シニアに睡眠薬を勧められない理由3選(2−09)
筆者は有料老人ホームに32年間、勤務しました。
入居者が睡眠薬を飲んで寝て、夜間の転倒で寝たきりになってしまった方が何人もいて、苦しくて悲しくて辛かった思い出があります。
なのでシニアの睡眠薬の服用について筆者の考えは、
「頓服で使用するなら生活の質の向上(QOL)のために致し方ない場合もあるが、常用はできる限り避けて欲しい」
という考えです。
結論:睡眠薬は、『①転倒しやすくなり、②認知症の発症リスクがあり、③依存による弊害が強い』のでシニアに勧められない
シニアと睡眠薬は、相性が悪い
①睡眠薬を飲んで寝ると転倒しやすい
日本でよく使われる睡眠薬は『ベンゾジアゼピン系』ですが、副作用に筋弛緩作用が必ず入っています。
ベンゾジアゼピン系のお薬は、精神安定剤として筋弛緩作用を強めると眠気が副作用になります。
睡眠導入剤としての効能を強めると、筋弛緩作用が副作用になります。
要するに精神安定剤と同じ系統の薬のため、睡眠薬の副作用に筋弛緩作用はつきものです。
これが睡眠薬をシニアに勧めない第一の理由です。
②「睡眠薬を常用していると認知症になりやすい」という研究がある
フランスで行われたある調査ではベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用していた高齢者では4.8%、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用していなかった高齢者では3.2%が認知症を発症しています。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用することで認知症を発症するリスクが1.5倍になるという結果です。
ただし、認知症の予防効果をもつ睡眠薬があるという研究もあります。
筆者の考えは
「認知症になるリスクがあるなら、避けた方がよい」
ということです。
③『依存性は麻薬以上』という論文があり、依存状態になりやすい
最悪の問題は、『依存性が高い』という問題です。
「眠れない時に、頓服で飲む」
だったのに
「睡眠薬を飲めば寝れる」
となって、常用すれば
「睡眠薬を飲まなければ眠れない」
に簡単に移行します。
この「睡眠薬を飲まなければ眠れない」状態は完全に依存状態となります。
「ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、麻薬よりも依存性が高い」
という論文まであります。
筆者としては、シニアにお勧めできません。
まとめ
寝酒と同様に、睡眠薬の服用による眠りは、自然な眠りとは違うと考えるべきです。
薬に頼るのではなく、ウォーキングで自然な眠りを手に入れるべきです。
「まず薬!」ではなく、「まずウォーキング!」という優先順位になって欲しいと思います。
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