『靜電三法』楢崎皐月 │ 楢崎研究所
「なんでこの本がここにあるの!」
過日の茶室で或る農家がおもわず叫んだ一冊が本書になる。近代科学を読み漁っていると、妙に華を感じられなくなる時期があるが、おそらく二十世紀末に何処か生命を感じぬ方角へと人類は歩を進めたのではあるまいか。やはりそのまえの科学者の方が色氣がある。
閑話休題。なぜ讀書家の農家が騒いだのかと云えば、楢崎皐月が相似の觀点から自然を視たからに他ならない。例えば、41頁には「遠くの山と林と手前の作物、芋の葉まで相似となっている」という文とともに、農村風景の一葉が載せられているが、この相似に集注する暮らしこそ、私たちが何処で生き、何処で育むべきなのかを教えてくれるのである。楢崎皐月の言の葉で云うならば、「相似象學は宇宙に存在する秩序を整序」であり、そこから優勢地(イヤシロチ)なる地形がわかるようになるということであろう。
ところで、劣勢地(ケガレチ)からイヤシロチへの場の転化はどうすべきか。
こちらに関しても、靜電を用いた方法が多々記されているけれども、このような技は我が國では文化として比較的初期の頃から伝承されてきた智慧であるから、わざわざ電氣に頼る必要もなかったのかもしれない。
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