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バッシュからファッションアイテムへ。あのブランドの今までとこれから
こんにちは。元ファッションスタイリスト、現2女児の母ライター、Sakaiです。
私はもうほぼファッション業界にいないものの、やはり業界の動向が気になってしまうのが元ファッションスタイリストの性で、こまめにファッション系のウェブマガジンやニュースサイトを見ているわたし。
先日、CONVERSEのWEAPONというシリーズの新作が発表されたというニュースを見かけ、元ファッションスタイリスト×バスケ狂いの夫を持つ妻としては見逃せないものでした。笑
このWEAPONというシリーズはもともとバスケットボールシューズとして大人気になった名作です。
当時のNBAスター選手がこぞって履いていたCONVERSE。
最近世界で活躍する日本選手やスラダン映画化などバスケも盛り上がっていることですし、CONVERSEについて掘り下げていきましょう!
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
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こんなブランドもある?分析してみてほしいなど
リクエストいつでも受付中📪
今後の参考にしたいので是非気軽にコメントくださいね♪
CONVERSEとバスケの歴史
1908年 マサチューセッツ州にて創業:
雪の多い地域だったためラバーシューズを開発し大ヒット。1910年には350人規模の企業へと急成長を遂げました。
1917年 バスケットシューズ ALL STARの誕生:
ラバーシューズが雪の季節商品だったため通年商品としてバスケシューズを考案。性能やデザインにほれ込んだ当時のスタープレイヤ―、チャールズ・H・テイラーが愛用し有名になりました。
1922年 YEAR BOOK製作開始:
YEAR BOOKとは、その年の全米大学リーグでのスコアなどをまとめたもの。プロリーグの発足後は内容も充実し、バスケットボールプレーヤーのバイブル的存在へと進化していったそう。1983年まで60年以上も継続して発行されました。
1957年 ALL STARのローカットモデル登場:
キャンバス オールスターのOX(オックスフォード)タイプ、=バスケットボール用のローカットシューズが登場。1960年代当時のデータでは、バスケットボールシューズの市場において8割以上を占め、コンバースの黄金期を迎えることとなりました。
1976年 PRO-LEATHERの発売:
Dr.Jことジュリアス・アービングという天才バスケットボーラーが愛用したPRO-LEATHER。彼のアクロバティックなプレイを足元で支えた名作スニーカーは、若き日のジュリアス・アービングがキャンバス オールスターに憧れたのと同じように、バスケットボールキッズの憧れとなりました。
1984年 WEAPONの前身となるSTARTECH発売:
LAオリンピックではオフィシャルシューズスポンサー契約を締結。この時にオリンピック各国のバスケットボールチームに提供したモデルがSTARTECHです。
1986年 WEAPON誕生:
機能性に加え、豊富なカラーバリエーションを揃えたこのモデルは、当時のトップリーグの両巨頭であり、また最大のライバル同士でもあったラリー・バードとマジック・ジョンソンの二人を起用した広告戦略でも話題を集めました。「CHOOSE YOUR WEAPON(君の武器を選べ)」の宣伝文句で全世界で400万足を売り上げる大ヒットとなりました。
https://converse.co.jp/pages/history-brand
1992年 オリンピック記念でスター選手の限定モデル発売:
バルセロナオリンピックに合わせ、ラリー・バードとマジック・ジョンソンの名前をとったMAGIC OLYMPIC ACCELERATOR、BIRD OLYMPIC PROSTARを発表しました。
1996年 ALL STAR 2000発表:
着地における足への衝撃を吸収するリアクトシステムを搭載したバスケットボールシューズ、「オールスター2000」を発表。キャンバス オールスターの伝統を受け継ぐとともに、機能を進化させて人気シリーズがバスケコートへカムバック。
https://converse.co.jp/pages/history-brand
ここではバスケと関係のある事柄をまとめましたが、実際はランニングシューズやファッションシューズとしても話題になった名作がたくさんある、素晴らしいブランドです。
そんなコンバースについて、データを見ながら理解を深めてみましょう!
