アイスを買う基準は懐かしさ?サクレ×ガリガリ君×アイスボックス
こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。
いよいよ夏も本番、みなさん夏バテにはなっていないでしょうか?
夏バテといえば食欲が一気になくなりますよね。私も乾季の体感温度40度以上のダナンではなかなか食欲が湧かず、思わずアイスばかり食べてしまうことも。
こちらのアイスは私的に当たりハズレがあり、ちょっとギャンブルなのですが、よくパッケージを読まずにジャケ買いしてドリアン味のものなどを購入してしまったりすると、日本のアイスがとても恋しくなります…。
今回は日本のスーパーやコンビニで買えるアイスについて分析していこう思います。
アイスクリームの歴史
日本でのアイスクリームの歴史は江戸末期に遡ります。幕府の使節団がアメリカを訪れ、初めてアイスクリームを食べてそのおいしさに感動しました。その後、明治2年に横浜で最初のアイスクリーム「あいすくりん」が作られ、明治8年には東京でもアイスクリームが販売されるようになりました。
明治35年には東京の銀座にある資生堂薬局(現:資生堂)がソーダファウンテン(現:資生堂パーラー)を開設し、アイスクリームやアイスクリームソーダの販売を始め、大正9年には冨士乳業がアイスクリームの工業生産を開始しました。
昭和に入ると、アイスクリーム売りが自転車にアイスボックスを積んで街を回るようになりました。しかし、太平洋戦争の影響でアイスクリーム製造は中止され、戦後になってからアイスキャンデーが復活しました。
アイスキャンデーは冷凍機に水と甘味料を入れて凍らせたもので、昭和25年頃まで人気がありました。
アイスクリームは先進的な製造設備と技術の進歩により、昭和28年に国産の充填機が導入され、昭和30年にはデンマークから輸入されたアイスクリームバーマシンが導入されました。そしてアイスクリームの大量生産と大衆化を実現しました。
アイスの種類
私たちが普段スーパーやコンビニなどでアイスを購入する時に目にする「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」「氷菓」。これらは牛乳の乳成分量によって、4つの種類に分けられているそうです。
夏真っ只中!ということで、今回はアイスの中でもさっぱり食べられる人気の氷菓について分析してみます。
人気の氷菓は?
Knowns Bizを用いてアイスクリーム(氷菓を含む)のジャンル検索をしたところ、認知度では「赤城乳業 ガリガリ君」が1位(95.1%)、好感度では「フタバ食品 サクレ」が1位(3.95)でした。
またレシピ動画と最新グルメニュースを毎日配信しているライフスタイルメディア「macaroni」の2022年の氷菓•かき氷系アイスの人気調査によると、上記3つの氷菓がランクインしていました。
Knowns Bizによると「アイスボックス」は認知度が「サクレ」よりも高く、好感度・満足度は「サクレ」「ガリガリ君」に次ぐ順位となっています。
それでは「サクレ」「ガリガリ君」「アイスボックス」についてKnowns Bizを用いて、比較分析していきたいと思います。
フタバ食品 サクレ
「サクレ」は1985年に発売し、フタバ食品のベストセラー商品となっています。冷凍庫から出した直後でも固まらずサクサクの氷とさわやかなレモン味、少しほろ苦いスライスレモンが特徴の商品です。
サクレ購入者のデモグラ構成比をみると20代後半~40代前半が多く、アンケート回答者全体(グレーのグラフ)と比較しても同様の年代の割合が多くなっています。性別では女性の方が多いです。
7Journeyを見てみると未認知が53.9%と高めですが、非選好率は低めです。離反は3つの商品の中で一番低く、他の商品よりも一定のファンがついていることがわかります。
ブランドイメージを見てみると、「青春・甘酸っぱい」「爽快元気・エネルギッシュ」そして「リラックス・リフレッシュ」のパーセンテージが高いことがわかります。
どのような人に選ばれる?
