【SDGs】未来のために海を好きになる
ウミガメの鼻孔に
長さ10cmのストロー
鼻にストローが詰まってしまったウミガメと、それを引き抜こうとする生物学者の動画を、あなたはみたことがあるでしょうか。引き抜かれたストローは長さ約10cm。画面のなかのウミガメは大量の血を流し、もだえ苦しんでいました。
こうしたプラスチックごみ(以下、プラごみ)は、ウミガメのみならず、多くの海の生物に悪影響を及ぼしています。エサと間違えた海鳥が、ヒナにプラごみを運んで食べさせてしまう。カタクチイワシは匂いにつられ、海藻に付着したプラごみを食べてしまう。こうした事案をひとつひとつ記述すると、どれくらいの文量になるのでしょう。
毎年800万トンのプラごみ
細かくなり人体に悪影響も
海に流れるプラスチックの量は、毎年少なくとも800万トンともいわれ、2050年には海にいる魚よりもプラごみの方が多くなるとされています。プラごみによる生き物たちへの悪影響はさらにひどくなるどころか、私たちの健康問題にも発展します。
海洋に流出したプラごみは波や雨風、太陽光にさらされ、分解されずに細かくなり、有害物質を付着する「マイクロプラスチック」となります。これを海の生き物が食べると、分解されず体内に蓄積され、その生き物を私たちが調理して食べてしまうと……。海を汚染することが、巡り巡って私たち自身の体を汚染することになるのです。
レジ袋辞退率8割超達成
海をきれいに保つために
プラごみが増えているなら、減らすことが一番手早い解決策。日本でも容器包装リサイクル法の省令改正で、2020年7月からすべての小売店でレジ袋の有料化となりました。その効果からか、全国のスーパーにおけるレジ袋辞退率は80.26%に達し、制度が始まる前の19年度の辞退率57.21%と比較すると、大幅な変化です。
それでもまだ、海やその近くではプラごみを目にします。これを読んでいるあなたは、最近海に行きましたか。海に行けば、嫌でもそのプラごみの多さを目の当たりにします。
同時に、海にはたくさんの生き物たちがいると実感できます。カニやヤドカリ、カモメなどの海鳥、ボラなどの魚類。彼らは優雅で、ひそやかで、賑やかで、みているだけで楽しくなります。そうした海の楽しさを大切にしたい。こうした記事を書くことで、たったひとりでも海に親しみや関心をもってもらえれば、と思い、私は記事を書いています。
参考文献
・「レジ袋有料化3年、辞退8割でもプラごみ削減は道半ば…米国に次ぐ世界2番目の排出量」読売新聞2023年7月1日
・「海を脅かすプラスチック」『ナショナルジオグラフィック日本版2018年6月号』日経ナショナルジオグラフィック社 2018年
・富士本昌恵(解説)、大迫政浩(協力)、カワグチナミ(絵と文)『ゴミうさぎと考える ごみとリサイクルのこと』二見書房 2022年