ターゲットの違いで差別化?ミスドとクリスピークリームドーナツ
こんにちは、knownsインターンのReikaです。
いきなりですがみなさん、ドーナツは好きですか?特に疲れた時は無性に甘いものが食べたくなりますよね。
私は甘いものが大好きで、現在ミスタードーナツでアルバイトをしています。そんなミスド店員である私が最近ライバル視をしているクリスピー・クリーム・ドーナツというお店はご存じでしょうか?
ミスタードーナツとクリスピークリームドーナツの満足率と購買意向率を見てみると
ミスタードーナツ
満足率→86%
購買意向率→92%クリスピークリームドーナツ
満足率→73%
購買意向率→76%
となり、満足率の差は13%で購買意向率の差は16%もあることからミスタードーナツはクリスピークリームドーナツよりも幅広い層から支持されていることが分かります。
しかし、10~24歳に絞って先程と同じマップを見てみると
ミスタードーナツ
満足率→93%
購買意向率→96%クリスピークリームドーナツ
満足率→90%
購買意向率→89%
となり、満足率の差は3%で購買意向率の差は7%とほぼ差がないことが分かります。
王者ミスタードーナツは長年王者の席を誰にも譲らない、なんらかの秘訣を隠しているのでしょうか?また、クリスピークリームドーナツはターゲットを若者に限定することで打倒ミスドを目指しているのでしょうか?
ということで今回はミスタードーナツとクリスピークリームドーナツを様々なKnowns Bizのデータを利用して比較分析をしていきます!!
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
"ドーナツ離れ”に対する両ブランドの戦略は?
まず始めに、ドーナツ業界の歴史を辿りながら両ブランドの歴史について説明していきます。
ドーナツが生まれたのはなんと17世紀ごろのオランダなどのヨーロッパであり、その時代に食べられていたクルミを真ん中にのせた揚げ菓子がドーナツの原型とされているようです。
その後ドーナツはアメリカに伝わり、1970年ごろに日本にも伝えられていきます。
ミスタードーナツは、1971年に大阪で第1号店をオープンさせたあとにどんどん売り上げと店舗数を伸ばしていきました。現在では、国内で1201店舗も構えています。
上のドーナツは1971年に販売されていたドーナツの種類です。現在のミスタードーナツと比べるとほとんど見たことないドーナツばかりで驚きますよね!
1971年に販売されていたドーナツを見ると、現在のドーナツの種類に至るまで時代や流行りによっていかに試行錯誤されてきたかが分かります。
対してクリスピークリームドーナツは、2006年に東京で第一号店をオープンし、一時は長蛇の列が店の外まで出来るほど人気店となりました。現在は国内に66店舗、全世界で1600店舗展開しています。
しかし、2015年程までは両ブランド共にドーナツ店として日本で店舗数を拡大していきましたが、ミスタードーナツは2014年~2017年には営業赤字となり、クリスピークリームドーナツも2016年には17店舗も閉店してしまいました。
これは、上のグラフからも分かる通り、幸福感を判断する際に重視することで「健康状況」が54.6%もあることから世間で健康に対する意識が高まっていることが分かります。
このように世の中が健康志向になっていったため、他の食べ物よりも高カロリーなドーナツに対するドーナツ離れが起こってしまったと考えられます。
限定コラボ商品で集客するミスタードーナツ
世間がドーナツ離れしている中でミスタードーナツがとった戦略は有名なブランドやシェフとの共同開発でした。
宇治茶専門店「祇園辻利」とのコラボドーナツや鎧塚俊彦シェフなどと様々なコラボ商品を販売することで話題性を生み、集客に成功したと考えられます。
キャビネット販売で「子育て層」を獲得するクリスピークリームドーナツ
一方で、クリスピークリームドーナツはスーパーや百貨店でドーナツのキャビネット販売を始めました。
キャビネット販売は、主に関東や関西地域で行われていて現在全国で107か所、東京では61か所も設置されています。
(クリスピークリームドーナツへの問い合わせより確認 9月3日時点)
上のグラフを見てみると、年齢層によって購入したいと考える「ブランド選好率」に変化があることが分かります。
全年齢層の「ブランド選好率」は43.4%で、育ち盛りのお子さんがいる「子育て層」が多いと思われる20代後半から30代後半の「ブランド選好率」は49.8%と25~39歳の方が6.4%高いことが分かります。
したがって、スーパーや百貨店でドーナツのキャビネット販売をすることで25~39歳からの認知率や購入意向率が増加していると考えられます。
このようにして、両ブランド共に健康志向の風潮に負けじと戦略を打ち出すことで、時代に流されないドーナツチェーン店となっていきました。
両ブランドのイメージは?
