えびせんべいの未来は若年層へのPR次第?あの名古屋銘菓の戦略を紐解く!
こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。
私はまめきちまめこ先生のブログを読むのが日課なのですが、先日、名古屋土産「ゆかり」の工場見学に行かれていました。(そしてとても食べたくなりました)
早速Knowns Bizでご当地銘菓のポジショニング分析を見てみると、まずまずの位置に「ゆかり」が。
これまでKnowns Bizでご当地銘菓を分析したことがなかったので、今回は海老せんべいの「ゆかり」について分析してみたいと思います!
こんなブランドもある?分析してみてほしいなど
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今後の参考にしたいので是非気軽にコメントくださいね♪
坂角総本舖「ゆかり」
今年で135周年を迎えた坂角総本舖の「ゆかり」の原形は、江戸時代に徳川家に献上されていた「えびはんぺい」だそうです。
明治22年にとれたての海老のすり身をあぶり焼きにした「えびはんぺい」を坂角総本舖の始祖・坂 角次郎は工夫を重ね、炭火で焼き上げる「生せんべい」を完成させました。当時は生せんべいの生地を火鉢で焼き、しょうゆをつけて食べるスタイルだったそうです。
そして昭和時代~現在、味や姿はさらに進化し、1966年に「ゆかり」と命名され、伝統の製法を守り継いだ由緒ある味わいが今も昔も海老好きの心を満たしています。
海老せんべい「ゆかり」の特長
「ゆかり」の原材料となる海老は、せんべいにしたときにコクが出る小型海老を厳選し、この天然海老を約7割もたっぷりと贅沢に使用しています。海老は港に揚げられたあと素早く手作業でていねいに加工され、 「ゆかり」一枚に約7尾の新鮮な天然海老の身だけを使うそうです。 そこに独自の配合を加え、鉄板で一度焼き後、再び網焼きによる二度焼きで仕上げ、すぐに袋詰めされます。こうした工程を経て、「ゆかり」ならではの深いコクと香ばしさが生まれます。
購入者層分析
「ゆかり」購入者のデモグラ構成比をみると40代前半~50代前半が多く、特に40代が多く出ています。
男女比では女性が多いです。
「ゆかり」の7 Journeyを見てみると、認知率はそれほど高くありませんが、離反や離反予備軍が少ないことから、リピーターやファンが多そうです。
ファネル分析では認知からの購入意向も89.8%と高く、また現在購買⇒リピート意向は97.3%とリピーターが多いようです。
そのなかでやや好意的ではありますが最近購入していない巻き戻し層がやや高めです。
どんな人が購入している?
サイコグラフィックを見てみると、個人価値観は"アウトドア派”"ジェンダーバイアス”"八方美人”な方が多いです。
社会価値観は"ワーカホリック”"出世優先”“自分より家族優先”と、仕事や家庭に熱心なビジネスパーソンに多く利用されているようです。
消費価値観は“失敗回避型消費”"ノスタルジー視費”“ステータス消費”が高いです。「ゆかり」の購入者にリピーターが多いのは購入経験から安心できる商品や懐かしさから気に入ったものを購入する傾向があるからのようです。
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せんべいと「ゆかり」
どんな人がせんべいを好む?
LINEリサーチが日本全国の男女を対象に行った、好きな和菓子について調査によると全体1位となったのは「団子」で36.8%でした。2位にきているのは「あられ・せんべい・おかき」で32.2%となっています。
男女年代別にみると全体2位の「あられ・せんべい・おかき」は女性の30代以降、男性の40代以降で位以内にランクインしました。50~60代では男女ともに1位で、男性よりも女性の割合が高いことがわかります。
「ゆかり」現在購入者のデモグラと比較すると、「ゆかり」購入者は年齢層は若めですが「あられ・せんべい・おかき」は女性に特に人気のようです。
「ゆかり」のイメージは?
