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新人を急成長させる!デザインのフィードバック方法

「新人のデザインフィードバック(添削)、どうやれば成長に繋がるのか分からない」とお悩みの方へ、私が新人教育やデザインレビューで意識していることお話しします。
私が考えた指導法をやってみたところ、案件の対応が一人でもできるようになった部下を輩出したり、個人サービスで行っているデザイン添削によって就職に繋がるなどの実績ができました。
成功事例の一つとして、後輩や部下指導の参考にしていただければと思います。

デザインレビューで気を付けたい3つのこと

私が人のデザインをレビューするとき、アドバイスが伝わりやすいように気を付けているところです。

❶否定はしない

デザインレビューに慣れていないと、自分の制作物が悪い=人格否定、と受け取ってしまうことがあります。
新人にとって嫌だと感じることが続くと、発言を控えるようになったり、先輩の言いなりの制作物を作るようになってしまい、自分で考えなくなります。
意見を言いやすくする雰囲気作りは精度の高いレビューをする上でとても重要なことなので、相手が怖がるようなダメ出しの仕方は絶対にやらないようにしています。

❷新人の話を先に聞く

上がってきたデザインはツッコミどころ満載で、すぐ口を出してしまいそうになりますが、グッとこらえます。
まずは新人が「なぜこのデザインを作ったのか」自分の言葉で喋ってもらいます。
外野からの意見が入らない状態で、新人が言い切るまで話を聞くと、次のことが分かります。

新人の話から得られる情報
・なんとなく要素を入れたところ
・理解してアウトプットしたところ
・AかBで迷って結論を出したところ
など

この情報から新人の弱み・強みや重点的に指導した方が良いところなどが分かるので、新人に合わせた育成方法を考えるヒントになります。

❸良いところ、改善したいところは具体的に言う

デザイン知識の引き出しがほとんど詰まっていない人に「自分で考えて」はとても辛い言葉です。
新人はまだ業界に入って日が浅いため、引き出しが少ないのは仕方がないこと。突き放すのでは無く、具体的な改善の方法を提示するようにした方が建設的です。
とはいえ、正解をすぐに教えてしまうのは自分で考える力が付かないので良くないとは思います。
正解は言わないけど、正解にたどり着くまでの補助線は引いてあげると、新人はそれをなぞっていく過程でどんどん気付きが生まれていきます。

ではデザインのレビューではどんな風に伝えれば良いのか、具体的な会話を例で考えてみましょう。

否定せず改善を伝えるためには?

否定せず、具体的に話すとはどういうことなのか。
私がよく後輩に話すのは「良くない理由+改善するための行動指針」で伝えることです。
新人のテンションが下がるのはネガティブなことしか伝えられないからだと思っていて、そこから脱却するための一言があるとだいぶ印象が変わるはずです。

⚠️NG
先輩🐔「ダサい、野暮ったい」
新人🐤(自分のセンスが悪いのかな…)

OK
🐔「この色の組み合わせだと、目立たせたいと思っている部分が沈んでしまうね。明暗や彩度に差を付けて見ると良いよ」

この例では、ダサい原因になっている部分に対して、どんな状態だから良くないのかを伝えました。
そしてその対処法は何なのかを提示するのですが、このとき「この文字を〇色にしてこの要素を〇色すれば良いよ」のように意見の押し付けや、新人が考える隙間を埋めてしまうような発言にならないよう注意して欲しいです。
この時点では新人が考える余地を残し、どの要素を弄ったらいけるのか程度に伝えると良いと思います。

⚠️NG
🐔「情報がごちゃごちゃしていて全然伝わってこない」
🐤(デザインのどの要素がどう悪いのかが全く読めない…)

OK
🐔「レイアウトの部分で迷ったんだね。始めに色や装飾を入れてしまうとそれらの情報に引きずられて迷いやすいから、まずはモノクロの状態でレイアウトしてみると優先順位を配慮したデザインがしやすいよ」

新人の話を始めに聞くと、自信がなさそうだったり言葉を迷いながら発言していることがあります。
言語化がうまく言っていないときはその部分に苦手意識を感じているところだと思うので、「こんなところで躓いたんだね」と先輩が代弁してみてください。
人によっては自分がその部分に対して苦手だと気づいていないときもあります。第三者が言葉に出して伝えることで「そういえばこの辺がうまくいかなくて悩んだな」と意識を向けることができます。

デザイナーとして仕事をしているのだから「伝わるだろう」と思って端折ってしまう部分があるかもしれませんが、新人には「クライアントに提案するときの気持ちで伝える」ように接してみてください。
なぜなら、先輩から教わった言葉がクライアントへの説明する語彙力として変換されることになるからです。そして新人は先輩の方法を模倣→自分なりの伝え方を考えるキッカケになると思っています。

フィードバックは回数を分けて体に染みこませる

新人が1度のデザイン添削で100点のものを上げてくることはまれです。
フィードバックを受けると多くの学びを吸収しよう頑張る人は多いのですが、自分のキャパを超えて取りこぼしてしまうときがあります。
そこで最低3回に分けてデザインの改善を伝えていくスタンスを持つと良いと思いました。

