「大人になっても、ふと口ずさむ歌を」こんにゃく座
大切にしているのは言葉と音
1971年に設立されたオペラカンパニー「こんにゃく座」は、小、中学校、高校と全国各地を回る劇団だ。数多くのオリジナルオペラを生み出して、沢山の拍手を受けている。そんなこんにゃく座が、子どもと舞台芸術大博覧会のキックオフイベント3/13(木)にて、プレ公演を披露してくれた。「ロはロボットのロ 台本・演出:鄭義信 作曲:萩京子」からいくつかのナンバーを歌いあげ会場を大いに盛り上げた!
こんにゃく座が大事にしていること、それは言葉と音。設立されたころから日本語で歌うオペラをモットーに、お芝居を楽しんでもらうために誰もがわかりやすい言葉で綴られた歌詞。そして、生音にこだわった演奏スタイル。ピアノはもちろん手や足、時にはパンを作るロボットの持つ調理器具も楽器へと変貌する!そして、そのナンバーのどれもが美しい歌声とハーモニーにより、彩られていくのだ。
もちろん歌以外にもアンサンブルの役者が瞬時に世界観を作り、森を海をお城を作り上げる。すてきな群衆劇。そして、ダンスもこんにゃく座の魅力にちがいない。
「みんなでつくる」は、楽しくて美しい!
子どもと舞台芸術大博覧会の魅力は何か?
こんにゃく座のみなさんにお聞きしたらこんな答えが返ってきた。
それは、みんなでつくり上げていくこと!
このイベントの為に様々な団体、そして子ども達が関わっていく。たくさんの人のハートやアイデアが集結し実現していくのに、エネルギーを感じる。劇場に入るだけでワクワクするこの空間はまるで舞台のワンダーランド!だと!
そして、こんにゃく座の作品で、こんなことがあったそうだ。全国を飛び回る中、「子どもの為に」と連れてきた親が子ども以上に胸を打たれ、夢中になっていたとのこと。ロボット役の方が「来てくれたお客様、子どもも大人もみんな盛り上げます!」と張り切っていた!子どもだけじゃない!油断している大人にこそ響く作品が目白押しだ!
大人になっても、ふと口ずさむ歌を
子どもにとって舞台芸術の大切さは何か?
その問いにこんにゃく座の方からいただいた言葉が、「口ずさむ歌をあげること」だった。舞台を見終わって子ども達が笑顔で帰っていく。その日聞いた歌を口ずさみながら。その歌の中には、こんにゃく座の方の思いがある。悲しいことがあっても、朝は来る。きっと歌があれば少し明るくなれる。その思いを大切に持って帰ってほしい。ふとした瞬間、頭のなかに歌が流れる。それが大人になっても残ってくれたらいいなと。そんな自分だけのすてきな財産を持って帰ってほしいと語ってくれた。
舞台には文字や数字だけで学べないこと、心を伴った体感を与える力がある。心を育てる。喜怒哀楽があるから他人に目を向けられる。本当に感じたものがあるから他人と関わっていける。こんにゃく座のみなさんは、心を育てる大切さを教えてくれた。
他人と関わることは大人でも、時に、怖いものだ。ただ、そんな壁を越えられる力、それは、ふと口ずさんだ歌だったりするかもしれない。