「ゆかり」の現在購入者のブランドイメージをみると、「伝統・頑固さ」に次ぎ、「ハマる・依存する」「深み渋み・落ち着いた」が上位にきており、どれもご当地銘菓全体の平均(赤丸)よりも高く出ていました。
「伝統・頑固さ」「渋み深み・落ち着いた」については135周年を迎えた商品であり、伝統の製法を守り継いだ由緒ある味わいであることにも合っており、「ハマる・依存する」については購入者の消費価値観にも合っている結果だと思います。
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若い人向けの商品展開やPR
由緒あるご当地銘菓と認識されている「ゆかり」ですが、購入者デモグラでも少ない若年層の方にも手にとってもらいたい、洋菓子にも負けない商品にしたいという思いから、「ゆかり」の美味しさはそのままに、食べやすい一口サイズやカロリー、パッケージにも可愛らしさを取り入れた商品も展開しています。その他にもスキンケア商品や「ゆかり」を含む坂角総本舗の商品のアソートパックなどもあり、可愛らしい商品がたくさん展開されています。
また江崎グリコの濃厚おつまみスナック「チーザ」と共同開発した「ゆかり<濃厚おつまみスナック>」もJR東海とJR東日本の一部駅コンコース売店、新幹線内などで販売しています。(私も買いました笑)
「チーザ」の購入者のデモグラ構成比をみると30代前半~40代後半が多く、「ゆかり」よりも若年層の購入者が多いので、「ゆかり」の欲しい層へのいいアピールになりそうです。
今回私が読んだまめきちまめこ先生の工場見学レポートもそうですが、135周年を記念した人気SNS漫画家とのコラボを実施も、若い人向けへのPRなのだと思います。5月31日までは「おもいで募集キャンペーン」も行っているので、ゆかりにまつわるエピソードを応募してみてはいかがでしょうか?
坂角総本舗の1ヶ月ごとの時系列分析を見てみると、今月は認知・購入意向・現在購入・リピート意向が上がっています。未認知層や巻き戻し層にも、今回の135周年記念PRの効果が出ているのではないでしょうか。
全国展開もしている「ゆかり」
また全国展開も行なっている「ゆかり」ですが、現在購入者の居住エリアを見てみると、関東が圧倒的に多く、次に中部・近畿・九州と利用者が多いようです。
店舗数と照らし合わせてみると東京を含む関東が最も多く、次いで中部、近畿となっていますが、九州は店舗数に対して利用者が比較的多いことがわかります。
名古屋土産のイメージが強い「ゆかり」ですが、デパートや空港でも購入できるので、今回のようなPRで認知度がさらに増えると、ちょっとしたおもたせにも利用する人が増えていくかもしれません。
しかしながら潜在顧客の年齢層を見てみたところ、40代前半〜50歳代後半が多く、未認知も40代が多く出ています。
またファネルTable(デモグラ)では30歳以降の(b)意向→購買が低くなっています。
若者にもPRしてて、全国展開もしてて良い!とは言え、40代の転換率が雲行きあやしく潜在顧客に中部も多いので現在購買層と地元に愛され続けていくことがゆかりの未来につながるのかもしれません。
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まとめ
「えびせんべい ゆかり」購入者の特徴
・40代、女性が多い
・アウトドア派・ジェンダーバイアス・八方美人
・仕事や家庭に熱心なビジネスパーソンに利用される
・失敗回避型消費・ノスタルジー視費・ステータス消費
コロナの影響を受け、年間1億枚を突破していたゆかりの生産数は3割も減少し、お客さんの年齢層が年を追うごとに上昇していることも大きな危機感につながってたそうです。「若い方により親しんで欲しい思いと、コロナが落ち着いた後に海外の方にもより名古屋を知っていただきたい」との思いから、NAGOYAがわかりやすい黄金缶の発売やエビの殻から抽出した成分で作ったハンドクリームの製造・販売も行なっています。
「ゆかり」の潜在顧客のサイコグラフィックを見てみると、“お得新品消費”"ノスタルジー視費”“トレンド・限定重視消費”が高いので、新たな取り組みはそんな潜在顧客へのアピールにもなりそうです。
135周年を迎え、人気漫画家とのコラボPRやさまざまな商品展開を行なっている坂角総本舗の「ゆかり」。今後も周年を記念した企画が行われるそうなので、お土産やおもたせに悩まれている方や日頃のご褒美に「ゆかり」の購入を検討してみてはいかがでしょうか?
https://www.bankaku.co.jp/shop/pages/135th.aspx
筆者のひとこと
毎回一時帰国ではベトナム人スタッフへのお土産に悩む私ですが、今回の分析で「ゆかり」が成田空港でも購入できることを知ったので、次回は是非「ゆかり」を購入して帰りたいと思いました!
ちなみに近所の国、シンガポールにも坂角総本舗は2011年に進出しています。海外への販売やオンライン販売にも力を入れている「ゆかり」は今後“名古屋土産”ではなく、“日本土産”として海外の人に認知される日も近いかもしれません。
≪本記事は新しいバージョンのダッシュボードを利用しております≫
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