データで見るCONVERSE
顧客構成
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現在購入層(1年以内に購入経験がある)のデータを見ると、意外にも女性の方が利用している人が多いようです。年代は40代がボリュームゾーンです。
個人的な印象ですが、学生や若い世代は近年"ごつめ"や"スポーティ"なスニーカーが人気なように思います。
街を歩いているとソールの厚いものやNIKEやadidasのようなスポーツブランドを履いている学生をよく見かけます。
ちなみに最近ファッション界で大注目のブランドがまさに厚底でスポーティで個性爆発してます。
確かにコンバースとは対極ともいえる世界観です。
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男女比を7 Jごとに詳しく見てみると、積極的ロイヤルでは女性が約60%となっており、現在は女性の方が人気があることが分かります。
確かに、細身のデザインでシンプルなものが多いので女性が使いやすいのかもしれません。
口コミとイメージ
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(ブランドについての具体的な意見やコメントの頻出ワードを可視化した図)
ワードクラウドには、おしゃれやファッション、カジュアル、などと言った単語は存在感があるもののスポーツ系のイメージはあまりないようです。
(バスケットという単語も小さいですがちゃんと載っている!ブランドの歴史やデザインの背景などを知ってから見るとまた新たな魅力が発見できるのもファッションの面白いところですよね。)
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合わせやすいという口コミも多かったです!やはりファッションアイテムとして広まっているように感じます。
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ちなみにこちらはNIKEのワードクラウド。スポーツ!!とど真ん中にありますね。種目に関わらず多くのプロスポーツ選手が使っていたり、スター選手とのコラボ商品があったり、アパレルもカジュアルよりはスポーティなものが多いので納得。
実際、コンバースはバスケットボール業界で今も昔のように多くの選手に履かれているのか?というと、答えはNOです。
(ちなみに米コンバースと日本のコンバースは完全別物です!これについては後ほど少しお話ししようと思います。※ここでは日本のコンバースについてのリサーチをしています。)
コンバースのオンラインショップのトップページは東京ボッパーとのコラボをだし(8月現在)、CONVERSE TOKYOというアパレルショップが青山、渋谷、銀座、新宿などファッション感度の高い街にあったりと、昔と比べるとファッションの方に舵を切ったのかなという印象もあります。
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イメージ分析ではベーシック・定番的やカジュアル・プチリラックス、絆・親近感など手の出しやすさ、取り入れやすさが印象としてあるようです。
また、安心・安全、誠実・愛着、伝統・頑固さなど昔から変わらないデザインや雰囲気、品質への信頼もうかがえる結果となっています。
顧客の価値観
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コンバースを現在購入している人の価値観で気になるものを上の図にピックアップしています。
個人価値観では、自己愛強め、アウトドア派、モノ重視という価値観が目立っていました。
褒められることが好きだったり、出かけることが好きだったり、モノを所有することに満足感を得たりするというのは、着飾ることで自分をよりよく(かわいく/かっこよく/センス良く)見せたり、自信をつけることに繋がります。=ファッション好きともいえるのではないでしょうか。
また、消費価値観ではステータス消費、ノスタルジー消費、トレーサビリティ消費といった項目が上がっています。
これらはブランドやアイテム自体を評価、イメージするような価値観だと思います。
憧れのブランド、往年の名品、ブランドのこだわりやバックグラウンドに惹かれる消費者の価値観が現れていると感じました。
ここまでの分析でコンバースは、歴史や伝統を評価された老舗のブランドでありながらも、流行に置いて行かれることなく進み続けファッションアイテムとしても長年愛されているブランドと言えます。
コンバースのファッション性
今回のCOME BACK WEAPONという企画ですが、ファッション性を推してきていると感じる理由の一つが窪塚愛流さん(窪塚洋介さんの息子さん)の起用です。
俳優やモデルとして活躍している窪塚愛流さん。YouTubeで愛用アイテムを紹介していましたがかなりのおしゃれ男子です。
私物や私服はインスタグラムにたくさん載っていましたが父親譲りのセンスも感じましたし、たくさんの雑誌やブランドのモデルもこなしています。
コンバースが彼を起用すること=若年おしゃれ層へのアプローチと受け取りました。
数年前から流行っている厚底コンバース。
現在も人気商品ランキングの上位を占めています。
これを初めて見たときは「うわ!!売れそう!笑」でした。
参考:#厚底コンバース / Instagram
https://www.instagram.com/explore/tags/%E5%8E%9A%E5%BA%95%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9/?hl=ja
インスタにも厚底コンバースの投稿がたくさんありました。
20‐30代が多い印象なので、これもやはりブランドの若返り計画に一役買っていると思います。
もちろん定番商品についてファッション性がないと言っているのではないです!