次に、ブランドイメージについて見てみるとミスタードーナツは「ベーシック・定番的」が36.5%、「家庭的・安堵感」が32.9%、「絆・親近感」が26.5%とミスタードーナツがいかにドーナツチェーン店として立場を確立しているかが分かります。
また、ミスタードーナツは全国に1201店舗もあることから見知らぬ街で赤字で書かれた”mister donut”という看板を見かけると安心したり親近感が沸く様子もうかがえます。
一方で、クリスピークリームドーナツの方は「映え系・いいね」が26.9%、「可愛い・萌え」が22.7%、「個性的・他にない」が16.5%とミスタードーナツと比較すると見た目に力を入れていることが分かります。
実際にクリスピークリームドーナツの公式Instagramを覗くと、とにかく可愛いドーナツでいっぱい…♡美味しそうなトッピングがかかったドーナツから動物などのキャラクターをモチーフにしたドーナツまで沢山並んでました。
夜に見るとお腹がすいてどうしようもなくなるので気をつけてください^^
しかしながら世の中、美味しい食べ物=高カロリーではありますよね。クリスピークリームドーナツで販売されているドーナツ1個あたりの平均カロリー数は287kcalでした。
一方現在ミスタードーナツで販売されているドーナツ1個あたりの平均カロリー数は234kcalなので53kcalほど差があることが分かります。
ちなみに、287kcalがどのくらいかというとハイチュウが約15粒分に相当します。いくら甘党であっても毎日食べるとなると重いしなにより体によくないですよね。
ですが、特別な日やご褒美として買う分には幸せを十分に感じられるドーナツだと思われます。
このように、クリスピークリームドーナツは高カロリーなドーナツであるイメージが強いことから、「爽快元気・エネルギッシュ」が7位にランクインしていると考えられます。
両ブランドの利用者はどんな人?
両ブランドそれぞれの利用者の特徴について比較すると多くの違いがあることが分かりました。
まずは利用者の性別についてです。ミスタードーナツを利用する女性は56.1%でクリスピークリームドーナツを利用する女性は61.1%と、クリスピークリームドーナツの方が5%ほどですが女性客が多いことが分かります。
クリスピークリームドーナツの方がハイカロリーですが、その心配を吹き飛ばすような可愛い見た目で、インスタ映えするようなドーナツであることが女性の利用客が多い理由であると思われます。
両ブランド共に女性利用者に絞って個人的価値を見てみると、クリスピークリームドーナツにのみ、つかの間の満足を求めて衝動的に行動してしまう「浪費家」という項目がランクインしています。
おそらくクリスピークリームドーナツの女性利用者はハイカロリーであることを少なからず懸念してはいるものの、可愛い見た目でおいしそうなドーナツを目にすると衝動的に購入してしまう人が多いのだと思われます。
したがって、クリスピークリームドーナツは男性客より女性客の割合がやや多いと考えられます。
また、婚姻の有無にも違いが見られます。ミスタードーナツ利用者のうち既婚者は48.6%で、クリスピークリームドーナツ利用者のうちの既婚者は55.6%と差が7%もあることが分かります。
既婚者の割合がクリスピークリームドーナツの方が多い理由は、先程も述べた通りスーパーや百貨店を中心にキャビネット販売を行なっているからだと考えられます。
クリスピークリームドーナツがキャビネット販売を行っているお店として、伊勢丹・紀伊国屋・マルエツ・明治屋などが挙げられることから富裕層向けのお店に設置されていることが分かります。
家族にご飯を作るためにスーパーに通う子育て層にとって、スーパーのキャビネットに並んだ甘い匂いのするドーナツがずらりと並んであると目に留まりやすく、気になって買いたくなると思われます。
また利用者の居住地の割合にも違いがあります。両ブランド共に関東が最も多いですが、ミスタードーナツは32.4%でクリスピークリームドーナツは43.9%と差は11.5%とクリスピークリームドーナツの方が関東の利用者が占める割合が大きいことが分かります。
これは、両ブランドの店舗の分布が関係していると考えられます。全国の店舗数における関東の割合はミスタードーナツが約3割を占めているのに比べて、クリスピークリームドーナツは約6割も占めていることが分かります。
したがって、クリスピークリームドーナツ利用者のうち関東居住地の人の割合が多いことが考えられます。
さらに、それぞれのブランド利用者の個人年収にも違いがあります。
個人年収が200万円以下の人の割合は、ミスタードーナツが49.4%でクリスピークリームドーナツが41.5%と、個人年収が200万円以下の人がミスタードーナツ利用者の方が7.9%も多く、ミスタードーナツ利用者よりもクリスピークリームドーナツ利用者の方が少し裕福であることが分かります。
これも先程述べた通り、クリスピークリームドーナツは関東に半数以上の店舗をおいていることが関係していると考えられます。クリスピークリームドーナツの東京における店舗数は20店舗であり、全体の約3割を占めています。
さらに東京には大企業の本社が密集していることから年収が高い人が多い傾向があるため、関東の利用者が多いクリスピークリームドーナツも年収が高いとも考えられます。
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両ブランドがとる他店との差別化戦略とは?
