「みんなで守ろう!おいなりさん」プロジェクト ーお祭り出店を経ての記録
私が移住した玉野には、何十年と続くお祭りがいくつもある。そのなかのひとつ「築港夜市」に、とあるプロジェクトで出店することになった。
あぁ、このまちで、この人たちと出会い・関われて、それが地域の歴史になるって、最高だなぁと何度も思ったできごとだった。
大袈裟ではなく、私たちは今この瞬間、地域の歴史をつないでいる一人なんだと思えるようになったのだ。そんな、この夏の記録を残しておきたい。
◇
プロジェクトの発端は、一枚の張り紙だったという。築港八幡宮という地域の神社の横に、瓢箪山稲荷(ひょうたんやまいなり)大明神という名のお稲荷さんがある。いつからか、入口には建物修復のための寄付を募る案内があった。
それを見て現状を聞きに行った方によると、窓口となっている方から「もう少し寄付を募りたい」と話があったそう。
であれば、私たちにできることはないかな?と周囲に声をかけてくださり、集まった人でプロジェクトが始まった。私はこのタイミングで集まったら一人である。
すぐに築港夜市への出店と、利益をすべて寄付することが決まった。総勢10名を超える、まあまあ大きなプロジェクトである。
◇
メンバーは、月に2回開催されるラジオ体操への参加者たち。ラジオ体操は移住支援を行っているうのずくりさんが主催されているため、地元の人はもちろん、私のような移住者もたくさん参加している会だ。
そう、このプロジェクト(通称、「みんなで守ろう!おいなりさん」)のメンバーは、ほとんどが移住者で構成された。地元のお稲荷さんを直すために、移住者が立ち上がる。そんな構図が自然にできあがっていた。
そしてそれを、寄付を集めている地域の人が受け入れてくださった。
玉野には、そういう人が多い。中の人・外の人と分けずに、誰もが地域の一員であるように接してくれる。それに何度救われたことか。今回もまた、実感することとなった。
全体での打ち合わせは3回程度。あとは一部のメンバーで集まったり、SNSのDMでやりとりしながら当日まで準備をした。
色々な案があったけれど、今回は2つに絞って出店することになった。
①狐のお面に色を塗って、オリジナルのお面が作れるワークショップ
②玉野産の甘夏を使った、甘夏ドリンクの販売(アルコール入り・なし)
+αで寄付金BOXを設置して寄付を募ったり、「築港子ども新聞」を作って配布し、まちの歴史を知ってもらったりしようということになった。
すごいなあと思ったのが、メンバーそれぞれが好きなことや得意なことがあって、それらを活かしてプロジェクトが成り立っていたこと。
地域とメンバーをつなぐ人、アーティスト、農家、デザイナー、情報発信……。年齢、性別、出身地、仕事などはバラバラ。こんなに個性豊かな人たちがパッと集まれるコミュニティは、なかなかない。
それぞれが、好きなことや得意なことを通して「やりたいことをやる」。決して無理はしない。それをみんなで成り立たせていたプロジェクトだった。
まとまりがなさそうに見えるかもしれないが、「玉野が好き。玉野のために活動したい」との想う、一人ひとりの力がプロジェクトを前に進めていた。そして「このメンバーと何かしたい」という人とのつながりで、あたたかな温度感があるものになっていた。
正直忙しい人ばかりだったけれど、それでもかたちになったのは、一人ひとりがこの地域を自分ごとに考えているからだと思う。
地域の歴史って、こうやって今までつながってきたのかなと思うだけで、準備の時点で胸がいっぱいだった。
ちなみに私は「築港子ども新聞」を書かせていただいた。作成にあたり「この本に載ってる歴史がわかりやすいよ!」と教えてくれたり、文章を見やすく新聞形式にしてくれたりしたデザイナーさんがいたから、できたもの。
この機会がなければ、知らなかった歴史もあった。私自身が地域を知るきっかけになったのはありがたかった。ライター冥利に尽きる。
◇
それぞれが持てる力を発揮して、迎えた当日。
正直、お客さん来るのか……?とみんなが不安だったなか、想像以上の大盛況だった。
ワークショップのお面は完売!ドリンクは予定数の大幅超え!新聞はすべて配布し、寄付BOXにもたくさんのお気持ちが集まった。
なかには、お小遣いを握りしめて寄付しに来てくれた中学生も。玉野で育つ子どもたちが、地域のことを少しでも知るきっかけになったらと思う。
暑いなか無事にやり遂げたメンバー、来てくださったお客さん、私たちを受け入れてくださった地域の方、取材してくださったメディアの方など、いろいろなつながりを感じたお祭りになった。
集まった寄付の総額は、149,402円!後日、寄付金の窓口である萬屋さんにお渡しし、プロジェクトは終了。大成功といえる結果となった。
◇
2023年4月に移住し、玉野で過ごす2年目の夏になった。1年目のときにも築港夜市は訪れていたが、1年後は出店する側になるなんて、想像すらしていなかった。
ましてや、この1年で知り合ったみなさんと何かをすること、それが地域のための活動であることも、想像していない。
何度かnoteに書いたことはあるが、ここまでフラットにいろいろな人と混じり合えるのは、玉野の魅力だと心から思う。
それもきっと、玉野で歴史をつないできた先人たちがそうしてくれたのだなと思うと、感謝の気持ちでいっぱいだ。人の輪に馴染むのが苦手な私でも、おかげで孤独になることなく楽しく過ごせているのだから。
有形・無形問わず、私もこのまちの歴史をつなぐ一人になれたらと思う。
……いや、地域に思いを馳せている時点で、一人ひとりが歴史をつなぐ役割を持っている。今回の経験で、一番得たのはそれだった。
歴史の1ページになるような、大きなことだけではなく、日々の些細なできごとや感情が未来をつくっていく。それを時には思い出しながら、玉野での1日1日を味わっていこうと思います。
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