では、どのような人が「サクレ」を購入しているのかサイコグラフィックを見てみましょう。
サクレ購入者の個人価値観を見てみると、自分の頑張りにプチご褒美を欠かさない“報われ待ち”の方が多く、社会価値観も“自分より家族優先”や“現状満足”が多いので受動型・消極的な人が多いようです。
また、商品を選ぶ際には懐かしいものや流行、限定品を購入する傾向がありそうです。
購入者の声を見ると商品特徴である氷の食感や輪切りのレモン、スッキリとしたレモン味に関する声が多かったです。サイコグラフィックにも出ていた通り、子供の頃から食べているという懐かしさから購入する人や限定味に惹かれている人も多いようです。
サクレにはお馴染みの「レモン」をはじめ、「パイン」「あずき」「マンゴー」のフレーバーがあります。また毎年夏には各コンビニとコラボし、限定フレーバーを出しています。
サイコグラフィックでも“報われ待ち”の個人価値観が高かったですが、コンビニで自分へのプチご褒美を買う人が多いのかもしれません。
2023年のコラボ商品を見てみるとセブン-イレブンは「コーラ&バニラ」、ローソンは「スイカ」、ファミリーマートは「梨」となっています。それぞれのコンビニに行くのが楽しくなりそうな企画ですね。
赤城乳業 ガリガリ君
1964年に開発した「赤城しぐれ」が爆発的なヒットを記録したのをきっかけに1980年に「子供が遊びながら片手で食べられるかき氷(赤城しぐれ)が、出来ないか?」という思いで商品開発をスタート。
ガリガリとした食感が特徴のソーダ味のカキ氷をソーダアイスでコーティングすることで溶けにくく、棒が抜けない、今のかたちになったそうです。
ガリガリ君購入者のデモグラ構成比をみると20代~40代前半が多く、アンケート回答者全体(グレーのグラフ)と比較すると30代〜50代前半の割合が多いです。
他のブランドと比較すると性別は男性の方がやや多いです。
7Journeyを見てみると認知率、ブランド選好率が圧倒的に高いです。ロイヤル層も多く、リピーターが多いようです。
ブランドイメージでは、「コスパ・経済性」が3商品や他のアイスクリームイメージの中でも高く、それに続いて「爽快元気・エネルギッシュ」「青春・甘酸っぱい」のパーセンテージが高いです。
どのような人に選ばれる?
ガリガリ君購入者のサイコグラフィックを見てみると、個人価値観は“倹約家”“時間にシビア”な方が多いようです。社会価値観では家族や人との繋がりを大切にする方が多く出ています。
消費行動はお得や今だけの限定消費だけでなく、社会的問題にも目を向けている“エシカル消費”や“ノスタルジー消費”の方が多かったです。
その背景としては赤城乳業が無料で工場見学を開催していたり、各地の気温・湿度のデータから毎日「ガリ指数」なる熱中症警戒アラートのガリガリ君版を出すなど、社会との関わりを大事にする歴史の長い商品ならでは結果かと思います。
ガリガリ君といえば、“当たりつきスティック”と“迷作を含むさまざまなフレーバー”のイメージが強い方も多いのではないでしょうか?
ブランドイメージでは「ユーモアがある」「期待感・ワクワク」が上位に入っており、購入者の声でも“当たりつき”に関する声が多く見受けられましたが、公式サイトによると実はコロナ禍で食べた後のスティックを持ってお店で交換、という衛生的な観念から、“当たりつき”をほぼやめる予定だったそうです。
しかしコロナ禍でさまざまなことをやめる・できなくなる中で、ささやかなワクワクを続けよう、と当たりつきをやめるのをやめた、そうです。公式サイトでは今後も当たりつきを続けるために、当たりスティックの交換方法について下記を提示しています。
参考:https://www.akagi.com/gari-atari-stick/
また、現在はキャンペーンは終了してしまいましたが、ガリガリ君オリジナルグッズやコラボ商品が当たる当たりステックを出していることもあるそうです。大人から子供まで楽しめる当たり商品が多く、まさにささやかなワクワクを提供しているなと感じました!
森永製菓 アイスボックス
1989年に発売した爽やかなグレープフルーツ味のクラッシュ氷のアイスです。中高生を中心に人気が急上昇し、当初は製造設備の小ささから夏になると欠品になることもあったそう。
ナトリウム・ビタミンC・クエン酸が配合されており、速攻クールダウン・水分補給もでき、熱中症対策にも使えます。
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アイスボックス購入者のデモグラ構成比をみると20代~40代が多く、アンケート回答者全体(グレーのグラフ)と比較すると30代〜40代の割合が多いです。性別ではサクレと同じく女性の方がやや多いです。
7Journeyでは認知率は「ガリガリ君」と比べ低いですが、ブランド選好率は「サクレ」より高いです。認知・満足度共に他の2商品に近づくにはやや好意的ではありますが最近購入していない巻き戻し層をターゲットに戦略を立てるのもよさそうです。
ブランドイメージはサクレと似通っており、「爽快元気・エネルギッシュ」「青春・甘酸っぱい」のパーセンテージが高いです。
どのような人に選ばれる?
