一年目の緑肥の失敗から学ぶ(自然栽培の記録vol.2)
耕さず、草を活かして土づくりをしていく自然栽培。雑草を刈って敷いて腐食を重ねていくのですが、私が借りた区画は、まず刈って敷くほどの雑草がなかったのです。
そこで雑草が生えてくるのを待ちつつ、本を参考に畝周りと区画内の通路で緑肥の栽培を始めました。緑肥とは肥料になるような植物で、マメ科のクローバーやイネ科のエン麦、ライ麦などいろいろあります。この中でもマメ科の植物には、根っこに根粒菌という菌が共生しています。この菌が空気中の窒素を固定して植物の栄養として供給する代わりに、植物からはエネルギー源である糖分をもらってお互い持ちつ持たれつの関係を保っているのです。私はこの根粒菌を土の中に増やして土を豊かにしたいと、緑肥のおすすめの中にあったクリムソンクローバーを植えてみようと思いました。ところがクリムソンクローバーの種は近くの小さな園芸店には売っておらず、ホワイトクローバーの種なら売っていました。「同じマメ科だし、普通のクローバーでいっか」とホワイトクローバーの種を購入。そして畝周りに種を蒔いたのでした。でも、貸し農園ではこれは大きな失敗でした。
種を蒔いた後、畝周りはホワイトクローバーがぐんぐん育ち、望んでいた緑いっぱいの畝になりました。しかし、次第に横に這うように増えていって畝の中へ外へと侵食するようになっていったのです。
放っておくとお隣の区画にも侵食してしまうかもしれない。
そう、ホワイトクローバーは地表を這って不定根を出し、どんどん増えていく多年草だったのです。それを知らなかったのです。自分の土地ならともかく、借りている農園ではこのような多年草の栽培はできません。気づいてすぐにホワイトクローバーを抜きました。せっかく冬でも緑いっぱいになったけど、土を掘り返したくないけど、地下茎まで取り除かないとまた出てきて増えてしまう…。冬の間、せっせと根っこを取り除いたのでした。そしてまた敷く草がなくなってしまいました。
ちなみにクリムソンクローバーは一年草。種が溢れる前に刈って敷けばどんどん繁殖していくことはありません。だから本ではクリムソンクローバーがおすすめだったのかとようやく実感したのでした。
緑肥にしても畑で一つの種類だけが増えるのは豊かな土とは言えないのではないかと考え始めました。雑草もいろんな種類が生えていた方が多様性があっていいのではないかと。人の体に例えてみれば、腸内にいろいろな種類の菌がいた方が健康なように、土にもいろいろな種類の草が生えていた方が微生物の種類が増えていい環境になるのではないかと。調べてみると、このようなことはいろいろな本に書かれていました。その中でも特に興味深かったのは『図解でよくわかる土壌微生物のきほん』(横山和成監修、誠文堂新光社)です。
そこで、二年目はクリムソンクローバーやルピンブルーなど花も綺麗なマメ科の一年草を緑肥に選んで栽培しました。セリ科のハゼリ草やキク科のマリーゴールドも加えてやっと思い描いた景観もいい緑と花いっぱいの畝になったのでした。
緑肥の中では、やはりクリムソンクローバーの赤い花がきれいで好きです。
3年目には区画周りの一辺をクリムソンクローバーにして、カモミールと相まって一部は理想の景色になりました。
しかし、別の部分ではまた草が減る事態に。これには訳があったのです。
なんとモグラが畑に来るようになっていたのです。モグラの通り道には草が生えず………。
モグラの話は別記事「畑にモグラがやってきた」で詳しく書いています。
自然栽培に限らず植物を育てるって本の通りにいかないのが難しいところ。
でも、だから面白い!
自然栽培の記録シリーズはこちら↓
自然農との出会い(自然栽培の記録vol.1)
トマト、「苗から育てる」から「種から育てたい」へ(自然栽培の記録vol.3)
緑ナスが食べたい(自然栽培の記録vol.4)
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