インパクトの強いスニーカーがどんどん発売されるなかで、厚底コンバースは確実に目が留まる、印象に残る商品だと感じました。
一方で、オールスターやジャックパーセルといった不朽の名曲のすごさは、どんな時代、ファッションにも順応する汎用性の高さです。
こだわりぬかれたデザイン、強すぎない主張、どんな服にも合わせやすい。
そんな特徴を持ち長い間愛されてきました。
ロングスカートにも、スキニーにも、バギーパンツにも、ショートパンツにも◎。
おまけにカジュアルやナチュラルな服にはもちろん、ロックや甘い系の服にも合わせられる。
こんなにふり幅のあるスニーカーって単純にすごくないですか!笑
シンプルなうえに、キャンバス地なため比較的安価なこともあり、おしゃれ初心者(というかあまりファッションに興味がない人も)からマニアまで幅広い人が楽しめるブランドだと思います。
そういった意味で、コンバースのファッション性とは流動的と言えるのかもしれません。
自分の望むレベルのファッション性を持たせることが出来る=多様性こそが、コンバースが現在まで長らく愛されてきた、大きな理由と感じました。
コンバースの今後
ここまで、コンバースのこれまでの軌跡をたどってきました。
では、これからは?
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縦軸:購入意向がある 横軸:リピート意向がある
スポーツ用品というジャンルにおける購入意向×リピート意向のポジショニング分析を見てみると、コンバースは全体の中ではなかなかの高数値を獲得しているものの、NIKEやadidas、New Balance、Pumaを追いかけるようなポジションにいることが分かります。
名だたるブランドが連なるこのジャンルで生きていくにはどんなことが必要なのでしょうか?データを見ながら少し考えてみたいと思います。
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競技用バスケットシューズが大ヒットした歴史あるブランドというだけあって知名度は抜群の80%超。
認知から購入意向への転換率は78.5%と高い数値となっています。
一方で、購入意向から実際に購入(現在購入)へ移行する割合は23.6%と下がります。
そして、現在購入からリピート意向への転換率は98.1%と非常に高く「一度履いたらまた欲しくなる」人がかなり多いことが分かります。
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口コミでは意外と「足が痛くなる」といった内容のものが多くありました。
(見た目はおしゃれでかわいいけど履いてみると重かったり地面の凹凸を直に感じたり、細くて靴擦れしやすかったり、、)
これは、購入意向→現在購入への数値の低さに影響しているかもしれません。
「試着をしてみたけど買わなかった」や「口コミをみてやめた」理由になることが考えられると思います。
でも、最近軽量モデルが出ているそうです!シンプルでかわいいし、カラー展開も豊富で、重くて足が痛くなることがハードルになっている人たちにはかなり魅力的なシリーズですよね!
