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(エッセイ)変な意味ではないのだが…
ちょうど今、駅のホームにひとりで立っている。午後22時54分。そろそろ23時になる。電車を待っているあいだに通過電車が2台、ものすごい速度で目の前を通り過ぎていった。
12月も中頃になり、最近はいっそう寒さが増している。コート無しで出かけたのがバカだったなぁ、と後悔しながら薄手のスーツをさすってみたりするが、風も吹いてきてなおさら寒い。
前置きはここからにして、本題に入る。あらかじめ言ってお
(エッセイ)嘘の晴れ、本当の雨
今年の8月は頻繁に雨が降っていた。しかしこの気候が異常なのかといえば決してそうではなく、昨年一昨年を振り返ると、やはりこの時期は曇天やゲリラ豪雨が相次いでいたように思える。元来、日本列島は夏になると雨天に曝されやすい風土なのだろう。
話は変わるが8月の初め、細田守監督の最新作「竜とそばかすの姫」を劇場で鑑賞してきた。言うまでもないが、夏休みに時間を持て余した子供やそれを連れる親たちに向けたいわ
(エッセイ)自分自身における悪趣味の源流ーまたは手塚治虫についてー
じぶんの悪趣味は明らかに手塚治虫から影響を受けている。そして手塚治虫のその性向をもっとも如実に捉えることができる作品は短編「紙の砦」だ。
「紙の砦」は数ある手塚治虫の戦争漫画でも特に評価の高い作品である。手塚自身をモデルにした漫画好きな大寒少年と、合唱団に所属する少女との出会いから、戦争が2人を襲い心を引き裂くまでの青春模様をわずかなページ数で見事に描写している。少女の存在も含めていくつかはフィ
(エッセイ)「じぶん」のこと
「俺」と言ったことがない。
小学校に上がる少し前から、「俺」という一人称を使うのが嫌だった。当時、周りの男友達は少しずつ「(本名)くん」とかから徐々に「俺」と自身を名乗りはじめ、純粋な子供からガキンチョらしいガキンチョへと成長?していた。当然その一人称鞍替えの波に押されていたし心も体も男だから、自然にみんなと一緒に「俺」と名乗るはずだった。
けれど結局、「俺」という一人称を使う気にはなれなかっ