苦しいなら、その息苦しさをしっかり覚えてください。胸とお腹をよく観察しましょう。どんな風に動いていますか?
あなたは息苦しいとき、こんな風に胸とお腹が動いて呼吸をしているんですね。
では、今度はシチュエーションは想定せずに、さっきの少し息苦しい感じの呼吸だけを思い出してください。
胸とお腹を同じように動かすことはできますか?
これが、あなたがしゃべる前にするべきルーティンです。大切な場面でしゃべり始める前、そのための練習の前に、いつもこの息苦しさを感じるルーティンをしてください。これを僕は「息苦しいルーティン」と呼んでいます。
普通は本番や練習の前、リラックスしようとか、普段通りにしようと思いますよね。
僕が声とことばの専門家として提案するのは、逆なんです。
わざわざ息苦しくして、緊張した状態を再現するんでしょうか。かえって、緊張して早口になってしまいそうな気がしますね。
なんでそんなことをするのかと言うと、「緊張しない」なんてことはできないからです。あなたは大きなイベントのとき、どうせ必ず緊張するんです。だったら緊張していても、緊張したまましゃべれるように練習をすべきです。
もう一つ、呼吸を意識するにも理由があります。
緊張すると、心臓がどきどきして、変な汗をかいてきて、焦りますよね。
そんなとき「落ち着け!!」って漠然と思ってみても、心臓のドキドキも変な汗も止まりませし、やっぱり焦ったままです。
だから、そういう、心臓とか発汗とか焦りとかは、もう自分の努力ではなんともならないんです。そこは抑えるんじゃなくて、もう積極的に心臓はドキドキさせて、変な汗は流して、焦ったままでいいじゃないですか。
それよりは、自分の努力でなんとかなりそうなものを制御したほうがいいと思うんです。
そこで、呼吸の出番です。
呼吸なら自分の意識で何とかなります。しかも呼吸はしゃべることと直接関係がある動作です。
とにかく練習の前に、いつもあなたが緊張したときの呼吸を再現するんです。そうすると、本番でも同じような呼吸を再現することができます。
本番前、更にいつもより息苦しいかもしれません。そんな時でも、「息苦しいルーティン」をすることで、自分のいつも通りの、ほどほどに緊張した呼吸に戻すことはできるはずです。
逆に本番前、あなたは意外にも落ち着いていたとしましょう。そんなときでも「息苦しいルーティン」はすべきです。なぜなら、いけると思って余計な事を始めてしまう可能があるからです。余計な事をして、後から焦り始めるなんてことはいくらでもあります。とにかく、いつも練習している通りのことが、本番でもできる可能性を高めるべきです。
「息苦しいルーティン」を身に付けて、少しくらい息苦しいままでもしゃべれるように練習しておけば、心臓がどきどきしていようが、変な汗をかいていようが、好きなみっちゃんが軽蔑のまなざしを向けていようが、あなたは練習してきた通りにしゃべることができるはずなんです。
「息苦しいルーティン」を身に付けたあなたらなら、息苦しいのが普通です。ノーマルです。
みっちゃんに愛の告白をするとき、息が上がってもしゃべれるように練習したあなたなら、いつも通りシロドモドロになりながらでも、.愛の告白ができるはずです。
いよいよ本番!!
あなたは、プレゼンのとき、人と会うとき、愛の告白のときに、くれぐれも練習してきた通りに本番に臨もうとしてください。あなたは普通の人ですから、本番で奇跡が起きて急にうまくいくなんて事は、まずありません。諦めてください。練習の70%できれば万々歳です。
本番では、想定していなかった様々な事件が起こります。
少しの人にプレゼンすると思っていたら大勢の人がいたり、初めて会う人の頭に変な寝癖がついていたり、好きなみっちゃんが初めから不機嫌だったりするんです。
そんな時こそ「息苦しいルーティン」の出番です。そうすれば、どんなに緊張でドキドキしていても、周りが想定した状況と違っていても、呼吸としゃべり方はいつもと同じです。
大きなイベントのときは緊張によって意識が研ぎ澄まされ、今まで気にならなかった事が気になります。それらを無視するわけでもなく、ただしゃべることだけは自分の練習通りの70%を目指して、しつこいようですがくれぐれも練習通りにやるのです。
本番が終わったあと、あなたはいつも通り、あれが悪かった、これができなかったと後悔しているはずです。それがあなたの実力だからです。
でも息苦しいルーティンから、いつも通りしゃべり始めたあなたは、周りの反応をあとから聞いて気付くはずです。自己評価よりもずっと周りから高い評価を受けていることを。
なぜなら、あなたが大きなイベントの最中に気になった、「あれができなかった、これができなかった」といったことは、身体が緊張した結果、意識が研ぎ澄まされたので気になっただけだからです。あなたは、ルーティンによって緊張を味方にすることができていたんです。
早口と言うよりも、緊張との付き合い方になってしまいましたね。
この息苦しい呼吸のルーティンは、僕も重要なプレゼンの前やステージの本番前などでいつもやっているんですけど、とても有効です。
え?結局、プレゼンとかの練習は必要なんじゃないかって?
滝で修行して悟りを拓くよりは簡単でしょ!
ええ!?みっちゃんに結局、振られたって?
早口で喋らなくても、中身が伴ってなければなんともならないということですよ!!
では次回からは、厄介な問題、慢性的な早口の人の対策について考えていきたいと思います。
パリ在住、日本語の声とことばのトレーナーゆうじでした。
ではまた!!Au revoir!!
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