ただのドーナツチェーン店じゃないミスド
両ブランドそれぞれにイメージが似ているブランドを見てみると、ミスタードーナツの方はびっくりドンキーやマクドナルドなど甘いものというよりがっつり食べる主食系フード店が上位にランクインしているのに対し、クリスピークリームドーナツの方は海外発祥のデザート・スイーツ系の店が上位にランクインしています。
主食系フード店が類似ブランドとして挙げられる理由として、ミスタードーナツではドーナツだけでなくピザや飲茶と呼ばれる麺類やチャーハンなども提供している(※一部ショップでは販売していません)からだと思われます。
また、ミスタードーナツとのイメージ類似ブランド1位であるびっくりドンキーとの利用者の個人的・社会的・消費的価値を比較しても全ての上位3項目が一致することからハンバーガーチェーンとして有名なびっくりドンキー利用者と価値観が合致していることが分かります。
ドーナツチェーンとハンバーガーチェーン利用者の価値観が似ているということは、それほどミスタードーナツのドーナツ以外のフードが飲食業界で認められているということになります。
実際に、働いていても昼頃にはドーナツの注文よりご飯系の注文が多く入る日もあり、利用客の中にはおやつを食べる目的だけでなくご飯を食べる目的で来店する人もいると考えられます。
また、ミスタードーナツではキッズセットといってメインメニュー+キッズドリンク+グッズ+オリジナル紙袋がついてくるお得なセットもあります。
このように、ミスタードーナツはご飯ものを提供することでドーナツ店という概念を覆し、お得なキッズセットも販売していることから、子供から大人まで楽しめて様々な目的で利用できるようなお店であることが分かります。
女子会に必須なクリスピークリームドーナツ
両ブランドそれぞれの利用者の消費的価値を10~24歳に絞って見てみると、ミスタードーナツ利用者の消費的価値上位10項目にはない「ジャケ買い消費」がクリスピークリームドーナツ利用者の消費的価値上位10項目にランクインしていました。
先程も述べたように、とにかくクリスピークリームドーナツのドーナツは見た目が可愛くてパーティーやイベントをする際には画角に入れるだけで可愛くお洒落になり、インスタ映え間違いなしの写真になります。
実際に、私の友達のインスタでもクリスマスやハロウィン、そしていわゆる"おしゃピク"をするインスタの投稿では高頻度で見かけることがあります。
写真映えする上に美味しいなんて良いとこ取りすぎるドーナツですよね!
また、クリスピークリームドーナツではドーナツを単体で購入するよりも多く買うほどお得になるBOX割というものも行っています。
このようにして、クリスピークリームドーナツはBOX割を行うことで他のドーナツチェーン店との差別化を図っていると考えられます。
まとめ
ミスタードーナツ
有名ブランドとの限定コラボ商品でドーナツ離れを克服
世間ではドーナツチェーン店=ミスタードーナツとなりそうなほど定着している
店舗数は1201店で日本各地に展開している
クリスピークリームドーナツよりも買いやすい値段
ドーナツチェーン店でもあるがご飯ものの提供もあり利用しやすい
クリスピークリームドーナツ
スーパーや百貨店でのキャビネット販売で子育て層を獲得
映え系ドーナツのお店として知られている(そのため女性客もやや多い)
店舗数は66店で関東中心に展開している
ミスタードーナツよりも値段が高く、お金に余裕がある人も購入する
多く買うほどお得になるBOX割がある
いかがでしょうか?今回はKnowns Bizのデータを利用することで、ミスタードーナツとクリスピークリームドーナツの様々な戦略と違いを分析することが出来ました。
時代や流行りによって試行錯誤し、他店にはないような工夫をしながらドーナツチェーン店として進化を遂げていくミスタードーナツとクリスピークリームドーナツの今後に期待ですね!!
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