異なる2社・モスとシュウ ウエムラ。セーラームーンコラボでの狙いとは?
「月見にかわって、おいしいよ」
このCMを観て懐かしさを感じた方も多いのではないでしょうか?
みなさま、はじめまして。
ベトナムでライターをしております、寺内真実です。
私も上記CMを観て「懐かしい!」と思った一人でした。
こちらはモスバーガーの期間限定新商品「月見フォカッチャ」の発売にあたり、2022年9月14日から「美少女戦士セーラームーン」を起用したテレビCMを全国で放映し、話題となったものです。
参照:モスバーガー公式サイトhttps://www.mos.jp/
2022年で30周年を迎えた美少女戦士セーラームーン。
1991年に連載が始まり1992年にはアニメ化、原作単行本は17ケ国語に翻訳され、アニメは40ケ国以上に展開と、日本のみならず世界中で社会現象を起こしました。
こちらのCM以外にも“30周年プロジェクト”とし、サンリオ、アナスイ、ユニクロ、サマンサ、シュウウエムラなど各社とコラボし、期間限定ミュージアムも開催しています。
「コラボ商品の狙いは?」
「なぜセーラームーンがコラボとして選ばれたのか?」
今回「Knowns Biz」の億単位の消費者データを活用し、「セーラームーン」のコラボの理由について迫ります。
全世代に認知される『美少女戦士セーラームーン』
泣き虫でおっちょこちょいだけど底抜けに明るい中学2年生の主人公・月野うさぎが人間の言葉を喋る不思議な黒猫・ルナと出会い、愛と正義のセーラー服美少女戦士・セーラームーンに変身し、仲間のセーラー戦士たちと共に街の人々のエナジーを奪う「ダーク・キングダム」の妖魔と戦う物語です。
ロマンティックな恋模様や友情、クスッと笑えるコメディ要素も含まれる内容となっています。
認知率は統計96%と非常に高く、比較的幅広い年代に認知されています。誘引率に関しては統計は39%ですが、世代で見ると20歳~39歳の方が高く、性別別では20代~40代後半の女性が強く興味を持っています。セーラームーンは20-30代に強い誘引があることがわかります。
どんな人が「セーラームーン」を好むのか?
まずセーラームーンに好感を持っている人、セーラームーンに引かれる人(誘引)人の特徴を見てみましょう。
好感を持つ人で分析すると、「自己愛高め」「ジェンダーレス思考」と社会に偏見がなく、日々の自分へのご褒美や持ち物・服装などで自己肯定感を確認し、衝動買いも多いのが特徴です。
仕事・プライベートでは自分の好きなものに熱中し、仕事にも熱心で周りとの調和に気を配る人格が想定できます。
また、消費傾向も限定品に弱く、ノスタルジー消費(懐かしいものにお金を使う)方が多く、推しで開放することに価値を感じるタイプが多いです。
「モスバーガー」とのコラボ考察
今回の「美少女戦士セーラームーン“30周年プロジェクト”」でコラボを行った「モスバーガー」ですが、これまでも「リラックマ」や「星のカービィ」、「おしりたんてい」など、限定プレートメニューという、商品を購入するとグッズがもらえるコラボを行っていました。
今回の「セーラームーン」とのコラボはモスバーガー初の“月見”商品とのコラボです。
なぜ今回はグッズコラボではなく、商品コラボだったのでしょうか?
