お客さまは、実は健康になんてなりたくない?ヘルシー志向なメニューを考えるときのヒントとは
今やファミレスもコンビニもスーパーも、パンもおかずもスイーツも、食を提供する企業はこぞってヘルシーさを売りにしています。
最近だと、低カロリーよりも低糖質(ロカボ)。
着色料・保存料不使用の「無添加系」や、農薬不使用・有機栽培などの「ナチュラル系」、動物性の食品を植物性のものに置き換える「代替食品」まで、実にさまざまな形でヘルシーを売りにする食品が開発されています。
こうなると個人飲食店も必然的に「じゃあうちも」となるのが当然の流れです。
ただ注意しなければならないのは、人によってヘルシーの定義は違うし、健康に気を遣っていると言いながら、いざ目の前にヘルシーな食べ物を出されると平然と拒否する人がいるということ。
ここを掴めないまま自分が思い描く「ヘルシー」でメニューを考えてしまうと、どの属性のお客さまにもハマらない中途半端なものになってしまうかもしれません。
健康のために蕎麦にしようと言いながら天ざるを頼む人たち
蕎麦をメインに扱っている私たち夫婦の店には、蕎麦=健康的なイメージを持って食べに来てくださる方も多いものです。
中には医師から食事制限をするよう言われている高齢者や、メタボリックを気にして自ら食事内容に気をつけている中年の方もいらっしゃいます。
そういう方たちは決まって「体のために蕎麦を選ぶようにしてる」とおっしゃいます。
文部科学省の食品データベースで調べてみると、たしかに蕎麦と白米では白米の方が糖質量が高いことがわかりました。
蕎麦とうどんを比べてみると、意外にもカロリーと糖質は蕎麦の方が高く、その代わり栄養価も蕎麦のほうが抜群に高くなっています。
この時点ですでに蕎麦とうどんではどちらのほうが健康的な食事かとはっきり言えない状態になってしまっていますが、まぁお昼にざる蕎麦をサラッと一枚食べるだけならいたって健康的な食事だと言えるでしょう。
ただ実際のところ上記のような健康を気にするお客さまは、ヘルシーな食事を目的として来店したにも関わらず、注文するのは揚げ玉がたっぷり乗ったたぬき蕎麦や、天ぷら蕎麦、肉蕎麦だったりします。
さらに追加で、ミニサイズのカレーライスやカツ丼をオーダーする人も。
「もり」や「かけ」がさっぱりしているだけに脂っこいものを一緒に摂れば間違いなく美味しいのですが、カロリーも脂質も糖質も、グッと上がります。
提供する側としてはたくさん食べて美味しいと喜んでもらえるのはとても嬉しいことですが、
「あ、あの、塩分もカロリーもどんどん上がってますが、大丈夫ですか?」
と思ってしまうことがままあるというのが正直なところです。
なぜお客さまはこんな矛盾した行動をとってしまうのか。
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