ただ、私もそうですが軽量モデルの存在はまだまだ知らない人も多いと思います。
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ここで活用したいのがSNS。
コンバースを購入している層のSNSの利用分析を見ると、利用率は90%近くにのぼり、なかでも閲覧しているのはYouTubeやInstagramが20%を超えています。
コンバースジャパンのインスタアカウントはフォロワーが32.9万人(8/15現在)
参考:コンバース公式インスタアカウントより / Instagram
https://www.instagram.com/converse_jp/
インスタに上がっている画像はどれもこだわりが感じられる洗練されたもので、ファッション性を押し出している印象を受けました。
厚底シリーズや軽量モデル、コラボ商品などをしっかりアピールしていて、広報にも力を入れているのが分かります。
このことから感じるコンバースの今後の展望は、おそらく「若い世代に向けたファッションシューズブランド」を目指しているのではないかと感じました!
若い世代にはもう、バッシュのイメージがない人も多いと思います。アメカジファッションで大人気になったイメージもあまりないかもしれません。
でも新たな挑戦をやめず、進化し続け活路を見出し続けているのですね。
時代と共に変化していけるブランドというのは、とても素敵ですし、歴史のあるブランドはそうやって何年も生き残ってきているのですから、とてもカッコいいと思います。リスペクトを送ります!
過去に成し遂げた偉業や、獲得した名声は消えるものではないですしね!
今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ
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まとめ
今回コンバースについて書く中で、元々ラバーシューズ屋さんだったコンバースがバスケットシューズをつくり、バッシュ界を盛り上げ、そしてファッションアイテムとして広がっていった歴史を振り返り、とても楽しい執筆時間となりました。
コンバースについてのリサーチ結果をまとめておきます。
顧客構成→男4.5:女5.5、40代が一番多い
イメージ→ベーシック・定番的、カジュアル・プチリラックス、絆・親近感、安心・安全、誠実・愛着、伝統・頑固さ
サイコグラ→自己愛強め、アウトドア派、モノ重視、ステータス消費、ノスタルジー消費、トレーサビリティ消費
ファッション系に力を入れている
最後まで読んでくださったみなさんは、きっとブランドの歴史や思いみたいなものにおもしろさを感じるタイプだと思うので、ぜひみなさんにとって読み応えのある記事になっていたら嬉しいです♪
筆者のひとこと
米コンバースと日本のコンバースは別物と本文で述べました。
なんぞや?と思う人もいれば、その話有名じゃん!という人もいるとおもいますが、個人的には結構ややこしい話だと思っているので軽く話したいと思います。
まず日本人として一番知っておくべきこと、それは。。
米コンバースは日本では売っていません!!
なぜなのか。
米コンバースは2001年に倒産に追い込まれ、伊藤忠が資本参入し新生コンバースが誕生。そして伊藤忠はにコンバースジャパン社を創設しました。
(この時点で日本でのシューズやアパレルグッズの商標権をコンバースジャパン社が獲得しています。)
ここでNIKEが動きます。
なんと伊藤忠が資本参入していた新生コンバース(日本での商標権を有さないver)を買い取ったのです!
ということで伊藤忠には日本国内での商標権を持つコンバースジャパン社のみが残りました。
つまり新生コンバースとコンバースジャパンは「同じようなものを売る別会社」となりました。
同じようなというのは、企画・製造を独自に行うという形だからです。
たとえばコンバースジャパンは日本人に合ったサイズ展開にしていますし、MADE IN JAPANということでクラフトマンシップをアピールするようなラインがあったり、コンバースアディクトという最上級ラインを作ったりしています。
他にも、ロゴやソールの厚さや色、細かく見ると結構違いがあります。
どちらもそれぞれこだわってモノづくりをしていると思いますが、アメリカでコンバースジャパン社の商品を売ると商標権の侵害となり、同じく日本で米コンバースのものを売ることは禁止されています。
と、かなりややこしい大人の事情がありますよね。。
消費者のニーズに合わせてどちらもどこでも買えるようにしたらいいのに、、と思ってしまうわたしは脳みそお花畑なのでしょうか。笑
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