1回目:ゴールへの方向性を示す

まずは新人の話を一通り聞いたあと、以下を中心にフィードバックをします。

・依頼されたデザインの方向性が合っているか
・デザインの違和感が大きい部分だけをピックアップ

全てを伝えようとすると伝わらないので、人が覚えられる範囲(大体3項目くらいだと言われている)を意識すると良いです。
「この部分を変えるとガラッと変わる」部分が含まれていると、デザインって意識するとグッと良くなるんだ!という感覚を覚えられてモチベーションが高まりやすいです。

2回目:再確認、軌道修正

1回目で伝えたことが理解できているかの確認をします。
もしできていないとしたら、ヒントが抽象的で分かりにくかったり、改善のイメージが湧かなかったことが考えられるので、新人に分からなかった部分をヒアリングした上で伝え方を変えてみます。
言葉で伝えるのが難しいと感じたら、編集データを一緒に操作しながら教えていくのも良いと思います。

3回目:ワンランク上げるための一押し

ここまでやると2回目でだいぶ改善されてきて70~80%の成果物を持ってくることが多いのですが、そこで「まあ良いか」と巻き取るのではなく、もう少し新人に頑張ってみてもらってください。
先輩の力でここまで上がってきたので無理やりクオリティを引き上げた感がある部分もあり、細かい調整の部分までは行き届いていなかったりします。
「文字詰め・要素の4原則は守られているか」などデザインの基本でよく言われることを立ち返り、一緒に見直してみましょう。

ここの念押しが結構大事で、デザインが完成したら3回目の修正と完成版、1回目と完成版のデザインを見比べて、新人にどう変わったか言葉で説明をするように促して復習してみてください。
始めて話したときよりもスムーズにデザインの言語化ができるようになっていたら一歩前進です。

ここまでの話を聞いて「そんなにフィードバックするの?」と思うかもしれませんが、これを何度か繰り返しているうちに、ある日グーンと成長するときが来ているのを身をもって実感しています。
土台がグラグラしていると建物がしっかり自立しないように、人の知識も土台が不安定だと伸びしろにも影響が出ます。

私が言語化を鍛えるために参考にしている本の紹介

とはいえ、普段もくもくと作業している人にとって「デザインを言語化」して話すってやってみると難しいです。
これから後輩を育てる立場になる人へ、私がデザインの言語化する力をつけるためによく読んでいる本を紹介をするので、参考にしてみてください。
もちろん、新人の方でデザインの言語化に挑戦してみよう!という方にもオススメです。

なるほどデザイン

デザイン超初心者におすすめする本6」でも紹介したデザイン初学者向けの本ではあるのですが、一般人にも伝わりやすい易しい言葉で「デザインとは」を解説しているので、語彙力を鍛えたいときにとても参考になります。
写真や図解が多いので、言葉で伝えるのは難しいな…と思うようなことは、後輩と一緒に読みながら指導に役立ててみても良いかもしれません。

[買わせる]の心理学

デザインの意図を相手へ伝えるとき、人が見たときの「印象」はかなり影響しています。
この本は人がデザインを見たときに感じる普遍的な感情やイメージについて、様々な心理学の実験をピックアップして紹介しています。
心理学に基づいたWebデザイン事例も紹介しているので、どのように見せたら効果的かな…と考えるアイディアのヒントにもなります。

赤ペン添削でわかりやすい!選ばれるデザイナーへの道

作例はグラフィックデザインがほとんどですが、デザインのフィードバックの赤入れが的確で、シンプルな言葉がとても伝わりやすい内容です。
私の指導法と同じく複数回に分けて添削をした過程もあるので、指摘のボリューム感やどこまで作りこみをしてもらうかの指示出しの実例として参考になります。

学びを結果に変えるアウトプット大全(インプット大全)

こちらはデザインの参考書というよりも、何かを学習したい人にオススメな本。
勉強した事をどのようにしてアウトプットしていくと、物覚えが良くなったり、成長に効果的なのかという事を脳科学の視点から解説しています。
「脳科学的に」と聞くと小難しく聞こえるかもしれませんが、この本は見開き1ページ1トピックの解説なので、短時間でもキリ良く読み進められますし、図解付きなのでより理解しやすい内容となっています。
また80種類ものアウトプット方法を紹介しているので、自分に合ったやり方が見つかりやすいのもオススメポイントです。
この本はAmazon Audibleでは無料で視聴できるので、内容をまず知りたい方はこのサービスを無料登録して聞いてみるのも良いと思います。

また技術書1冊のお値段がなかなかしますが、kindle unlimitedを利用すると30日間無料で読み放題なので経済的でお得です。
気になるデザイン書籍やビジネス本はこのサービスを利用して試し読みしてみるのもアリかもです。30日以内に解約すれば料金も発生しないので慎重派な人でも大丈夫です。

後輩の育成についてヒントになりそうなものはありましたか?

この記事を読んだデザイン初学者の皆さんで「フィードバックしてくれる先輩が存在しなくて困っている…」という方は、私がデザインフィードバックのサービスを出しているので検討してみてください。

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またX(@kobayas_s)ではnoteでは書いていない現場の話もあるので、こちらも見てみてくださいね。

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こばやす|現場のWebデザイナー
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