アイスボックス購入者の特徴は“アウトドア派””自己愛強め”な一方で、家族や身近な人を大切にする面もあるようです。社交性の高い人が多いようですね。
消費行動は地位の誇示やその地位への憧れがモチベーションとなっている“ステータス消費”と、他2商品と同様“ノスタルジー消費”が上位にきています。
消費者の声を見ると、サイコグラフィックでも多く出ていた“アウトドア派”の人に好まれるようで、お祭りやキャンプなどの野外活動で食べる人が多いようです。
ナトリウム・ビタミンC・クエン酸が配合で熱中症対策にも使える!という特長も納得です。ちなみにアイスボックスは「ハイポトニック品質」商品で、糖質やナトリウムなどの濃度が低めで、汗をかいて、体内の水分量が減ってしまった状態でも速く吸収されるそうです。
またアイスボックスにジュースやお酒を入れる、という声が多かったのですが、2022年にコンビニ限定で発売し、SNSで話題になったのが「割る専用アイスボックス大粒」。
チューハイやビール、ワイン、日本酒などのお酒やエナジードリンクとの組み合わせも相性抜群とのことで、2023年も注目を集めています。今年はコンビニに限らずスーパーでも販売しているとのことで、宅飲みからアウトドアでも使えそうな商品ですね!
まとめ
フタバ食品サクレ購入者の特徴
・20代後半~40代前半、女性の購入者が多い
・受動型・消極的な人が多い
・限定品・流行品を買う傾向
赤城乳業ガリガリ君購入者の特徴
・30代〜50代前半、男性の購入者がやや多い
・倹約家・時間にシビアな人が多い
・エシカル消費
森永製菓アイスボックス購入者の特徴
・30代〜40代、女性の購入者がやや多い
・アウトドア派・社交性の高い人が多い
・ステータス消費
懐かしさでアイスを選ぶ?
全体を通し上記アイス選びに関して共通していたのは"ノスタルジー消費"で、原体験からくる懐かしいものを好む消費行動を持つ人が多いことを表しています。
それぞれのブランドイメージにも"青春・甘酸っぱい"が入っており、子供の頃に食べた記憶からのイメージが強い方が多いようです。
またアイスボックスでも触れましたが氷菓はお酒との相性も抜群で、サクレは公式が「塩レモンサワー」のレシピを公開、ガリガリ君もガリガリ君を丸ごとサワーに入れた「ガリガリ君サワー」を出す居酒屋も多いようです。
そのガリガリ君が当たった場合はもう一杯無料だったりするのでしょうか…?
それぞれのアイスの相関ランキングを見てみると「ラムネ」や「チューインガム」が上位となっています。サクレに関しては「その他の飲料」が1位となっており、2023年のコンビニコラボに“コーラ”が入っているのは市場の均衡が取れているのだと思います。
実際にガリガリ君と「ラムネ」「チューインガム」それぞれ認知率1位商品のイメージを比較してみると、“青春・甘酸っぱい”がどちらも上位にきており、今回のアイス比較で共通していた“ノスタルジー・懐かしさ”も「ラムネ」はアイス以上に高いことがわかりました。
「チューインガム」においては“爽快元気・エネルギッシュ”と“リラックス・リフレッシュ”が類似しています。
今後ラムネやチューインガムの商品とのコラボなどがあっても人気が出るかもしれませんね。
筆者のひとこと
ついこの間も小学校来の友人から「ガリガリ君が当たった」と聞き、久しぶりに食べたいなぁと思っていたところです。私はお酒が好きなので、それぞれのアイスで割ったドリンクもとても気になります…!
ちなみに今回の分析の中で知ったのですが、“氷菓”はダイエット中にもおすすめだそうです。特に午後15時~18時が1日で最も体温が高く、太りにくい時間帯だそう。また冷たいアイスを食べた後は、温かいお茶などを飲むと内臓にいいようです。
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