まずモスバーガーの顧客分析を見てみましょう。
購買経験のある年代は30代〜50代との男女共に多いですが、セーラームーン世代の20代の人が少ない状況です。
また「モスバーガー」の購入経験のある方の個人的価値観は、柔軟な思考を持ちつつも自己愛強めで、必要以上に他人の目を気にしてしまう「ガラスメンタル」が特徴です。
社会価値観は社会問題にも当事者意識を持っていたり、家族を大事にする、周りの空気を乱すような人を嫌う生真面目さが目立ちます。
セーラームーン世代の消費者が少ないものの、消費傾向はセーラームーンと共通して限定品に弱く、懐古主義傾向です。また直感や他人の口コミで購買に至る人も多いので、消費者が少ない層に向けての世代にマッチしたコラボによる話題性を狙っています。
またモスバーガーの全体の顧客層と、顧客層の少ないセーラームーン世代の20代の利用者の声を見てみると、どちらも共通して「ヘルシー、健康に良さそう」「ハンバーガーの種類が豊富」「他のバーガーチェーンよりも高価だが産地などのこだわりに安心する」などのコメントが多いです。
今までのコラボではグッズを頼りに誘引していましたが、今回は男女・世代関係なく認知されているセーラームーンとのコラボによる話題で顧客層の少ない世代を誘引し、多くの既存の顧客に認められている味の分野で勝負する、新商品「月見フォカッチャ」でのコラボに至った可能性が考えられます。
「シュウ ウエムラ」とのコラボ考察
「シュウ ウエムラ」の今までのコラボ先を見てみると、「ワンピース」「スーパーマリオ」「ポケモン」などのキャラクターものから「オニツカタイガー(シューズメーカー)」などの異色コラボもありました。
コラボするたびに話題沸騰となる「シュウ ウエムラ」の限定コスメ。
どのような顧客層がメインとなっているのでしょうか?
購買経験のある方のデモグラ分析を見てみると未婚・既婚問わず、30~49歳に大きなヤマが存在しています。セーラームーン世代でも35歳以降の女性が半数以上を占めており、20代〜30代前半は少ない印象です。
「シュウ ウエムラ」購入者の個人的価値観は自分の感性を大事にする「一徹凝り性」「自己愛強め」、自身の生活を管理できる「健康志向」やお金も含めた計画的な行動力ができる「コツコツ貯蓄」が特徴として出ています。社会的価値観と合わせてみると、仕事を頑張り自己管理ができるまじめな人格がイメージできます。
消費価値観では、売れ筋や口コミを購入する際の参考にする「レビュー熟読思考」や付加価値のあるものが好きな「ブランド消費」が高くみられ、限定品にも敏感なため、自分が良いと感じたモノにはお金をかける人が多いようです。
また利用者の声では「品質がいい」「デザインが珍しい」「かわいい」などコラボに関するコメントも多くありました。
こちらはシュウウエムラの2022年、劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」のコラボコレクションです。
銀河系やプリズム、ホログラフィックなどセーラームーンを連想させるコラボレーションならではの限定コスメが揃っています。
パッケージもトウキョウの星空を表現した幻想的なものとなっており、「シュウウエムラ」が元々好きな方にも持ちやすい且つ珍しいデザインとなっています。
今回のコラボでは購入層の少ない20~30代のセーラームーン世代へのアプローチを行うことで、定評のある商品品質も知ってもらえる機会にもなります。
2社のコラボの共通点
「セーラームーン」に好感を持っている人と今回のコラボ先の「モスバーガー」、「シュウ ウエムラ」を好む人は真面目で仕事熱心、自己管理や他者との調和を気かけるという社会的価値がとても似通っていることがわかりました。
しかしながらどちらの企業もセーラームーン世代の20~30代の顧客層が少ないことも共通しています。
今回のコラボは圧倒的認知度・誘引率の高いセーラームーンを起用することによって、新たな顧客(セーラームーン世代)の獲得を狙い、両企業共通の消費傾向を活かし話題にあがりやすい(SNSでバズる・口コミになる)限定品コラボ製品の販売を行ったのだと考えられます。
一見「モスバーガー」と「シュウ ウエムラ」は共通性のない企業ですが、「セーラームーン」とのコラボにより、取り込みたい層へのアプローチや元々の消費者の特徴にも合わせて商品化していることが今回の分析でわかりました。
「セーラームーンのコラボ商品が出ている」と何となく見ていた商品も、背景を探るとさまざまなことがわかり面白いですね。
Knowns Bizとは?
今回利用した消費者データや分析データのエビデンスは弊社が提供するKnowns Bizから取得しています。
Knowns Bizは、「消費者のイマ」を知ることができる、消費者データを大量にストックしているデータプラットフォームサービスです。ブランドやアニメ、タレントなどのデータが揃っているのでデータ取得の手間なくすぐに使用することができ、デモグラや価値観の属性データと掛け合わせることで、あらゆる切り口で分析可能です。データサイエンスを扱いやすく、もっと身近にすることで、思いもよらないマーケティングの文脈を創出し、新しいマーケティングアイデアを生み出します。
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